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マイペース異世界災難記(仮)  作者: 紺(空想野郎)
ギルドと本と古き記憶
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33話 異変

今年もやってきましたこの季節。

 と、いうことで無事逃げきることはできた。流石トップクラスの隠密性能は伊達じゃない。

 正直その辺に関しては宮廷魔術師のお墨付きなわけだし、まぁ逃げることに苦戦するとは端から思っちゃいなかった。ただ問題は起きてしまった騒ぎはなかったことにはできないというところで。


「この魔力痕跡からして自然現象ではない……つまり人為的に発動された魔術だな。それも遠隔での発動というわけでもない、となると犯人はまだこの近くにいるはずだ」


「はっ! 承知いたしました! 全隊員に伝令! 犯人は……」


 と、割としっかりと大事になっているご様子だ。たかだか火が爆ぜただけだぜ? 優秀にも程があるだろ……。というか魔力痕跡だかなんだか知らないが、そんなスキルもしくは技術があったか? キラさんから聞いた覚えがないが、もしかして過去改変による変化が表れている証拠だったりするのだろうか。


 うーむ、記憶を探ろうにも何だか曖昧だ。異世界に来てからそこまで時間は経ってないはずなのだが、何年も昔のことを思い出そうとするような感覚がある。時間移動をしているわけだし、そういう後遺症みたいなのが残っているのかもしれない。あるいは過去が変わったことによって俺の記憶まで辻褄合わせが起きているとか?

 能力というか出自的にそういう影響は受けなそうにも思えるが、俺は本体というわけではなし、中途半端に影響を受けてしまっているのかもしれないな。ともあれ、過去改変云々については考えるだけ無駄だろう。情報が圧倒的に足らんし。


 とりあえず目下の問題は騒ぎが起こってしまっていること。兵士の優秀さは恐れ入るところだが、宮廷魔術師が見抜けない隠密能力は一介の兵士が見破れるわけがないのでそこは問題じゃない……と割り切れればよかったのだが。痕跡を残してしまって、それを解析されてしまっている以上手放しに安全と断定できる状況でもないだろう。過去改変によって俺の認識と現在の平均能力に差がある可能性すらあるのだから。


 そして騒ぎが起きているということは言わずもがな、城内への侵入はさらに困難になってしまったわけだ。この体は所詮人形とはいえ、自分がどういう状況に置かれているかは未だ不明。最悪この体が壊れれば死ぬまではないにせよ、暫く精神体でわけのわからない空間を漂うことになってもおかしくはない。元々この人形に入る前はそんな感じだったし。


『うーむ、八方塞がりとはこういうことを言うんだなぁ』


 情報が足りないから動くしかないのだが、情報が足りないから下手に動けない。しかし動かなければどうなるかもわからない。見つかるリスクはもちろんのこと、そもそもこの人形に入れているのも何故かはわからないわけだし、時間制限みたいなものがないとも限らん。この人形が誰かに保管されていたものだったとしたら、その場からなくなっていることに気づかれてもまずいし、実質的な時間制限は既に課せられていると考えた方が無難だろう。


『とはいえ何をしろと』


 恐らくこの状態は本体が仕組んだことである、はずだ。しかしご丁寧にメモとかで指示が残されているわけでもなければヒントも特にない。とりあえずできることといえば状況整理と確認くらいか。


『ステータス』


 ……反応なし、と。人形に入ったところで変わらないか。まぁ自分の肉体ではないわけだしそこまで期待はしていなかった。それならそれで精神系統や魂に直接結びつけられていそうなスキル群はどうなるのかという疑問はあるが、確認するのは別の機会だな。

 

 いや、確認する術がないこともない、か。


『グーラ、聞こえるか?』

『……』


 応答がない、というのも少し違うか? 声こそ返ってこないが反応自体は感じる。なんといえばいいか、例えば通信機で表すなら電波妨害を受けて相手の声が聞こえない状態みたいな、そんな感覚だ。反応がないというよりはノイズで何も聞こえない。それは本来の体じゃないからなのか、過去改変によってグーラ自身に何らかの影響がもたらされたか、或いはその両方か。

 いくらでも原因は推察できるが結局現状の打破には繋がらないな。じゃあ他人頼り第二弾行ってみよう。


『ネイリー居るかー』


 ……。こちらは特に応答なし、と。門から出る前は確かに一緒に居たのだし、こちらは居てもおかしくはなかったのだが。んじゃあ他人頼り大作戦は早くも頓挫だ。ジョマノとのパスもどうやら不通っぽいしな。

 と、なると自分の手札はこの人形の性能以外はないらしい。

 そう自覚すると急に心細くなるような、仰々しい力がなくなって若干安心するような変な気持ちになるな。とはいえ完全に孤独に置かれたのは実は異世界初だったりするか? そう考えるとやっぱ少し不安だな。異世界の知識はネイリー頼りのことが多かったし、俺の曖昧な記憶頼りだと現状と俺の居た時代との相違点が炙り出しにくい。

