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第6話 初勝利

 スケルトンが、ゾンビを召喚した。後方から、矢を撃ってくる。


 私は木刀で、矢を弾き返した。返す刀で、スケルトンをゾンビごとぶん殴る。


 武器が木刀だからか、打撃ダメージも入るようだ。木の剣だから耐久性などが心配だったが、案外戦えている。


「面倒だ、プラズマセイバーで灰になっちまえ!」


 木刀からの雷撃で、一気に勝負を付けた。


 勝ったぞ! 初勝利だ。


「残敵はなし、と」


 私は、武器をしまった。


 気がつくと、私の【戦闘用人格】も引っ込んでいた。


 そういえば、対応が早かったな。きっとクラランちゃんを助ける段階で、私は戦闘用人格を発動していたに違いない。でないと、あんな迅速に対処できないよ。

 

 戦闘用人格って、誰かを守るときに発動するのかも。

 

 ならば、感謝だな。今はゆっくり、休んでてねー。


 戦闘中に、レベルが三つも上った。


 ポイントを割り振った能力値に沿って、基礎的なステータスが上がっていく。



~~~~~ ~~~~~ ~~~~~

 


◎ 名前:レオ・シズマ

 


◎ レベル:五

 


◎ ステータス


 体力:一七


 魔力:一六


 敏捷性:一四

 

 命中度:一二


(残りステータスポイント:〇)


◎ ストリーマー 【レオ・シズマ】 専用スキル


【戦闘用人格:レベル 三】 


【アイテム損壊率ゼロ:レアまで】


(残りStP:〇)


 

◎ アクティブスキル

 

 【プラズマセイバー:レベル 三】

 【ハードヒット:レベル 二】


◎ パッシブスキル

 

 【鉄のフィジカル:レベル 二】

 【鷹の目】

 【よくばりさん:レベル 二】

 

 

◎ クラフト用スキル

 

 【クラフト時間短縮 レベル三】

 【素材分裂】

 【食材確定ドロップ レベル二】



(残りスキルポイント:四)


 

◎武器

 木刀『コガラシ』

 

◎防具:身体

 雄女(オトメ)の学ラン


◎防具:その他

 デフォルト装備

 

~~~~~ ~~~~~ ~~~~~


  

 StPストリーマー・ポイントを「二」消費して、【アイテム損壊率ゼロ:レアまで】という流れ者(ストリーマー)スキルを手に入れた。


 手持ちStPを全部消費したものの、これでレア品質までのアイテムは壊れない。武器の消耗を気にせず、安心して戦える。



「とんでもない数のモンスターに、追われていたんだなあ。クラランちゃん」

 

『ボス部屋でも、踏んだんやろか?』


 とにかく、この先は危ない。警戒したほうがいいね。

 

 それこそクラランちゃんと一緒に、攻略へ向かったほうが……。

 話せるかなあ、クラランちゃんと……。


 私は事務所を出た身だ。口を利いてくれるかどうか。


『相手はレオが事務所におったこと、知らんのやろ? 顔も変えとるんやし』


「そうだけど」


 なんかの拍子で、私の前世がバレちゃわないかなぁ。


「せめて、この世界に【コミュ力】のステータスがあったらなあ。バクアゲするんだけどな」


『スキル振りに頼ってる段階で、コミュ力終わっとるやん』


「うっせ」


『おっ。帰ってきたみたいやで』


 私は、地上に戻った。


 クラランちゃんが、私に向かって走ってくる。冒険者風の一団を、引き連れていた。

 後ろにいるのは、おそらくクラランちゃんのリスナーたちだろう。みんな顔が没個性的で、動きがロボットみたいだし。



「おーう! ブジでしたか!」


 クラランちゃんが、また私にハグをしてきた。

 着物はキレイになり、折れていた装備も元に戻っている。


 それはそうと、ホントに言葉が通じるんだな。


 まあ、この子はリスナーからガチ日本勢と勘違いされるくらい、日本語うまかったけどさ。

 中の人の正体も、「日本のどら焼き屋で働く、留学生」だし。若いから、文化の吸収もめっちゃ早かったんだよね。

 

「仲間を連れてきまーした! って、もう全部、やっつけちゃったでーすか?」

 

 穴からそっと奥を覗き込んで、クラランちゃんが様子をうかがう。


 クラランちゃんのリスナーも、同じように穴を確認していた。


「おケガはありませーんか? ミーは、回復魔法を使えまーす」


 白い手を、クラランちゃんが差し伸べてくる。


「大丈夫だよ」



「ありがとうございまーす。ミーはクラランといいます。あなたは、誰でーすか?」


「私は、レオ・シズマだよ。中二病系Vを名乗ってる」


「聞いたことがない、お名前ですねー。【流れ者(ストリーマー)】の登録は、なさいましたか?」


 たしか、そういうのがあったな。


 ストリーマーは個人勢にせよ企業勢にせよ、ちゃんとストリーマー・ギルドで登録しないといけないのだ。

 でなければ、最悪【荒らし】認定されてしまう。


「実は、してないんだよね。街まで、案内してくれないかな?」


「わかりまーした! では、参りましょー。転送魔法でひとっ飛びもできまーすが」


「いや、歩いて向かいたい。どんな生態系なのか、確認しておきたいし」


 今は、特にダメージを受けていない。瀕死だったら、すぐにでも転送させてもらいたいけど。


 自分が単身でどこまでやれるのかは、一応確認が取れた。


「わかりまーした。護衛はリスナーのみなさんがやってくれまーす。素材も集まって、ウィンウィンでーす」


 クラランちゃんの言葉通り、リスナーたちもウッキウキで魔物を討伐している。

 

 この付近は弱い魔物ばかりだが、クラランちゃんがいるとレアリティの高いアイテムもたまに落とすらしい。

 

 それがクラランちゃんのストリーマー固有スキル、【聖女の行進】の能力なんだとか。


 だから、リスナーも張り切っているんだね。

 

「ミス・レオ、ユーは最近、こちらに来たのですか? 個人勢ですか?」


「う、ん。こ、じん、ぜい。だよ」


 たどたどしく、私は話す。


「なにを緊張してんねん?」


「うるさい。ダリは黙ってて」


 間違っても「元同期」なんて匂わせたら、承知しないんだからっ。


「そのマスコットさんは、ミスター・ダリというのでーすね?」


 クラランちゃんが、ダリに反応した。


「せやで。オイラはレオのガイド役や。よろしゅうな」


「よろしゅーでーす。ところで、ミス・レオ?」


 私は「ん?」と、クラランちゃんに向き直る。


「ユーとは、どこかでお会いしたこと、ありませんか?」


「え、どうしてそう思うの?」


「ミーの名前を知っていたからでーす。ミーは名乗っていませーん」

 

 ッスー……。

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