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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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即答で快諾する国王

「国際同盟ですか! 入ります!」


玉座の間に集まった俺達は早速新しい同盟の話をしたのだが、同盟に加入した国同士での取り決めについて話す前にクレイビスが快諾した。


これには話を聞いていた大臣や兵士達も驚きである。


「陛下! まだ内容を聞いておりませんぞ!」


玉座に座るクレイビスの隣に立っていた宰相のユタが思わず怒鳴る。


ちなみに、俺は階段の下でも良かったのだが、わざわざ玉座の隣に席を置いてそこに座らせられている。


よくある各国首脳の会談の風景みたいで落ち着かない。


「何を言う、ユタ。レン国王陛下を信じていないのか?」


「そ、そんなことは言っておりません! ただ、話の中身を確認するべきだと申しております!」


俺を盲信するクレイビスに、ユタが癇癪を起こしながら文句を言った。


その言葉に他の大臣や貴族、兵士達の大部分が頷く。


だが、クレイビスは全く引かずに腰に括り付けていたミスリルの短剣を目の前に取り出した。


「そんな不信心者だから褒美が貰えなかったのだ。見よ、この素晴らしい輝き! 見事な装飾! 正しく、神の代行者様より選ばれし者の証!」


そう言ってクレイビスは俺が手渡したミスリルの短剣を見せびらかす。


いや、選んだ訳でもないが。


「あの時皆がミスリルの逸品を頂戴したのに、お前だけ貰えなかった理由はそれだ!」


クレイビスがそう言ってユタを見やると、ユタは悔しそうに唸った。


その顔を確認して、クレイビスは玉座の間にいる者達を見渡す。


「貴様らも竜騎士様を疑うと言うのか! さあ、疑念を持つ者は前に出よ! 信じる者は手を打ち合わせて拍手しろ!」


クレイビスが良く分からない宗教家みたいな演説をすると、玉座の間には盛大な拍手の音が響き渡った。


殆どの者の目はクレイビスの持つ短剣に注がれていたが、完全に物欲でクレイビスに同意している気がする。


まあ、どんな形であれ、これで同盟国は我が国も合わせて三ヶ国。それも大国が二つ加盟している。


これならば国際同盟の話を伝えるだけで加盟する小国もあるだろう。


ならば、後はより細かい規定の作成だが…。


「クレイビス王。同盟の取り決めを作りたいが、法案や政策を作るのに詳しい人材はいるか? 領地経営の人材は領主達をそのまま使っているから問題無いが、法律の立案や改正をする人材はあまりいなくてな」


「ビリアーズ伯爵はどうですか?」


「ビリアーズ大臣か? あいつは自分の領地内での政策くらいだろうし、他の国まで絡むような繊細な案件は任せたくない」


俺がそう言うと、クレイビスは苦笑して頷いた。


「ビリアーズ大臣、でしたね。彼らのような領主をしている貴族も、貴族間や隣接する領土の領主を相手にする時は細かい部分まで取り決めて法を発令する筈ですが…確かに基本的な法律や文化が違う他国との取り決めには疎いかもしれません」


そう言って、クレイビスは頭を捻りながらユタを見た。


「ユタ、誰かそういったことに詳しい者はいるか? やはり、法律家のリモンツか?」


クレイビスがそう言ってユタに尋ねると、ユタは頷いて口を開いた。


「そうですな。もしくは…」


「お待ちください」


クレイビスの質問に答えようとユタが発言しようとした矢先、何者かの声が玉座の間に響いた。


国王同士の会話故に、基本的に皆が静観していた為、その声は良く響いた。


皆が声のした方向を振り向くと、そこには先程の第5王女であるリアーナが立っていた。


玉座の間の端の方に隠れるように立っていたリアーナは、後ろに従者のキーラを連れて前に一歩出た。


「お話を遮ってしまい、大変申し訳ありません」


リアーナはそう謝罪を口にすると、皆を見回してから、最後に俺を見た。


「僭越ながら、そのお話、私も参加させて頂きたいと思います」


リアーナがそう言うと、玉座の間は俄かに騒然となった。


「り、リアーナ姫が…?」


「話というのは、同盟間の取り決めの話だろう?」


「姫には流石に難しいのでは…」


様々な言葉がそこかしこで洩れ聞こえる中、リアーナは柔和な笑みを浮かべてクレイビスを見た。


「私は本を読むのが好きです」


「…ん? あ、ああ。リアーナは読書が趣味だからな」


急に始まった趣味の話に、話を振られたクレイビスが困惑しながら返事をした。


すると、リアーナは笑みを深めて頷いた。


「はい。なので、他国の文化も良く学んでおります。法律も詳しいですよ」


リアーナがそう言って首を傾げると、クレイビスは目を丸くして止まった。


そして、代わりにユタが困ったように笑う。


「は、ははは。いやいや、姫様。なかなか知識があるだけでは難しいお話かと思いますぞ。やはり、専門家でなければ…」


ユタがやんわりとリアーナを諭そうとすると、リアーナはまた頷いた。


「はい。ですので、もし足りない知識がありましたら埋めて差し上げられるかもしれません。知識はあればあるだけ良いことでしょう?」


と、リアーナが言うと、ユタは何も言えずに押し黙った。


随分と皆が困惑しているようだが、リアーナの話に何か違和感があるのだろうか。


こちらとしては知識人ならば多いほど嬉しいし、他国の中枢に自国の王族や貴族を送り込めるなら喜ばしいことでは無かろうか。


まあ、中々そういった感覚は分からんが。


俺がそう思っていると、リアーナが悪戯を思いついた子供の様な笑みを浮かべて口を開いた。


「それに、もしかしたら我が王国と竜騎士様の御国との関係をより強固にすることが出来るかもしれません」


リアーナはそう言って、俺を見てはにかんだ。


おや、何か変な話の流れに…。


俺がリアーナの視線に首を傾げると、リアーナは微笑んだ。


「良ければ、お妃候補の一人としてもお考えくださいね」


「…姫様、そういった話を淑女の代表たる姫様からするのは…」


リアーナの台詞に、辛うじて宰相であるユタだけがそう口にすることが出来た。


他の者達は茫然自失となっている。


俺を含めて。



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