番外編 サイノスとダン ついでに女性陣
番外編後半!
さあ、これでギルドメンバーのキャラクターが少しは覚えやすくなるのでしょうか! ?
風呂を終えた2人は食堂で夕食をとっていた。
食堂にはタイミングが重なった20人程度の他のギルドメンバーもいて、各々がグループを作って食事をしている。
サイノスとダンは2人でパスタのような麺類を食べていた。
「ちょっと良いかしら?」
と、そこへ美しい女の声が投げ掛けられた。
艶やかなその声の方向を見ると、20代中頃に見える美女が立っていた。
柔らかそうな生地の青と白を基調にした、シスターに似た服装の女性だ。服の上からでも十分に分かるほど女性らしい丸みを帯びた身体つきで、長い黒髪の上には大きな狐の耳があった。お尻にはフサフサの尻尾が見える。
狐獣人のソアラである。
ソアラに声を掛けられ、サイノスはテーブルの空いた席を指差した。
「どうも。お邪魔するわね」
ソアラは優しい声音でそう言うと、空いた椅子に腰掛けた。
「食事は?」
「もう済ませてるから大丈夫よ」
サイノスが一言尋ねると、ソアラはやんわりとそう言った。
そして、ソアラはダンを眺める。
「どう? 強くなった?」
ソアラがそう聞くと、ダンは難しい顔で唸った。
「…どうだろうか。比べる相手がこのサイノス殿では、自分が少し強くなったところで全く…」
ダンがそう言って首を左右に振っていると、遠くから女の声がした。
声のした方向をサイノス達が見ると、そこにはダンの妻であるミエラと、娘のシェリーが立っていた。
2人は食事を載せたお盆を両手に持ち、サイノス達が座る席に歩いてくる。
「すみません。相席しても?」
「どうぞ」
ミエラが微笑を湛えて同席をお願いすると、代表してソアラが返事を返した。
2人はダンの隣に座り、ダンの様子を横から見た。
「お父さん。今日はどうだったの?」
シェリーがパンを片手にそう聞くと、ダンは難しい顔で唸り、口を開いた。
「オークとトロールを倒した」
「え? ひ、1人で?」
「ああ、そうだ」
ダンの返事を聞き、シェリーは唖然とした顔で停止した。
動きを止めたシェリーを、ダンとミエラが不思議そうに見る。
少しして、正気に戻ったシェリーはダンを見て興奮したように口を開いた。
「す、凄いよ! お父さんは分かってないみたいだけど、トロールは冒険者がパーティーでかかって何とか倒す魔物だよ? 単独で倒すなんて、Sランクの冒険者くらいだよ」
シェリーがそう言うと、ダンは肩を竦めた。
「だが、サイノス殿の足元にも及ばん」
「何言ってるの。サイノスさん達はレン様に選ばれた英雄なんだから、そんな人達と比べても仕方ないよ」
ダンの台詞にシェリーがそんなことを言うと、隣で聞いていたミエラが同意するように頷いてから口を開いた。
「そうよ。ゆっくりで良いじゃない。怪我をしないように気をつけてね?」
ミエラがそう言ってダンを見ると、ダンは眉間に作ったシワをより深くした。
「…俺はレン様に恩返しをする為に此処に来た。だが、実質役に立っているのはミエラだけだ」
「うっ」
ダンが悔しそうにそう呟くと、隣でシェリーが呻き声を洩らした。
「わ、私だって掃除したり、お母さんを手伝って料理したりしてるからね」
シェリーが自分で自分をフォローすると、ミエラが頷いた。
「そうね。シェリーは良くお手伝いしてるわ。料理は下手だけど」
「うっ」
突然口にされたダメ出しにシェリーがまた呻き声を上げると、ミエラが楽しそうに笑った。
「ダン。あなただって、頑張ってるのよ。それで良いじゃない」
ミエラがそう言って微笑むと、ダンは溜め息を吐いた。
「…役に立っている実感が持てないと、今のこの信じられないような良い生活が、満ち足りた時間が、逆に怖くなるのだ」
ダンはそう口にすると、残ったパスタを口に入れた。
それまで黙って見ていたサイノスとソアラは、3人の会話を聞いて顔を見合わせた。
「…なんか、凄く真面目ね?」
「拙者が追い詰め過ぎたのだろうか…」
「あら、サイノスが原因なのかしら?」
「ぬぐ…」
サイノスとソアラがそんな会話をしていると、食堂にエレノアを引き連れたレンが歩いてきた。
「なんだ。サイノスとダンは何故落ち込んでいるんだ」
レンがそう聞くと、ソアラが困ったように笑ってサイノスを見た。
「我が君。サイノスがダンをイジメ過ぎて凹ませてしまったみたいですの」
ソアラがそう言うと、レンは眉間にシワを寄せてサイノスを見下ろした。
「サイノス、明日の朝食抜き」
「なにゆえっ! ?」
サイノスが可哀想!
朝ご飯抜きなんて!
そんな声は多分聞こえてこないでしょう。
サイノスはイジられてこそのサイノスです。
さあ、サイノス! 強く生きろ!




