おわり
城はとても大きい。それゆえに自分を委縮させた。
しかし、中へ入るのは容易だった。よくもわからずひたすらに歩く。
突然声が聞こえた。
「ありがとーーーー!!!来てくれたんだね!」
あの男だ。俺から不運を取り去ってくれたあの男だ。
俺はその男が現れた後方に向かって走る。
「はーい、おつかれ♡」
その言葉で、何故か意識が遠のいていく。薄れゆく意識のなか、微かに声が聞こえる。
「おーい、ロボット三号ちゃーん?ロボ三号?三号!!」
「これが噂の人間をロボットにしたとかいうあれか?」
「あげないからね…」
「知ってるよ、ほんっと、ロボット同士を戦わせるなんて残忍なことを思いついた王サマと、能力持ちをロボットにしようと言ったあんたには恐怖しか感じないわ。」
「いやぁそれほどでも…」
「一旦デモンストレーションで戦わせてみよーぜ」
「やってみますかぁ。」
…身体が動かせない。
それでも身体は動いている。
銃を撃っている感覚はある。前は見える。銃を動かしている感じはする。
でもそれだけだ。自分で考えて撃っている訳じゃない。
自分で考えてなんかいない、身体が勝手に動いている。
声は響いた。男の声だ。その声がストップと叫ぶ。
「中身の目が覚めたようだ。おはよう。君はこれから王が参加する賭け事のプレイヤーとなってもらいますね。あ、君がロボットになったのは君に幸も不幸もなくなったからだよ。それらを考えられない生物なんて、生きているって言えるのかな?それが答えだよ。寝てていいよ元人格。」
…。
何日経ったか、何年経ったか。
よくわからないロボットと戦う視点を一人称で見る生活にも飽きてきた。あがる歓声、飛ぶ怒号。
俺にはよくわからない。
あー。
あー
ああああ
あああーーーーーああーーあーあーー。
終わらないかな、こんな日々。
指一つでも動かないだろうか。
そんな淡い希望は簡単に砕かれた。
指の一関節すら動かない。突然、偉そうな言葉、王の言葉が聞こえた。
「はっはっは。楽しませてもらった。褒美を取らせよう。望んでいることを言ってみよ。三途、解除してあげなさい。」
「はいよ。」
その言葉とともに、考え、動けるようになったようだ。
指も動く。腕も動く。
「望むもの、それを言え。」
「俺は…、俺は…」
何のために、何をしていたんだっけ。俺は。
「戦いたい、撃ちたい」
とっさに出たのはそれだけだった。
読んでいただきありがとうございました。
ハッピーエンドにしたかったんだけど…




