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第三五話 討伐

前話、間違いが結構あり、申しわけないです。

よかったらもう一度読んで貰えると…って程でも無いですけどね。でもこの話とリンクしているので矛盾を感じるかも知れません。

まあ、それはともかく、読んで頂けると幸です。

「おい、俺らいつまでこんな草の中に隠れてなきゃならないんだ?」

「そりゃ、おめぇ、マルフ団長の命令だからだろうが」

「そりゃそうだけどさ、さっきから蚊がたかってきて…。正直堪らん」

「ああ、確かに痒いなぁ、酒を飲みたいぜ」

「全く…ぐッ」

「ん、どうし…」

その瞬間二人の盗賊は気を失った。いや、二人だけでは無い。50人近くいた挟撃役の盗賊達は声を上げる間も無い間に次々と気を失っていった。

静寂が闇を包み込み、月明かりの下に何かが活動するかすかな、本当に微かな音を放っていた。


黒薔薇騎士団チーム、フォックストロット20名を束ねるリーハ・グレスデンは、敵挟撃部隊の無力化の報告を聞いて、笑みを浮かべた。作戦開始からわずか10分後だ、その間何の声も音も聞こえなかった。こりゃ、凄いわ。旦那、あんたは途轍も無い軍をつくろうとしているのか…。そしてちょうど良い月明かりだ。天も旦那の味方をしている。

丁度その頃、チーム・ジュリエットのリック・ソーセルも同じように報告を受けていた。こりゃ凄いぜ。そうつぶやくと「ホーホー」と何かが無く声が聞こえた。するとリックも「ホーホー」と鳴き声を上げた。作戦成功の合図だ。次は、強襲役と偽奇襲役に別れての作戦に移行する。

この作戦については、2人は強襲役を取りたがって譲らなかったのだが、結局最後はさいの目がリーハに味方した。

「上手く門を開けてくれよな」そう呟くとリックはチームに移動を指揮した。

二つにチームが目的は違えど予定通りの位置に音も無く静かに布陣した。予定時間までまだ時間がある。


ブロンの指揮する部隊は、予想よりも早く予定位置に着いた。新生軍の規律ある行軍は、見事といって良かった。

後は、リックの報告を待つ。長弓部隊はすでに準備を整えていた。

ブロンは、10人の部下に索敵を命令した。

薮の中でかなりの数の野盗が気を失って両手を後ろ手に縛られている、との報告を聞いて満足した。いい仕事をするな。

旦那はどこから我々を見ているのだろう?ブロンは、空を見上げた。

その数分後、城塞方面から鯨吼が聞こえ始めた。

「どうやら、リックが作戦を始めたようでやすね」

「ホーホー」「ホーホー」と何かの鳴き声のような声が近づいてくる。合図だ。ブロンは命令を下した。

「長弓部隊射ちかた始め!」

一人、1分に1本の割合で射出される矢は、全体で200本近く。10分の間に2000本近くの矢が放たれた。

矢は次々に闇夜に消えていく。


それより数分前、リック率いるチーム・ジュリエットは、音も無く密かに城門に東側の城壁に近づいていた。

クロスボウの射程に近づくと一斉に攻撃を開始した。

城壁から外を監視していた兵が次々と崩れ落ちる。だが、相手は全く見えない。

盗賊団団長マルフ・フィルフェンドは、倒れた兵を回収し、出来る限りの弓兵を東側城壁へ向かわせた。

弓兵は、混乱したまま森の方へ向けて闇雲に矢を放った。そうこうしている間に次々と兵がやられていく。

城内にいた野盗も屋外に出て、臨戦態勢を取った。

その時だった。

ヒュッと音を立てて200本近くの弓が城壁を超えて降り注いだ。野盗の装備は、鉄製のプレートメイルにヘルメット、そして盾とミドルサイズの剣と中々の装備ではあったが、問題は盾であった。降り注ぐ矢を縦で防ぐとバチとスパークが青い光を放ち、野盗は次々と崩れ落ちたのだ。

またたく間に数千本の矢が降り注ぎ、阿鼻叫喚の惨劇となった。もっとも実は気絶しているだけなのだが…。

その中うす暗い月明かりの下で20名程の部隊が城壁沿いに門に向かっていた。城門を守っていた野盗達を一瞬で制圧すると、巨大な門の二本の閂を迅速に外し、門をおし開けた。

それに気づいたマルフは、部下に命じた。

「おい、なんや城門が開けられとる。とにかく直ぐに閉じに行け!今直ぐにや!」

だがその時、南側、つまり城門方向より、鯨波が轟いた。

ブロン率いる千名の部隊が次々と押し寄せてきたのだ。ブロンは城門に厚みを残し、城壁を取り囲み、次々に梯子を掛けて突撃を指示していた。城門に兵が割かれている為、その攻撃に十分な対処ができない野盗は、次々と崩れ落ちた。

手近の敵兵を蹴り飛ばし、「これまでやな…」とマルフは呟いた。

そしてマルフは叫んだ。「あかん、止めや止め、戦闘を中止しろや!我々の負けや!降伏する、もう仕方あらへん」

その声を聞いた、野盗達は次々と剣を捨て、地面に膝をついた。

そしてブロンが叫んだ。

「我々の勝利だ!」

ウォォー!!兵達は叫びながらお互いのプレートメイルに拳をぶつけあって喜びを表現した。

ブロンにマルフが近づいた。

「なあ、あんたがウェルデンを改革しているちゅうやつか?」

「まさか!あっしの名はブロン、ブロン・バーリエンスでやす」

「そうか、では大将は何処におるんや?」

その時頭上から声が聞こえた。

「大将とは俺のことかな。俺の名は明人黒沢だ」

そういうと黒沢明人は、ゆっくりと地面に着地した。

「なんや、妙な能力の持ち主やな」

「で、頼みたいことがあるのではないのか?」

「ああ、わいの首をやるから部下は見逃して貰いたいんや」

「お前の首か…。生憎俺は人の首には興味がなくてな。まあ、必要になるときが来るかも知れんが…」

「じゃあ、わいと素手で勝負するゆうのはどうや?」

「自分に都合の良い提案だな。だが面白そうだ。良いだろう」

「よっしゃ、あんたええ奴やのう」


そして、兵達の見守る中、アキト対マルフ肉弾戦バトルが開催されることになった。

「どこからでもかかってきて良いぞ」

「ええんか、じゃお言葉に甘えさせてもらうわ!」

そういう叫ぶとマルフは、黒沢明人の脇目掛けて渾身の蹴りを放った。だが、黒沢明人は、なんでもないように腕で防いだ。マルフは目を丸くした。有り得へん!俺の蹴りは無敵じゃないっちゅうことか…。

「ではお返しだ」

そう言うと黒沢明人は、マルフ腹に蹴りを放った。マルフは吹っ飛び城壁にぶつかって、落ちた。


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