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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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11日目、朝。

暗殺者は音も無く忍び寄る。


暗殺者は気配を殺す達人でもある。


暗殺者に無防備な背後を取られれば、最早その運命は暗殺者の手の内にある。


朝。


俺は朝日に目を細めながらそんなことを考えていた。


隣を見ると、そこには目を見張るほど美しいダークエルフの美女がいた。


黒い髪が頬から首筋、鎖骨へと垂れ、美女の一際大きな胸を隠すように流れ落ちている。


まあ、隠せてないんですがね!


俺はセディアの大きな胸が柔らかそうに形を変えているのを見て…。


「お、おはよう。大将、朝から元気だね…ど、どうする?」


セディアの胸を見ていると、眠っていると思っていたセディアが薄っすら目を開けて頬を染めていた。


え、どうするって何?







玉座の間に行くと、そこには既にエレノアが待機していた。


「おはようございます、ご主人様」


エレノアは深々とお辞儀をすると、顔を上げて俺を見上げた。


薄っすらと眼の下にクマがある気がする。


「昨日はセディアにしてやられました」


「うん?」


俺が玉座に座ると、エレノアがそんな切り出し方で話し始めた。


昨日は確かに、珍しくエレノアが寝室に突撃して来なかったが、セディアに閉め出されたのか?


