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最強ギルドマスターの一週間建国記  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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地元ピープルと城下町計画

固まっていた村長達が正気に戻り、俺たちは村長の家に集まった。


自らの村のことの為、殆どの村人も集まってきている。


村の中では一番大きい村長の家だが、流石に全員は入らないので戸や雨戸は全て開けられ、そこから村人が顔を覗かせている。


村長の家の中には、俺と護衛のサイノス、セディア、サニー。そして、村長とダン、ダンの妻であるミエラと2人の娘、シェリーがいた。


ラグレイトは龍人であることは秘密にしようと考えているので、可哀想だがドラゴンの姿で待機してもらっている。


「なんでお前がおる」


と、いきなり村長が隣に座るダンに文句を言った。


「俺はレン殿の部下になるのだ。ここに居ても問題はない」


「何を勝手なことを!」


村長に文句を言われて憮然として反論するダンと、目を吊り上げていく村長。


「別に良いぞ。とりあえず話をさせてくれ」


俺は何故か急にいがみ合う2人を宥めて話を切り出した。


「さっきも告げたが、今回、俺達の国は興した。この村の人々が良いと言うなら、ここから深淵の森へ少し向かった場所に城を建てる予定だ」


俺が改めてそう言うと、村長は大きく頷いた。


「聞くまでもありません! 私達も是非協力させていただきたい!」


村長は村人の採決すら取らずに勝手に了承の旨を口にした。俺は一応他の人にも意見を聞こうかと思ったが、何故か俺の視界に映る村人皆が首を縦に振っていた。


竜騎士の肩書きはそこまで強いものか。


俺が驚いていると、1人だけ、首を縦に振っていない人がいた。


魔術士、シェリーである。


「君は反対か?」


俺が尋ねると、シェリーは慌てて首を振る。


「い、いえ! そ、その、この村はレンブラント王国の領土内です。だから、その…」


シェリーがそう言うと、村長が鼻息も荒く拳を握って掲げた。


「何を言う。なんなら私からビリアーズ伯爵様に伝えて参りましょう! 竜騎士様が国を興す! このような奇跡のような話を誰が断るというのか!」


村長はそう言って腕を振り上げる。


当たり前だが、やはり昨日の今日では話は何も伝わっていないようである。


俺は興奮する村長と心配そうなシェリーを見て口を開いた。


「ああ、ビリアーズ伯爵は辺境領と、周囲の幾つかの領土を持つ領主と共に俺の国に入る予定だぞ。辺境領を維持してきた実績があるから、とりあえず伯爵は宰相だ」


「ぬぇ!? び、ビリアーズ伯爵様が宰相に!? もうそこまで話が…!」


「は、伯爵様が?」


俺の説明に村長とシェリーは驚いてそう言った。外にいる村人達からも驚きの声が聞こえた。


俺は2人に頷くと、後ろに立つサイノス達を指差す。


「俺達は戦闘にはそれなりに自信がある。竜王クラスなら問題無く討伐出来るだろう。だが、国を管理したことは無い。急に一から全てを創り上げていくのも良いが、間違いなく混乱するし形になるまで長い時間がかかる」


「な、なるほど。それでビリアーズ伯爵様に…」


「え? 竜王? え?」


俺の説明に2人はそれぞれ反応しているが、俺は気にせずに話を続ける。


こっちはさっさと理解してもらって城を作りたいのだ。


ビバ物作り!


「ああ。とりあえずは城を作りながら各領地を見て回り、悪い所は直す。住んでいる住人に聞けばすぐ分かるだろうからな」


俺がそう言って話を区切ると、村長がかしわ手を打った。


「素晴らしい! 民の暮らしを実際に見聞きされるのですな!? そのような治世を行われる王はおりませんぞ!」


村長はそう言って1人で唸っている。


まるで接待か何か受けているような気分になる持ち上げられ方だ。


「まあ、それは良いとしてだ。出来たらこの村を城下町にしたいんだが」


「あぁりがたいお申し出っ! こちらからよろしくお願いします!」


俺が要望を口にした途端、村長が大声で叫び、賛同を示した。


そのあまりの大声にダン一家が肩を跳ねさせて驚く。


「なんだ、いったい。耳が痛くなる」


「本当。ああ、驚いた…」


ダンとミエラがそう苦言を呈すと、村長は眉間に皺を寄せて2人を一瞥した。


「これがどれ程凄いことか分からんのか。城下町だぞ? それも、竜騎士様のお膝元だ。どこよりも栄える街となるだろう」


村長が唾を飛ばして力説すると家の周囲にいた村人たちからも歓声が上がる。


だが、ダンは溜め息を一つして視線を村長から外し、口を開いた。


「また金か」


「あぁん!?」


ダンが一言そう呟くと、村長が何処ぞの不良のように目に力を込めてダンを睨んだ。


この2人は仲が悪いようだ。


俺が険悪な様子の2人を見ていると、ミエラが俺に対して頭を下げてきた。


「申し訳ありません。この2人は良くこうやってじゃれ合う時がありまして。仲が悪いわけでは無いのですが」


ミエラはそう言ってお淑やかに笑った。


村長の家に後から来た時も思ったが、ミエラはあの死を目前にしたような瘦せ細った様子からは考えられないほど快復していた。


病気か怪我かは判別出来ないが、回復薬は効いたようである。


「そうか。まあ、仲が悪く無いならば良いさ」


俺がそう答えると、ミエラはくすくすと笑った。


ミエラとシェリーからは村長の家の前で感謝を伝えられたが、並んで頭を下げた2人は良く似ていた。


シェリーは今は可愛らしい少女だが、美人になるのだろう。ミエラを見て何となくそう思った。


ふと、ミエラの顔を見ているとシェリーから視線を感じた。


「あ、あの…」


俺と視線が合うと、シェリーは緊張しながら俯き加減に俺を見上げてきた。


やがて意を決したのか、顔を上げて口を開く。


「私を、弟子にしてください!」


「…ん? 俺のか?」


シェリーの急な申し出に、俺は戸惑いながら聞き返した。


シェリーは勢い良く何度も頷いているが、俺は曖昧に笑って口を閉じた。


俺は魔法剣士だが、シェリーよりはかなり魔術は使えるだろう。多分、教えることも出来るかもしれない。


だが、今の俺は町作りがしたい。


しかし、ここで第一町民を蔑ろにするのも気が引ける。


「…そうだな。なら、うちの魔術士に一度教えを受けてみるか?」


「本当ですか!?」


俺が妥協案を口にすると、シェリーは飛び上がって喜んだ。


「よかったじゃない」


喜ぶシェリーに母であるミエラも目を細める。だが、それを見ていたダンが水を差した。


「ん? しかし、お前はビリアーズ伯爵様に仕えると言ってなかったか?」


「…あ」


ダンの疑問にシェリーはハッとした顔になり、口元に手を当てる。


俺は仕方なく、シェリーを見て口を開いた。


「ビリアーズ伯爵には俺が言っておいてやろう」


「え? い、いいんですか?」


「大丈夫だ」


俺がそう言うと、やっとダン一家は喜びを分かち合った。


3人には新しく作る城に住んでもらうとするか。


ダンは執事は…無理か。城の維持管理か?


ミエラは料理の腕次第では厨房だな。ダメならメイドだ。


シェリーには誰を教育係に置くか。1番レベルが低い魔術士のウィルビーでいいか。


俺がそんなことを考えていると、村長の家で周りに集まっていた村人達からも俺の部下になりたいという声がチラホラと聞こえてきた。


いや、町作りをさせてくれ!



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