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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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レンレン劇団の帰宅

無事、不平等条約を締結させた俺達はジーアイ城へ帰還した。


風呂に入り、食事を終えた俺は玉座の間でエレノアと情報交換をしていた。


玉座に座った俺から今日の出来事と不平等条約の内容を聞いたエレノアは目を瞬かせて俺を見返した。


「少し、お優し過ぎるのでは?」


「そうか? メーアスからしたらかなりの痛手だぞ?」


エレノアの疑問に俺はそう返して笑った。


不平等条約の大まかな内容はこうだ。


まず、今回に限った決め事が二つ。


1、売った奴隷の回収はメーアスが単独で行う。


2、回収した奴隷をエインヘリアルに貸し出す。


そして、ガラン皇国の軍を打ち破った後から施行される決め事が三つ。


1、同盟国は同盟状態にある国が戦争を仕掛けられた場合、出来る範囲の援助を行う。


2、同盟国は経済的に厳しい同盟国に対して、経済的援助を行う。


3、同盟国は同盟国間での空輸を出来る限りサポートし、各国で発生する関税は全てエインヘリアルに納める。


と、なっている。


こちらからの援助は戦争を手助けする程度であり、暫くはメーアスがエインヘリアルに経済的援助を行うことになる。


つまり、実質的に属国となって税を納めるのと変わらないということだ。


いずれエインヘリアルの方が経済的にも豊かになるだろうが、その時は空輸の関税で世界一の経済大国の予定である。


他の国も同盟に加えていくことを考えると、これ以上の不平等な条件をつけると悪い印象を与えてしまうだろう。


俺はそう思って一方的に搾取する関係にはならないようにしたのに、エレノアは首を傾げている。


「しかし、メーアスのトップは三者共にご主人様に対して無礼極まりない行動をとっております。確かにご主人様に躾のなっていない犬をけしかけたゴミは最も重い処罰を受けておりますが、そちらもただの引退という非常に軽い処罰です。とりあえず、三者共に足の先から少しずつ切り落としてみるくらいの処罰は…」


「しないぞ。大体、今の関係は属国じゃなく、同盟国のトップ同士の話だろう。立場は確かにこちらが上とは示してきたが、同盟国のトップを気軽に拷問にかける奴がいるか」


俺がそう言うと、エレノアは苦笑しながら小首を傾げた。


「拷問では無く、死刑です」


「余計悪いわ」


エレノアの冗談に聞こえない冗談に突っ込むと、俺は玉座の背凭れに背中を押し付けた。


「俺の方はガラン皇国が攻めてくるまで時間があるからな。レンブラント王国にも改めて国際同盟への参加を表明してもらおう。後は、空輸と黒鉄の装備だな」


俺がそう言うと、エレノアが頷いて口を開いた。


「レンブラント王国は唯一まともな王がいる国ですから、二つ返事で了承するでしょう。ただ、空輸の件ですが…」


「ん? 何か問題があるか?」


俺が言いづらそうに口を閉じたエレノアに聞き返すと、エレノアは躊躇いがちにまた口を開いた。


「私どもは問題無いのですが、ご主人様はこのジーアイ城を出来るだけ秘匿しておきたいと仰ってました。しかし、空輸という手段を教えてしまうと、ジーアイ城の存在にも気付く者が現れるのではないでしょうか?」


エレノアはそう言って上目遣いに俺を見る。


「ふむ…まあ、ジーアイ城の方向には国どころか集落すら無いからな。通常こちらへ来る者もいないだろう。例え、近くの山付近まで来たとしても、イシュムガルドに撃退させれば良いだろう」


「なるほど。深淵の森の主でもありますし、適任ではないでしょうか。後は、山の上にも飛龍種がそれなりにおりました」


「じゃあ、そいつらもテイムしてパトロールの時間を作ろうか」


俺がそう言うと、エレノアは頷いて口を開いた。


「はい。後はスキル付与のマジックアイテムも良いのですが、現在研究中の魔術刻印を用いても良いかもしれませんね」


「ふむ。厚い鉄板か何かに魔術刻印で浮遊させるか? 問題は何処まで出来るかだな。確かに、ギルドメンバーに主要な国家を1日1便ずつやらせるとしても、それなりの人数が掛かりきりになるからな。一人は危険だから複数人での行動になるだろうし」


俺はそう言って腕を組むと、もう一つ気になっていたことを思い出した。


「そういえば、隷属魔術について研究してみるか」


「そうですね。未知の魔術は危険かと愚考します。もし何者かが敵として行使しようとしたとしても、我々なら使われる前に殺すことが出来るかと思いますが、ご主人様の国の住人はそうはいきません」


「うちの国の? 隷属してスパイでも作るとかか?」


俺は言外にそんな無意味なことを、という意味を込めてエレノアに尋ねたが、エレノアは頷いてみせた。


「他の国の人間ならば、そういう手段も有効と判断するでしょう。実際には城内に入り込めるスパイを作り上げねば効果は薄いのですが、そんなことは他の国の人間には分かりませんし…」


「ふむ…しかし、効果が薄い上に、今の所は状態異常を回復したら隷属魔術も解除されている。それが一時的な限定解除なのか、完全に解除されたのかはまだ分からないが…どちらにせよ大した問題にはならないだろう。もし、ビリアーズ大臣が隷属させられても大した権限は無いからな」


俺がそう言うと、エレノアは目を瞬かせてから微笑んだ。


「ビリアーズ右大臣は現在国内2番目の権力者ではありませんか?」


「領地運営という意味では最大規模の領地を運営して貰っているし、肩書きのお陰でレンブラント王国やメーアスにもかなり強気な交渉も出来るだろう。だが、結局この国の方針を決めるのは俺達だ。分かっていて聞いてるんだろう?」


俺がそう言うと、エレノアは口元を手で隠して笑った。


「この国の舵はご主人様お一人が握っておられますよ。しかし、ビリアーズ大臣もボワレイなどの有象無象の領主達も、以前より遥かに忙しくなってしまって後悔しているかもしれませんね」


「報告にはあったが、各地での生活改善の動きは出ているようだ。大変ではあるだろうが、我が国の国民が餓死したり他の国に逃げたりしないような国造りをしないとな」


エレノアの台詞に俺がそう返すと、エレノアは無言で頷いた。


俺は組んでいた腕を解いて肘置きに寄り掛かると、欠伸を噛み殺して顎を引いた。


「ふぅ。ガラン皇国がまだ動かないなら、今のうちに各地の視察をしておこうか。明日は朝からレンブラント王国で、昼から近場を回りながらジーアイ城に戻るとしよう」


俺がそう言うと、エレノアは両手を胸の前で合わせた。


「それは良いお考えです! その視察には是非とも私を…」


「エレノアには、黒鉄武具の試作についての報告書と、魔術刻印の研究の報告書を頼む。隷属魔術を手の空いた者に研究させるようにも言っておいてくれ」


俺がそう言うと、エレノアは肩を落として頷いた。


「はい…分かりました…ところで、明日は誰と…?」


「各地の視察にはミラを同行させたいな。行く先はレンブラント王国と国内だから、ラグレイトは休日にしよう。後はサニーとサイノスで良いだろう」


俺がそう言うと、エレノアは目を細くして地面を睨んだ。


「またサイノスとサニー…あの二人…どうやって行けなくしてやるか…」


エレノアがブツブツと不穏な言葉を口にしていたが、俺はそそくさと足音を立てないように玉座を後にした。


エレノアさんは時々怖くなります。



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