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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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メーアスの実力者

ロモントに実力を示せと言われ、俺達は街の外へ出た。


メーアスの首都であるこの街の中で、フィンクルの実家の大豪邸は北東の端の方に建っている。


その立地もあり、街の外へはすぐに出ることが出来た。


街の外は草原と土肌の道がある。道の先には恐らく海があるのだろう。


山や森はかなり遠くにある為、あまりモンスターの類も出なさそうだ。


俺が街周辺の景色を見ながらそんな考察をしていると、フィンクルが頭を下げて口を開いた。


「…すみません。父は、次男でして…本来はメーアスの代表の1人になんてなる予定は無かったんです。ただ、父の兄が病気で亡くなり、代わりに父が後継者になったんです。それまでは家族を大切にする良い父親で良かったのですが…」


フィンクルは父親を庇うようにそう言ったが、あまり庇いきれているとは言えない内容だった。


だが、俺はそれに苦笑しつつも頷く。


「誰でも家族は大切だろう。なかなか割り切れるものではない」


俺はそう言って、街の方に目を向けた。


「だが、この国を導く1人なんだ。ある程度の非情さも必要だろう」


そう口にして、俺はフィンクルに顔を向けた。


「お前の実の兄であろうが、俺の敵として現れたならば躊躇い無く斬り捨てるぞ」


俺がそう言うと、フィンクルは目を鋭く尖らせた。


そして、俺を睨むように見据えて、口を開く。


「…そうならないように、私が兄達を止めてみせます」


フィンクルのその強い覚悟を感じさせる言葉に、俺が肩を竦めて笑うと、サイノスが口を開いた。


「おお、来ましたぞ、殿」


サイノスにそう言われて視線をやると、街の方から複数の男女を連れたロモントがこちらへ向かって歩いてきていた。


ロモントと、先ほどの護衛らしき女2人。そして、その3人の後方にやけにデカい男が1人と、少し背が高い女が1人。最後に細い男が1人とその後ろに耳を生やした女が1人である。


「お、獣人がいるな」


俺がそう呟いて横を見ると、フィンクルが顔を強張らせてロモント達を睨んでいた。


「あれは、メーアスを拠点とするSランク冒険者の…」


「なんだ、冒険者か」


フィンクルの解説が始まるところだったのに、思わず俺はそんな言葉を口にしてしまった。


フィンクルは憮然とした顔で俺を横目に見る。


「…確かに、陛下には意味の無い称号だったかもしれません。しかし、彼らはこのメーアスにおいて最強の呼び声高い人物達です。性格に難があるかもしれませんが、例え陛下の部下達であっても楽には勝てないかもしれません」


