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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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改めて、冒険者パーティー白銀の風集合

夜になり、まだ話したそうなレンブラント王国国王の為に宴を催すことにした。


まあ、最初からそのつもりだったが。


今は食堂にて俺とエレノア、クレイビス、ユタが同じ席を囲んでいる。


楽しく会食と思ったが、何故かクレイビスが薄っすら涙を浮かべながらワニ顔ラクダの肉を食している。


「これは…これが神話の味なのですね…!」


なんだ、その味は。


ただのワニ顔のラクダの肉だぞ。


「陛下、確かに驚嘆する旨さですが、泣いていては国王としての威厳が…」


いや、もう崩壊して欠片すら風化したぞ、その威厳。


「ああ、この酒も凄い。何という酒なのですか?」


「村長殺しだ」


「ソンチョーゴロシ…これも正に神話の味…」


ダメだ。今の此奴には何を言っても感涙する。


自分でも意味の分からない台詞だとは思うが、本当に何を言っても感涙している。


俺が会話を諦めて何となく周囲に視線を向けると、一つ隣のテーブルにいたオグマの所へ白銀の風のメンバーが集まっていた。


「オグマ! まさか、この城で会うなんてね!」


アタラッテが一番にオグマにそう話しかけると、オグマは仏頂面で頷き、自分が座るテーブルを指差した。


「座りなさい」


「え、アタシ?」


オグマの低い声に、アタラッテは首を傾げて自分を指差した。


他の3人は大人しく座っているところを見ると、最初からオグマが怒っていると感じていたようだ。


アタラッテは鈍感なのだろう。アタラッテは何処か不服そうに席についた。


全員が座ったのを確認して、オグマは皆を見回しながら口を開く。


「…家を買ったようだな」


オグマがそう口にすると、他の四人が顔を見合わせた。


そして、アイコンタクトで代表に選ばれたブリュンヒルトが口を開く。


「あ、あれはね、オグマ。レン様が建ててくださったのよ?」


ブリュンヒルトがそう言うと、援護するように他のメンバーが次々と口を開く。


「そ、そうだぜ? 凄いんだよ、ほんのちょっとの時間で建っちまったんだ! しかもタダ!」


「それに、拠点もこの街にするつもりだから…」


「そうなんです。我々はあの前人未到の深淵の森を…」


四人がそれぞれ必死に言い訳をする様を見つつ、全ての言い分を聞き終えたオグマが口を開いた。


「…税金は? 今まで拠点にしていたレンブラント王国の王都でその話はしたんだろうな? Sランクへの指名依頼なんて冒険者ギルドが受理していたらワシら以外に受けれる者はおらんぞ」


オグマがそれだけ言って口を閉ざすと、他の四人も押し黙って俯いてしまった。


まるで通夜のような雰囲気のテーブルが誕生してしまい、俺は頭を抱えたくなった。


オグマよ、冒険者ギルドにそれだけ配慮出来るなら、俺にも配慮しろよ。


隣の席が海の底のように暗いのに、こっちだけ楽しく会食なんて出来るわけがない。


「オグマ、それくらいにしてやってくれ。俺が深淵の森攻略を焚き付けたんだからな」


「…何故、深淵の森を? あの先に何があるというのですか」


俺がフォローのつもりでそう言うと、オグマは訝しげな顔で俺を見て、そう尋ねた。


「深淵の森の奥には俺の本当の城がある」


俺がそう言うと、オグマは眉間に皺を寄せて呻いた。


そして、俺と同じテーブルに座っていたクレイビスが勢い良くこちらを振り返った。


「本当の城!?」


クレイビスが声を裏返らせながらそう叫ぶと、ユタもこちらに顔を向けた。


「では、この城は…」


「この城は3日くらいで建てた新しい城だ。まぁまぁ良い出来だが、本当の俺の城はもっと凄いぞ。実際に俺が数ヶ月かけたからな」


俺がそう言うと、3人は目を剥いて固まった。


「…み、3日? 3日ですと? ならば、今まで陛下が防衛に掛かりきりだった新しい領土にも防衛拠点をすぐに…」


ユタがブツブツと何か不穏なことを口にしているが、クレイビスは輝くような笑顔で顔を上げた。


「な、何ですと!? それは、神話の中で建国の祖である初代レンブラント王が…」


クレイビスが興奮した様子で何か喋りだしたが、その言葉を遮ってオグマが俺に話しかけてきた。


「この城を3日など、そんなことが可能なのですかな?」


オグマが信じられないといった感情を全面に出して俺にそう聞くと、オグマと同じテーブルの白銀の風のメンバー達が横から口を出す。


「いやいやいや、本当だって! アタシらの家もあっという間だったんだから」


「そうですよ、しかもタダ」


「その上、一瞬で出来たから内装は簡単な造りかと思ったら…」


「そう! すごく綺麗で豪華で…! まるで貴族の別邸ですよ」


4人からそう捲し立てられ、オグマは困惑しながら何度か頷いた。


「わ、分かった分かった…後で見せてもらうとしよう」


俺は白銀の風のメンバーが揃って食事する風景を見ながら苦笑し、ふと、あることに気が付いた。


「…ん? お前ら、白銀の風とか名乗ってる割にミスリル装備はブリュンヒルトだけか?」


俺が何となくそう口にすると、白銀の風の5人は憮然とした顔で俺を見た。


「…ミスリル製の装備が5つもあるわけが…」


オグマが呆れたような顔と声でそう言いかけて、動きを止めた。


そのオグマを気の毒そうにパーティーメンバーの4人が見つめる。


「…壁一面ミスリルなんて信じられないわよね」


「通路に総ミスリルのフルプレートメイルがあったよ」


「何言ってんの。燭台とかもミスリルだよ」


「知ってるとは思いますが、食器もそうでしたからね?」


「え!?」


オグマの怒りが収まったからか、隣のテーブルは随分と賑やかになった。


あの空気の中で過ごすオグマは普段かなり大変だろうな。


俺はしみじみそう思い、オグマに1つ提案することにした。


「ミスリルの腕輪みたいなやつで良ければやろうか?」


「…は?」


俺が言った言葉が聞き取れなかったのか、オグマは目を瞬かせて俺を見た。


「ほら。ミスリルの腕輪、ミスリルの手甲、ミスリルの指輪、ミスリルのピアス、ミスリルの足甲、ミスリルの…」


俺がそう言ってテーブルの上にミスリル製の防具やアクセサリーを並べていくと、Sランクの冒険者パーティーは完全に停止した。


「わ、私にも! 私にも竜騎士様からのアイテムを! アイテムを! 首輪でも良いです!」


と、それを見ていたクレイビスが騒ぎ出した。


俺は一瞬考えたが、ミスリルならば問題無いと判断して頷く。


「お前は王だからな…ミスリルの短剣をやろうか」


俺はそう言って出来るだけ豪華な装飾の短剣をテーブルに置いた。魔術刻印すらない安物のミスリルだが。


だが、クレイビスの顔面を崩壊させるには充分な一撃になったらしい。


クレイビスはうわ言のように、家宝に家宝にと呟き、鞘に納められた短剣を両手で掲げている。


ユタが何か言いたそうな顔で俺を見ているが、あえて放置した。


少し大盤振る舞いし過ぎたからな。


選ばれた者しか貰えないということにしよう。


この場にいる客人の八割は貰っているが。


…こっちを見るな、ユタ。












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