俺の胸中の疑問を察したのか、エレノアは俺の顔を確認して溜め息混じりに口を開く。


「以前、ちょっと借りを作ってしまったものですから…セディアに押し切られました」


「…そうか」


エレノアの話を聞き、俺はあまり深くは考えないことに決めた。


さあ、とりあえず朝食を済ませたらブリュンヒルトに会いに行くか。


俺は頭の中で今日の予定を立て、食堂で朝食を食べる。


テーブルを囲むのはエレノアと今日行動を共にする俺の護衛3人。


龍人のラグレイト、ハイエルフのサニー。


そして、今回の俺の護衛最後の一人、妖精族のイオだ。


妖精族はドワーフよりも更に小さく、背中に透明な羽根があるのが特徴の種族だ。


その幻想的な種族特性にプレイヤーの中でも濃いファン層を持つ種族だが、俺はどうも納得出来る雰囲気の外観をした妖精族をメイキング出来なかった。


どうしてもその身長を意識して幼い見た目にメイキングしてしまうのだ。


まあ、一人だけ顔に傷のあるおっさん妖精がいるが。


そんなこんなで、我がギルドで妖精族は僅かに5人しかいない。


その貴重な一人であり、我がギルド最強の魔術士の一人でもあるのが魔導王のイオである。


「ん? 僕の顔に何か付いてますか? マスター」


イオは可愛らしい顔を斜めに倒してそう口にした。


緩くウェーブのかかった淡い緑色の髪を揺らし、服は髪の色に合わせた緑色の龍の皮で出来た服を着ていて、茶色のマントを羽織っている。


ちなみにイオは子供用に見える座面が高い椅子に座っていた。


「ん? いや、イオは可愛いと思ってな」


「えひゃっ!? ぼ、ぼぼ、僕!? 」


俺が軽く笑いながらイオを褒めると、イオは顔を真っ赤にしてどもり出した。


うん、可愛い可愛い。


「あ、ありがと、マスター」


照れながらお礼を言うイオに目尻を下げていると、エレノアが急に髪型を整え出した。


エレノア君、君はキレイ系かと。


朝食を食べ終えた俺達はシェリーを連れて、ヴァル・ヴァルハラ城へ向かった。


飛翔魔術ですぐである。


「な、なんですか、このお城!?」


ヴァル・ヴァルハラ城を見たシェリーが大声で叫ぶ。


「ヴァル・ヴァルハラ城だ」


「そ、それは聞きましたが…! よ、4日? 4日でこんなお城が出来たんですか!?」


「何を言う。3日で出来たぞ。内装も含めて…あ、いや、やはりまだ出来ていないな。露天風呂を増設中だ」


俺がシェリーにそう告げると、シェリーは目玉が飛び出るのではないかと思うほど目を見開いた。


「…し、信じられない…これが、神話の世界なんですね…」


シェリーは良く分からないことを呟きながら城を見上げていた。


良く見れば展望台の下に新しい屋根が出来ているが、露天風呂が完成したのだろうか。


「見に行ってみるか」


俺は早速露天風呂のチェックに向かった。


もしかしたらこの城に残った生産職のギルドメンバーが造っている最中かもしれないが、それも面白い。


そんなことを思いながら城内を進み、露天風呂行きらしき扉を開けると、綺麗な脱衣所が出来ていた。


そして、目の前にはアンダーシャツを着ようとしているブリュンヒルトの姿があった。


露出していた肌と違い、普段隠れている肌はかなり色白だった。


そして、鎧の上からでは分からなかったが、胸が大きめなのにかなり腰がくびれている。


鍛えられているのが良くわかる、陸上の選手に近いアスリート体型だ。


俺はシャツを着ようとした状態のまま固まるブリュンヒルトを上から下まで確認し、十分に考察してから口を開いた。


「悪い、入っているとは思わなかった」


俺はそう言うと、扉を閉めて脱衣所から出た。


「れ、レン様…」


そこはかとなく非難めいた目で俺を見てくるシェリーに、俺は軽く首を左右に振る。


「なんて悲しい事故だ。俺もまさか既に風呂が出来ていて湯まで張ってあるとは思わなかったし、アイツが脱衣所の扉に鍵を掛け忘れるなんて偶然も起こるとは…大体、なんで俺より先に露天風呂を堪能してるんだアイツ」


俺がそんなことを言っていると、一緒に付いてきていたラグレイトが扉を指差して口を開いた。


「ドアノブに入浴中の札が掛かってるけど」


ラグレイトにそう言われて確認すると、確かにドアノブには紐で板状の札が掛かっていた。


シェリーからの非難めいた目が先程よりも強くなった気がする。


「…よし、謝ろう」


俺がそう言うとサニーが頷いて脱衣所の扉を開けた。


「す、すみません! ディグニティさんに確認がてら一度入って欲しいと言われてて!」


サニーが扉を開けた直後、中からブリュンヒルトの謝罪の言葉が飛び出した。


見ると、アンダーシャツとパンツを着込んだブリュンヒルトが頭を下げて謝っていた。


「いや、こっちこそ急に開けて悪かったな」


俺はブリュンヒルトの謝罪に合わせて謝罪の言葉を口にした。


「い、いえ! そんな! 私の女らしくない身体なんて全然…!」


ブリュンヒルトは俺の謝罪に戸惑い、慌てて自虐的なことを言い出した。


「何を言う。引き締まった美しい身体だ。男ならば皆が惹きつけられる魅力的な姿だぞ」


「え?」


自分を卑下する勢いのブリュンヒルトに俺はフォローの言葉を口にしたのだが、ブリュンヒルトは吃驚して目を丸くした。


その様子に首を傾げながら、俺は固まるブリュンヒルトに声をかける。


「じゃあ、着替えたら正門へ来てくれ」


俺はそう言って脱衣所を出た。


仕方ないので玉座の間に行き、カルタスとローザに挨拶がてら報告を聞いて、俺達は正門へ向かった。


正門に着くと、既にブリュンヒルトが鎧を着て待っていた。


それを見て、シェリーが2度3度と瞬きをする。


「…え? ぶ、ブリュンヒルト様?」


「お? 今気がついたのか?」


シェリーはブリュンヒルトの正体にやっと気が付いたらしく、口をぱくぱくと開け閉めしながら俺を見ている。


つまり、今までシェリーの中でブリュンヒルトはただの下着姿を見られた女だったのか。酷い奴だ。


「私を知ってる人もいるのね。白銀の風のブリュンヒルトよ。よろしくね」


ブリュンヒルトは何処かホッとしたような表情を浮かべてシェリーに挨拶をした。


シェリーは背筋を伸ばしてから勢い良く頭を下げる。


「お、お初にお目にかかります。シェリーと申します。この前まで魔術学院に在籍しておりました。よろしくお願いします」


「へえ? メルディアの後輩なのね。何番?」


「あ、いえ、その…56位です…」


「なんで申し訳無さそうなのよ。十分凄いわよ?」


何の波長が合ったのか。二人は急に世間話を始めて盛り上がり始めた。


俺は一頻り二人がやり取りを終えるのを待ち、咳払いをしてブリュンヒルトを見た。


「そろそろいいか?」


「あ、す、すみません!」


俺が声をかけると、ブリュンヒルトが慌てて謝罪し、シェリーはブリュンヒルトのそんな態度を見て目を見開いた。


「ちょっとお前のパーティーに会ってみたくなった。お前のパーティは何処にいるんだ? ブリュンヒルト」


「わ、私のパーティーですか? 今はまだランブラスに宿をとってると思います。冒険者ギルドで噂を聞いてその足で私だけこちらへ来たので…」


「偵察か?」


「あ、いや…こ、好奇心で…」


恐縮して言葉が尻すぼみになっていくブリュンヒルトを横目に見つつ、シェリーがそっと俺の隣に来て口を開いた。


「ぶ、ブリュンヒルト様と何があったんですか?」


「試合をして勝っただけだ」


シェリーの質問に俺が端的にそう答えると、シェリーは俺とブリュンヒルトを交互に見て、呆れた顔で俺を見た。


「伝説の剣を持つ英雄なのに…」


悪いな、夢を壊して。

















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