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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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12日目、朝

朝が来た。


身体が動かせない状態で寝て、そのまま朝を迎えたせいで腰が痛い。


何か卑猥なことを想像させる言い方になってしまった気がする。


単純に11対1の無慈悲な戦いを終えただけなのに。


くそぉ、メイド部隊め!


俺はリベンジを心に誓った。


そして、何も言われたくない為、メイド部隊が退室するまで寝たフリをした。


あ。


誰だ、去り際に触ったやつ。





朝一番の玉座の間に顔を出したのは、建築士のディグニティだった。


ディグニティは嬉しそうな顔で身体をくねらせると、男らしい声で俺に報告を始めた。


「ボス。城の建設、城下町の大通りの石畳、城下町を囲う外側の城壁、完成致しましたわ?」


「ん? 昨日の昼過ぎは城壁は出来ていなかっただろう?」


俺がディグニティの報告に疑問を返すと、ディグニティは自慢気に頷いた。


「夕食迄には城壁の外観が完成して、内観も夕食後に完成しましたわ。後は、村人達に説明して家を建てたり?」


「ふむ、仕事が早いな。なら、今日の作業は昼からするように言っておいてくれ。今日の昼からと明日でグラード村の人々の家を建てるとしよう」


「畏まりましたわ?」


俺はディグニティの返事を聞いてからエレノアに昨日のジーアイ城内外の報告書に目を通す。


特筆すべき点が一つだけあった。


中位のドラゴンの発見だ。


ゲームの基準で考えると、良くイメージされるドラゴンらしい姿のドラゴンは中位より上になる。


サイズも大きく、1番小さいので龍人のラグレイトがドラゴンの姿になった時と同じ10メートル。


大きなものになると、なんと50メートルになる。


もはや、生物ではなく建造物だ。自由の女神の倍に近い大きさなんて馬鹿じゃなかろうか。


だが、意外にも最上位のドラゴンは15から20メートルのものが多い。


イベントムービーで、巨大なドラゴンを半分以下のドラゴンが打ち倒すシーンがあったが、ずいぶんと興奮したのを覚えている。


ゲームのクリエイターの都合では無いと信じたいところだ。


さて、そのドラゴンだが、中位のドラゴンにもランクがあり、属性のあるドラゴンが中位の中での最上位となる。


今回発見されたのは土属性のドラゴンであるアースドラゴンだ。


サイズは30メートル。アースドラゴンの中では最大級である。


報告書には、そのアースドラゴンを捕獲、テイムしたと簡単に記されている。


これ、深淵の森の主なんじゃないの?


