横暴
名前の無い男、彼は人であったために国内での地位は決して高くなかった。
代わりに彼には力があった。この世界を席巻している転生者達と似たような力だった。彼らは生き物ではあり得ないその不思議な力を、見せつけ、人間達を恐怖に陥れ、そして隷属させるために使った。一方この男はそのような力を持ってはいたのだが、自信と勇気が無く、同じことはしなかった。
彼の力は攻撃的な力だ。6発の銃、自身でそう呼ぶその力は、10丁の拳銃を意のままに操ることができた。
彼は17年間生きていてずっと、ストレスが溜まる一方だった。
道を歩けばつばを吐かれ、罵られる。
働こうとすれば邪魔だ、要らないと門前払い。
まともな教育など受けられるはずもなく、常識を知らずに育った。それでも一度だけ、人に教えられたことがあった。
「あの機械達や転生者には逆らうな」
それを守ってこの17年生きてきたのだ。しかしその17年が砕かれた。
今日は普段より特段ひどかった。精神的に害されようが肉体的な害なんて一度もなかった。
いつも通り人間達だけが集められた街の隅、端。そんな場所で買い物をしている最中、珍しいことに一人の転生者がこの街へやって来た。
理由は単なる憂さ晴らしのように見える。そいつは来るなり、剣に炎をまとわせて、振り回し、叫んだ。
「下賤な者どもが!!ひれ伏せ!!!生きている限りなぁ!お前らはペコペコするしかねぇんだよ!!賤しい奴らめ!誰のおかげで生きていると思ってんだぁ?あ゛??」
一体、何を言っているんだろうか。皆そう思った。俺もそう思ってそいつの横を素通りした。
「あ゛?」
熱い剣が私の首元に近づいた。
「今さぁ!!!逆らったよね?ひれ伏してないよな?な?なぁ?え゛?返事はどうしたんだ!!!」
俺は立ち止まって、「申し訳ありません。」その一言だけを放った。しかしこの言葉は彼の癪に障ったらしい。
「この剣さぁ!この剣でさぁ!!こいつの首くらいなら吹き飛ばしていいよなぁ!!人間だしな!!!!こっち、転生者だもんなぁ!!!!!」
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