フィンクルはそう言ってロモント達に視線を戻した。


ブリュンヒルト達が2倍強くなってもまだ弱いからな。


どうにもSランク冒険者に対して緊張感が持てない。


…いや、油断は禁物か。Sランクより上は無いんだから、同じSランクでもピンキリかもしれない。


「お待たせ致しました」


俺がフィンクルの言葉に兜の緒を締め直していると、近くまで来たロモントから声を掛けられた。


「ああ、待ったぞ」


俺がそう返事をして顔を上げると、ロモントが深々と頭を下げた。


「いや、本当に申し訳ありません。さて、お待たせしてしまった分、これ以上お時間を取らせないよう急ぎましょう」


ロモントは顔を上げてそう言うと、後ろに並ぶ4人に手のひらを上にして手を向けた。


「彼らは我がメーアスで最も強い者達です。まず、Sランク冒険者のオーウェイン殿」


ロモントはそう言って2メートルを超えそうな身長の大男に手を向けた。


オーウェインは全身を鋼のフルプレートメイルで固め、更に巨大なタワーシールドとバスタードソードを所持していた。


「次に、同じくSランク冒険者の最高位魔術を扱える数少ない1人でもあるクロムウェル殿」


ロモントはそう言ってオーウェインの横に立つ身長170ほどに見える女に手を向けた。


濃い緑色の短い髪が目を引く女だ。黒い皮製の衣服の上に黒いローブを着込んでいる。


ロモントに紹介されたクロムウェルと呼ばれた女は、面白くなさそうに俺達を観察していた。


「最後に、Sランク冒険者のティダル殿と、その従者である奴隷です。ティダル殿は最高位の回復魔術を扱える高位の神官だった方です」


ロモントはそう言いながら、奥に並ぶ男女に手を向けた。


ボロボロに酷使された鎧と盾、短剣を持つ獣人らしき女には奴隷の証らしき首輪があった。


赤茶色の髪をした可愛らしい顔立ちの少女だったが、その右目はすでに剣を受けたらしい傷痕と共に閉じられている。


そして、その奴隷の少女の隣で、薄っすら笑みを貼り付けた気持ちの悪い痩せた男は俺達を見て恭しく頭を下げた。


男は黒く長い髪を真っ直ぐに下ろしており、白い法衣のような服を着ていた。


とても神官には見えないが、こいつがティダルなのだろう。


4人を観察し終えた俺を、クロムウェルが鼻を鳴らして見た。


「ロモントの旦那が言うには、あんたが竜騎士様だって? そこのミスリルメッキの大層な鎧を着た奴じゃなくて?」


「…クロムウェル殿。相手はレン国王陛下です。そんな失礼な物言いは…」


クロムウェルの不躾な台詞にロモントが眉根を寄せて窘めていると、横に立つオーウェインが低い声で口を挟んだ。


「国王と言えど、まだ出来たばかりの小国に過ぎん。それもガラン皇国に踏み潰される直前と聞く…あまり賢いとは言えんな」


オーウェインがそう言うと、ティダルが軽く左右に首を振って失笑した。


「ダメですよぉ、お二人方。どんなに小さかろうが、貧相だろうが、潰れかけだろうが…王は王ですから。まあ、確かに他の小国ならば王が頭を下げて私どもに依頼をしてくるのが普通ですから、この王様も少し態度が大きいですけど。大国であるメーアスの代表もいるのですから、跪いては如何ですか?」


ティダルは丁寧に、だが随分とこちらを下に見た発言をしてきた。


まあ、仕方が無いか。


多分だが、こいつらの頭の中では、ガラン皇国に睨まれた竜騎士を騙る詐欺師がメーアスに助けを求めてきた、と解釈されているのだろう。


見方を変えれば、そんな張りぼてのような状態の王が、大国メーアスの王の1人を相手に対等に交渉しようと大言壮語を口にしているのだ。


ならば、彼らからすれば依頼の本当の意味を、俺達を体良く叩き出すことと思っている可能性もある。


まあ、ロモントが最初からちゃんと説明していれば問題無いのだが。


俺は苦笑交じりにロモントを見て口を開いた。


「跪けと?」


「い、いえ…そんな…」


俺がロモントに聞くと、ロモントは恐縮しきりだった。


俺はロモントに顔を向けたまま口を開く。


「で、こいつらを倒すだけか?」


俺がそう確認すると、冒険者達は剣呑な空気を発し出し、ロモントは怪訝な顔で俺を見返した。


「陛下ならば、実力者を見ればその力を察するかと思いましたが…彼らはたった4人で千や二千の兵に匹敵するとも言われる超人的な実力者達です。陛下が10万の兵を相手に200で勝ったと言われるならば、彼らに匹敵する配下が200以上はいるということでしょう?」


ロモントが懐疑的な視線とともに俺にそう言ってきた為、俺は鼻で笑って冒険者達を見た。


「いや、流石にこのくらいの奴ら相手じゃな。むしろ噛ませ犬みたいで弱そうなんだが」


俺が思わず素直にそう口にすると、冒険者達は一斉に殺気立った。


「…へぇ。やっぱ馬鹿だったみたいだね? 私のことを知らないなんて」


「実力差に気がつかない愚かなる者よ。貴様に人を率いる器は無い」


「いやいやいや、あっははは…流石にそこまで世間知らずだと笑えませんよ? Sランク冒険者は飛び抜けた存在ですから、各国の王達がこぞって抱え込みに来る存在です。貴方のような弱小国では縁が無いかもしれませんが、我々…」


「話が長い。やっぱり小物臭いぞ、お前ら」


俺がティダルの言葉を遮ってそう口にすると、クロムウェル、オーウェイン、ティダルの3人は顔色を変えた。


おや、怒らせてしまったかな?


俺がそんなことを思って笑みを浮かべると、後ろからサイノスが拍手を送ってきた。


「いよ! 流石は殿! 世界一!」


「その応援はダサいぞ、サイノス」


「えっ! ? 」











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