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第三八話 黒沢明人の憂鬱

復帰しました。

今回ちょっと短いですが、きりがよかったので…

黒沢明人はほろ酔い気分で風呂に浸かっていた。湯加減が丁度良い。機械の体であれど人間時代と満足感は変わらない。

「今後俺はどうしたら良い…」

黒沢明人は呟きながら顔にお湯を浴びせ手で拭った。

どうやったら元の世界に帰られる?

それはこの世界にやって来た頃からつらずらと考えていたことだ。

疑問は2038から色々と聞き出していた。

俺のいるこの世界は、元居た世界の並行世界、いや正しくは別宇宙ということだ。

宇宙は無限に近く存在し、亜空間によって隔てられている。この空間は2038の技術を持ってしても超えることは叶わない。2038は宇宙開闢の根源的原理を解明しており、その流れで全宇宙に干渉しているにすぎない。

各宇宙はこの亜空間を侵食するように常に膨張している。

仮に1つの銀河を勘案してみても想像を絶するほどに広い。

単純に考えて元の世界へ戻れる可能性は、0の下に何桁の0が連なるのか、確率で考えれば可能性はあまりにも絶望的だ。

しかし、事は確率の問題では無いかも知れない。

ダナ・ハーグマンの能力は未知数だが、こうやって人の生きられる惑星に送り込まれた事を考えると、確率で考えるのは無意味な気がするのだ。

都合の良い何らかの法則なり何なりが絡んでいるとしか思えない。

しかし、それでも元居た世界に戻られるのかを考えるとどうにも楽観的に考えることができない。

今、ダナ・ハーグマンが生きていれば、ひょっとすると元の世界と繋がりがあるかも知れないとも思えるのだが、ダナ・ハーグマンはもうこの世にはいない。

彼女の娘、セイフ・ハーグマンがそれを引き継いでいると考えるには抵抗がある。

それに、この世界とのしがらみも随分と増えた。

俺はどうすれば良いのか…。

この世界でやらなければならないことはまだまだある。この自治都市も昔と違い今は状況が随分と変わった。

この国の政権者がこの自治領に何らかの介入を行なう可能性もある。

考えなければならないことがあまりにも多い。

そろそろ目先のことを考えるより先を考える必要がある。

この世界の情勢や政治に詳しい者が必要だな。

そうだな、今はまだ、俺個人のことよりもこのウェルデンのこと考えようか。

そう考えが至った時、黒沢明人の敏感な聴覚が扉の前に人が立つ音を捉えた。


この気配は…リーナ…。


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