 一応少しはこの国で暮らしていたわけだし、冒険ギルドを筆頭に知っている場所がないわけでもないが、間違い探しみたいなことをされるとお手上げだ。しかも多少知っているとはいえ、結局常識には疎い。何か違和感を見つけてもたまたま俺が知らなかっただけ、ということすらあり得るのだ。その点王城なら少しはどうにかなると思ったのだが、この状況では選択肢に数えることはできない。


『とりあえず移動するか』



◇◆◇


 移動すると言っても特に目的地はないためあちこちと放浪して暫く。やはりぱっと見、街に何か変化があるようには見られなかった。


 わかったことと言えばこの人形の基礎スペックがそこそこ高いことと、兵士が至るところに動員されているということ。知り合いをいくらか探そうかとも思ったが、見た目は透明でも接触はされてしまうので断念した。

 大体知り合いは王城を除けばギルド関連者だが、ギルドなんて人の多い所に行けば誰かしらにぶつかって気づかれるだろう。人形である分感覚がいつもより鈍いし、普通に道を歩くのも怖いくらいだ。

 だから今は屋根伝いに移動している。人形のスペックがある程度わかったのはこれが理由だ。最初に試しておいて良かった。なんせあちこちに兵士がいるわけで、誰かにぶつかろうものならいくら姿が見えないとはいえ捕まりかねない。

 で、不思議なのはそこなのだ。

 魔法によって小さな火が爆ぜました。場所が悪かったとはいえ、たったそれだけのことで長時間、それもこれほどの人数が動くだろうか。それはどう考えてもおかしい。


 最初騒ぎになったときは優秀だなぁ、くらいにしか思わなかった。そもそも異世界の常識もないわけだし、魔法犯罪みたいなことを考えるのであれば過剰警戒くらいはおかしくない、という観点もある。

 しかし、しかしだ。流石にここまで騒ぎにすることではない。過剰警戒がこの世界で必要だとしても、仮にでも王城で起こったことだ。その程度のことで騒ぎにしすぎては貴族の面子に関わりかねない、はずだ。例え面子を気にしないにせよ下手に騒げば民衆に混乱や懐疑心を植え付ける可能性もある。なんにせよ、リスクが高いことに変わりはない。だとすれば、何か原因があるはずだ。


 まず一つ目。何かしらのイベントを控えている。これが順当なパターンだろう。貴賓の来訪や祭事のために元々警戒態勢が敷かれていた可能性だ。街を見た感じ祭事という雰囲気ではなかったが、ここは異世界。俺がそうは見えなくてもそういった何かが執り行われているというのもない話ではない。貴賓の来訪だった場合は俺が知るわけないしな。特に兵士からもそういった話題は聞こえなかった。というか極端に私語が少ない。当然ではあるのだが、俺が知っているこの国のことを思うと何だかギャップである。


 次に二つ目。権威のアピールだ。敢えて大きく取り上げることによって、国の力というのをアピールする。今回の事件解決よりも、次の事件を起こさせない動きである可能性。どちらかと言うとこの国には似合わない気はするし、小さな事件に対して振り回される無能をアピールしてしまうリスクもあるわけで、正直考えにくい線ではある。


 三つ目。既に何かのイベントが起きている可能性。まぁこれは1に統合しても良い。違いは事件や犯行予告といったマイナス方面のイベントかどうかといったところか。どのみち警戒態勢が元々敷かれていたという点では変わらないだろう。強いて言うなら、この線だった場合は俺が対処する必要性もあるかもしれない、というのが大きいか。本体がそうなるように仕向けた的な。


 最後に四つ目。平和ポケしてない平和ボケだ。小さな火が爆ぜるということで騒ぎになるほど事件も何も起きない時代が続きながらも、ちゃんと緊急事態に対する備えを持っているという可能性。この国のトップ陣を考えたうえでなくはないかなというレベルだ。


『どの原因だとしてもだなぁ』


 結局俺にできることはない。いや、三つ目の可能性を考えると情報収集はしなければならないのだが、コミュニケーションを取れない縛りで情報収集は中々厳しいものがある。噂くらいは拾えるのだが、兵士が動いている都合上推測から派生した根拠のない噂も聞こえてくる。素の情報量が欠けている今、信憑性の判断はネット掲示板から正しい情報を見つけようとするより遥かに難しい。ましてやこの時代にネットなんぞ便利なもんはない。情報伝達の手段も限られるから、情報がどんどん歪んでいくし。

 そうなると、できることは一つか。できるというより試したいことだが。

 この騒ぎを起こした原因。つまり魔法が使えるかどうかだ。

 まぁ、極力やりたくないが仕方がない。自分の手札は把握しておいた方がいいし。とはいえ、いくら屋根上でも街中では誰かに気づかれる可能性がある。だからこそやりたくなかったわけだが。


『外に行くしかないかねぇ』


 あちこちをぶらぶらしていたといっても、実は街の外周部分には足を運んでいない。事件が起こった以上退路を塞ぐのは定石なわけで、警戒態勢的に門付近は兵士が多いと踏んだからだ。


 だから、今の今まで気づかなかった。


『何だよ、コレ……』


 この国の、明確な異変に。

文体維持という名目で何も考えずに書けるのが唯一の救いですね。

何を書こうとしてたのか、そもそも考えてたのかすら分からないというのが難点ですが。

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