【第9話】私の気持ち
〜 次の日 〜
決闘の日まであと1日…。
お店では…
「ねえクレア、決闘って殺し合いとかじゃないわよね……?」
…ニイナがホウキの反対側を短剣に見立てて私をつついてきた。
「…ちょっと!やめてよ…。そんな訳でないでしょ……多分。」
「いやー、なんか『私の取り合い』って感じで憧れちゃうけど、実際にあったらやっぱり困っちゃうなー。今回のは特に物騒な感じだし…。」
……ニイナも興味津々の様子だ。
「ねえクレア、前にも言ったかも知れないけどさ、自分の気持ちに正直になってね。友人としてそう伝えとくわ。」
「ニイナ……ありがと。」
私は少し微笑んだ。
「もしクレアが公爵様を選んだのなら、私はやっぱり王子さまにアプローチする!」
ニイナは私をチラッと見てきた。
「……もういいって!」
「キャハハハ!」
………。
◇◇◇
…12時になった。
いつものように、公爵様がお城から出てきた。
そして……公爵様は私のお店に立ち寄った。
「やあクレア、ごきげんよう。」
「あっ公爵様、こんにちは…。」
……公爵様はいつもより表情が硬いように感じた…。
「クレア…。」
「…はい。なんでしょう…。」
「クレア、私はキミを妻として迎えたいと考えている。」
「…えっ?」
突然の言葉だった。
「昨日はその為に、キミの『いとこ』の彼……名前をなんて言ったかな?」
「……シャルルです。」
「…そうそう、シャルル君に 色々話を聞こうと思っていたのだ。」
(公爵様の中では『いとこ』って事になってたんだ……。)
「すると彼が予想外の事を言い出したものだから、私もつい感情的になってしまって…。」
…私はどう反応していいか分からなかった。
「…私は決闘を申し込んだが、別に彼を痛めつけるつもりはない。…まあ、彼が私との決闘を受ける事もないだろうからな…。」
「…そ、そうですか…。」
私は少しホッとした。
「…ただし、万が一、彼が私との決闘を受けるとなれば、その時は容赦しない。あのような言葉を吐かれて、何もしないでいる程、我が公爵家は甘くはないのだ…。」
「…………!」
「クレア…。彼との事が ひと段落したら、キミに正式に求婚を申し込む。そこからの流れはウチの者に任せてくれればいい。」
「…………!」
…私はあまりの展開の早さに何も考えられなかった。
「………ではクレア、また後日。」
…そう言い残すと、公爵様は去っていった。
(公爵様から正式に求婚!?…そうしたら…そうしたらシャルルはどうなるの…!?…………はっ!!)
私は思わず、シャルルを探しに走り出していた……!
◇◇◇
…私はアテもなく、街中を走り回った。
「シャルルは……!シャルルはどこなの……!」
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【もし、もしもよ…。私と公爵様との恋愛が成就したら、シャルルはどうなるの…?】
【そしたら俺は魔法が終わってドラキュラ国へ戻される。】
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……前にシャルルとした、こんなやり取りが脳裏に浮かぶ…。
「シャルル……ウソでしょ……」
2時間……。
3時間………。
私はとにかく色んなところを走り回った。
シャルルが居る痕跡を探すために…。
…やがて、雨が降ってきた。
私は雨に濡れながらも懸命にシャルルを探した。
『ハァ……ハァ……。』
私は疲れ果てて、両手をひざについた。
指には『魔法のリング』が雨を弾いて光っていた。
「シャルルが魔法のリングを持ってきてくれた時……あの時も雨だったな……」
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【…店に忘れてたんだろ?大事な物らしいじゃん。…ったく、気をつけろよな…。】
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…気がついたら私は涙を流していた。
「私が…!私がヘンな魔法を使ったばっかりに……!」
…シャルルをドラキュラの国から呼び出してしまい、今ではすごい迷惑をかけている。
でも……でも、シャルルには向こうに戻って欲しくない…!
「……シャルル!……まだ居るわよね!?…ドラキュラの国へ戻ってないわよね!?」
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【『へ』じゃねーよ。使ったろ?魔法。】
【アイツは公爵だろ?俺は王子だから分かるんだ。あっ!ちなみに、公爵より王子の方が身分は上だからな!】
【次は……何か『プレゼント大作戦』でも決行したいところだな。】
【クレアの仕事っぷりを見ておこうと思って!クレアの保護者としてな!】
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シャルルと出会った頃の思い出が走馬灯のように流れる…!
「……シャルル…!……シャルルに会いたい……!」
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