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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
アスター魔法学校 3年後期
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「怒ったときに、どの魔法が発動するかは毎回変わるのか?」

 と、ガーネットに尋ねられた。

「雷魔法は必ず発動する。その他は毎回変わるよ。自分が何を考えているかで発動する魔法が変わるんだろうけど、何を考えるとどんな魔法が発動するか、冷静に観察する余裕は私には無いし、危ないから他の人が近づくこともできないし、調べるのは無理だと思う」

 と、私は言った。

「今のところ、姉さんと僕が魔力を抑えるのに苦労するような怒り方をした相手は、パイルト共和国とアメシスト公爵家、エミルさん達を除いた魔導具と魔石の研究機関の人達くらいだね。先生達にそういう怒り方はしないというか、できないから、今まで通り接してもらえると嬉しいよ」

 と、翠玉が言って、私も頷いた。


「わかりました。…レムリア先生への噂や、黄玉様と翠玉様の侍従が出世したことに対する噂については、宝石竜様がご不快な思いをなさっている、と、貴族達に伝えておきます」

「私も伝えるわ。私達から広めることで、今後はそのような噂が減ると良いけれど」

 と、ニールス先生とリシア先生が言った。

「2人から広めて大丈夫?ニールス先生とリシア先生に迷惑が掛からない?」

 と、私が尋ねると、

「大丈夫です。そこは何とかしますので、お気になさらず」

 と、ニールス先生が言って、リシア先生も頷いた。

「わかった。ありがとう」

「ありがとう。頼んだよ」

 と、私と翠玉は言った。


「他に何かお話しはありますか?」

 と、ニールス先生が皆に尋ねた。

「あ、リシア先生。長期休暇中にトキワが練習した魔法についてや、トキワとルリタマから聞いた、植物の魔物についての話をメモしたから良ければ読んでみて。トキワからもルリタマからも、このメモをリシア先生に渡す許可は既に得ているから」

 と言って、私は自分で書いたメモを渡した。

「ありがとう!トキワさんもルリタマさんもありがとう」

 と言って、リシア先生はメモを受け取って、すぐに読み始めた。

「…植物の魔物が実に魔力を溜めておくことは知っていたけれど、植木鉢の中に埋めた結晶に魔力を溜めておいて、自分が使える魔力量を増やすなんて、見たことも聞いたこともないわ!それに、植物魔法で薬草を増やして従魔契約している相手の仕事に協力するなんて話も初めてよ!私も、白ナスのエクルと従魔契約をしているけれど、私があげられる魔力量が少ないせいか、たまに植物への水やりを水魔法で手伝ってくれるくらいなの。攻撃の練習をして積極的に主を守ろうとしたり、主のためにどうすれば良いか考えて、ルリタマさんに教わりながら魔法の練習をしたりしているなんて、色々と初めて知る情報が多くて嬉しいわ!黄玉さん!トキワさん!ルリタマさん!ぜひ、これからも魔法の練習の成果や普段の様子を教えてくれると嬉しいわ!植物の魔物との従魔契約の成功例は本当に少なくて、研究したくても情報が足りないの」

 と、リシア先生に言われたので、

「わかった」

 と私は言って、トキワも頷いた。

 私のマジックバッグからも、

「わかったぞ!気が向いたら魔力溜まりの話もするぞー」

 と、ルリタマの声がした。

「ありがとう!このメモ、本当に頂いて良いの?」

 とリシア先生に尋ねられたので、私とトキワは頷いた。

「ありがとう!黄玉さん!トキワさん!レムリアはこのメモは見たの?」

 と、リシア先生がレムリア先生に尋ねた。

「ああ。先程見せてもらって自分用に写したから、そのメモはリシアが持っていてくれ。植物や植物の魔物を研究しているのはリシアだからな」

 と、レムリア先生が言った。

「わかったわ。明日、もう一度よく読んでみるわ」

「もし、何か気になることがあったらいつでも聞いて。答えられることは答えるから」

 と、私が言うと、

「ありがとう」

 と、リシア先生は言った。


 この場で話しておきたいことは全て話したので、私達は部屋を出て、借りた部屋の鍵を管理人に返してから食堂で夕食を摂った。



 翌朝。

 今日は寮の食堂で朝食を摂って、教室に行って皆と挨拶した。

 いつも通りニールス先生の授業を受けて、放課後にレムリア先生の研究室へ行くと、

「黄玉。さっそく城から手紙が届いた。私の母、ファセリアからで、城の大掃除をするついでに調度品などに破損が無いか鑑定のスキルで調べる手伝いをしてほしいそうだ。行くか?」

 と、レムリア先生に尋ねられた。

「うん。レムリア先生の予定に問題が無いなら行く」

「わかった。ではすぐに行こう」

 と、私達は空間魔法で城の入り口に行き、用件を伝えると、すぐにメルと護衛の騎士が来て、ファセリアさんのところまで案内してくれた。

 部屋の中に入ると、

「ごきげんよう。来てくれてありがとう。手紙に書いたとおり、今日は城の大掃除に伴う鑑定だよ。調度品以外にも、天井や壁の装飾、設置されている手すりなども鑑定する予定だよ。掃除は他の者がするから、黄玉様とレムリアは鑑定して、結果は全て紙に書き写しておくれ」

 と、ファセリアさんに言われた。

 私達が頷くと、

「じゃあ、さっそく始めようか。今日は城の出入り口の鑑定と掃除だよ」

 と、ファセリアさんが言って、皆で出入り口に向かった。


「それで、まずはどこから鑑定するんだ?」

 と、レムリア先生が尋ねると、

「天井や壁の装飾からだよ。次にあちこちの手すり、最後に調度品、という順番だね。他に質問が無ければ始めておくれ」

 とファセリアさんに言われて、私達はさっそく鑑定を始めた。


 天井や壁の装飾を鑑定して、結果を書き写していると、

「黄玉様、お手伝いに来ました」

 と、メルの声がした。

 そちらを見ると、メルとテオ、ロルーナ、ミランがいた。

「ありがとう!掃除の方を手伝ってくれる?」

 と言うと、メルとテオとミランは一礼して掃除を始めた。

「私が掃除をすると、調度品などを落としそうなので…」

 と、ロルーナが悩んでいるので、

「じゃあ、私が鑑定結果を書いた紙を渡すから、持って行ってくれる?向こうに置いてあるテーブルの上に鑑定結果を書いた紙を置くところと、新しい紙が置いてあるところがあるから、私が書いた物を置いてきて、新しい紙を持ってきてほしい」

 と言うと、

「わかりました。お手伝いします」

 と、ロルーナは一礼した。

 ロルーナが手伝ってくれるおかげで、自分で紙を取りに行く手間が無くなったので、スムーズに鑑定を進めることができた。


 天井や壁の装飾の鑑定が終わったので、次は手すりの鑑定をする。

 あちこちに設置されている手すりに危ないところは無いか、壊れかけているところは無いか、レムリア先生やファセリアさんと手分けして鑑定した。

 問題があったところは、後日、職人を呼んで直してもらうそうだ。

 手すりの鑑定も終わると、飾ってある調度品や絵画などを鑑定した。

 傷んでいるところや汚れているところは無いか、陶磁器はひびや欠けは無いか、鑑定して結果を書き写した。

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