俺は報告書をぼんやり見ながらそんなことを考えていた。


「どうかされましたか?」


俺が報告書を眺めているのが気になったのか、エレノアが俺に尋ねてきた。


「ん? ああ、このドラゴンが気になってな」


「アースドラゴンですね。何でも人語での会話が出来るそうですが、お会いになりますか?」


エレノアはそう言って首を傾けた。


俺は報告書をエレノアに渡すと、玉座から立ち上がり口を開く。


「そうだな。実際に見てみよう」





エレノアの案内のもと、捕獲されたアースドラゴンを見に赴く。


気分は動物園に行く気分だ。


しかし、アースドラゴンはジーアイ城内の中庭に座っていた。


「サファリパークだったか…」


俺がそう口にすると、エレノアが疑問符を浮かべて俺を見ている気配がした。


アースドラゴン。


その名に相応しい、厳つい龍である。背中に生えた羽まで厳ついが、なんとしっかり飛ぶことが出来る。


だが、茶色の鱗は光沢があり、表面も滑らかで美しい。


俺がアースドラゴンを観察していると、アースドラゴンは俺とエレノアに気が付いたようだった。


「…我は深淵の森を治めるアースドラゴン、イシュムガルド。此度より、主であるリーザ様に仕える身だ。よろしく頼む」


アースドラゴンはイシュムガルドと名乗ると、その場で頭を俺に向かって下げてみせた。


もっと尊大な態度をとるものかと思っていたが、イシュムガルドは意外にも殊勝な性格らしい。


俺がイシュムガルドを眺める顔を見て、イシュムガルドは喉を鳴らすような音を立てた。


どうやら笑っているらしい。


「我も1000年はこの地で森の王をしてきたが、リーザ様に反論も出来ぬほど完全なる敗北を経験させられたのだ。これで踏ん反り返るような恥は晒せぬわ」


イシュムガルドはそう言って顔を上げた。


俺は納得して頷き、イシュムガルドを見て口を開く。


「俺はレンだ。この城の主であり、国の王でもある。よろしくな」


俺がそう言うと、イシュムガルドは目を見開いた。


「なんと…つまり、リーザ様の主人であられるか。ならば、我もまた家来としての態度をとるとしよう」


イシュムガルドはそう言うと、顎を地面につけて俺を見た。


平伏しているらしい。デカすぎてそれでも俺が見下ろされているが。


「我が主の仕える御方よ。我は永久の忠誠を主と御方に誓おう」


「まあ、気楽にな」


イシュムガルドに返事を返しながら、俺はアースドラゴンそのものに対して考えを巡らせた。


ゲーム内でのアースドラゴンならば、確かにリーザでも倒せる。


だが、リーザは魔物使いとしては最強クラスであっても、ギルドメンバーの中では中間くらいだ。


レベルが下の戦闘専門職とは中々勝負にならないに違いない。


そこまで考えて、俺は根本的な前提条件を思い出した。


外を見回る部隊は10人で一隊なのだ。


ならば、テイムの確率を上げる為にリーザが前衛として戦い、後方支援で回復や補助魔術の援護を受けていたのだろう。


そうすれば、魔物使いとてアースドラゴンは苦も無くたおせる。


俺はそう結論付けると、イシュムガルドを見上げた。


「イシュムガルド。お前はこの森を治めていたんだろう? そんなお前がこの城に居て大丈夫か?」


俺がそう尋ねると、イシュムガルドは少し顔を上げた。


「特に問題は無い。別に我が何かを管理していた訳でも無い。我はただあそこが住みやすかっただけだ」


「住みやすいか? まあ、食物は豊富かもしれんが」


俺がそう言うと、イシュムガルドは目を細めた。


「ドラゴンは基本的に静かな空間を好む。深い森の中、山の上、少し離れた離島などだ。そういった場所にいる魔物は強さに敏感だから我らに近寄って来ない」


「なるほどな。ならば、この城に住んでみるか。住むならお前の城を新たに作ろう」


「城を?」


俺がイシュムガルドにした提案に、イシュムガルドは強い興味を持ったらしく、無意識に下げていた頭を持ち上げた。


「興味あるか? まあ、それなりに快適には作ってやるぞ」


俺がそう言うと、イシュムガルドは目を丸くして頷いた。


「うむ。我らは様々な地に王として住む。だが、城を持つ者は我らの国の王である聖竜王様のみだ。その城は遥か昔、3000年程前のドワーフ達によって建てられたとされる」


イシュムガルドは興奮しているのか、語気も強くそう口にした。


「ふむ。ならば、その城に負けないものを作らないとな。大きさはどのくらいだ?」


俺がそう聞くと、イシュムガルドは短く唸った。


「…大きさ、大きさか…なにぶん、我も幼い頃に国を出ているからな。ドラゴンの中で最も大きな者が二体は入る城と言っても分からんか」


「グランドドラゴンと仮定したら50メートルか。ならば、高さでこの城と同じくらいで、幅と奥行きを少し狭くするか?」


俺がそう言うと、今まで黙っていたエレノアが一歩俺に近づいた。


「恐れながら、ご主人様。部下の城がご主人様と同じ高さでは問題があります。ですので、ジーアイ城の斜め前の地面を下げて、そこにご主人様のお考えになる城をお造りになってはいかがでしょう?」


「ふむ、面白いな」


エレノアが口にしたアイディアに、俺は口の端を上げて頷いた。


地中海に面したヨーロッパの街並みのように、ジーアイ城を頂点にした坂を作っても良いかもしれない。


途中途中に別の建造物があり、外から来た者は下から順番に建物を通過して登ってくる。


世界中の冒険者達が目指す神話の地に相応しい景色になりそうだ。


ただ、問題はジーアイ城の建つ位置があまり高い位置にないということだ。


ジーアイ城の地下には地下の設備があるなら地面をせり上げるのも難しいかもしれない。


まずは、ディグニティに相談してみるか。


俺は自分の中で結論を出すと、微動だにせずに俺の言葉を待つイシュムガルドを見た。


期待感が伝わってくるような目をしている。


「とりあえず、城の構想を練るから期待して待っていろ」


「おお、心得た。期待していよう、御方よ」


イシュムガルドは俺の言葉を聞き、また深く頭を下げた。





















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