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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
アスター魔法学校 1年後期
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 他にも、お昼に入った店で食べた魚が美味しかったとか、町でこういう服や物を買ったとか、色々と話したり見せたりしながら、いつもよりゆっくり夕食を食べた。

 食べ終えて、食器をカウンターに戻し、食堂から出たところで、

「さて、私は部屋に戻る。ガーネット、黄玉、翠玉、また明日」

「ちゃんと早めに寝て、明日も元気に教室に来て頂戴ね」

 とレムリア先生とリシア先生に見送られながら、私達は部屋に戻った。



 ガーネットの部屋で、それぞれ一息ついてから私は、

「翠玉、ガーネット、話しておきたい事があるの」

 と言った。

「どうしたの?姉さん。やっぱり町で何かあった?」

 翠玉にそう尋ねられ、ガーネットも話を聞く体勢になった事を確認してから、冒険者ギルドで聞いた、パイルト共和国の勇者の事を話した。


 2人は、真剣に話を聞いていたが、私が話し終えると、

「……やっぱりあの勇者、生きていたか。それにしても、冒険者からも迷惑がられているなんて、びっくりだよ。パイルト共和国では、人間の中ではそこそこ強くて、酸の扱いに慣れていれば、誰でも勇者に選ばれるのかな?」

「今の、黄玉が聞いた話からすると、そうなんだろうな。だが、宝石竜を本当に仕留めたのなら、やはり警戒は必要だ」

 と翠玉は呆れたように、ガーネットは真剣な顔をして言った。



「…なあ、黄玉も翠玉も強いから、2人のお母様も強かったんだろうと思うんだが、本当に勇者に敵わなかったのか?」

 と、少し考え込んだ後、ガーネットが尋ねてきた。

「私は、お母さんのステータスは見ていないから、どのくらい強かったのかはわからないの」

「母さんは魔法が得意だったから、多分姉さんと似たようなステータスだったんだと思う。僕達宝石竜は、竜の姿だと大きいから、素早さはどうしても低くなる。そして、鱗で防げない攻撃は、強い酸だけと言っても良いくらいに鱗は防御に優れているから、防御は鱗だけで、魔法はもっぱら攻撃のために使う。母さんは、勇者と戦ったとき、竜の姿で戦っていたから、素早さで勇者に上回られて、強い酸のついた剣で切られたんだろう」

 と、私達が説明すると、

「なるほど。強い酸は本当に宝石竜にとって大敵なんだな。まあ、人にとっても危険な物だが。……黄玉が冒険者から聞いた話は、父上に報告しても良いか?」

 と、ガーネットは納得したあと、尋ねてきたので、

「良いよ。陛下は既にご存知のような気もするけど」

 と私は答えた。

「それでも報告するのは大切だ。今から手紙を書いて、明日の朝、学校に行く前にジョンに届けて貰えるよう頼もう」

 ガーネットはそう言って、机に向かい、手紙を書き始めた。


 ガーネットが手紙を書き終えて、封筒に入れて封をし、その手紙をマジックバッグに入れた。

 そして、明日の授業の準備もしてから、ベッドに入って眠った。



 翌日。

 私はさっそく、昨日レムリア先生に買って貰ったローブを着ていくことにした。

 着替えて、寝室から出ると、

「昨日言っていた、買って貰った服?色が違うけど、レムリア先生が着ている服と同じ形だね。姉さんにとても似合ってるよ」

「なんだか、凄い魔法を使いそうに見えるな。……実際、凄い魔法を使っているが。良く似合っている」

 と、翠玉とガーネットが褒めてくれた。

「ありがとう。これを試着したとき、レムリア先生と並んでみたら、リシア先生に、レムリア先生の方が助手に見える、って言われた」

 と私が言うと、

「じゃあ、教室に行ったら2人で並んでみてよ。姉さんの方が先生に見えたりして」

「……翠玉、それはレムリア先生に失礼じゃないか?」

 と、翠玉が笑いながら、ガーネットが苦笑しながら言った。



 あまり話していると遅刻するので、部屋を出て寮の食堂に向かった。

 途中で、寮の出入り口の正面にある、受付に行き、ガーネットがジョンに手紙を渡した。

「今日は速達ではないのか。寮の学生が出す手紙は、速達のような特殊な物以外は料金を学校が払うため、生徒は払う必要は無い。手紙は確かに預かった。今日のうちに出しておく」

 と、ジョンが言った。

 普通に出す手紙は料金が掛からないなんて親切だな、と思いながら、私達は食堂へ向かった。



 朝食を食べ終えてから、教室に向かった。

 鐘が鳴ると、レムリア先生が教室に入ってきた。

「おはよう、今日も皆揃っているな。……お!黄玉、さっそくそれを着てきたか!やはり良く似合っている。さて、今日の授業は学術ばかりだ。1時間目の授業を始める」

 と、授業が始まった。



 放課後、ホームルームが終わると、

「あの、ガーネット殿下、少し黄玉さんとお話ししてもよろしいでしょうか?」

 と、ガーネットがクラスの女の子数人から声を掛けられていた。

「ああ、黄玉が良いと言うならば、私は構わないよ」

 とガーネットが答えると、

「黄玉、今日は助手の仕事は無い。偶には皆と少し話してみると良い」

 と、話が聞こえたらしく、レムリア先生が言った。


「黄玉さん、少しお話ししてもよろしいでしょうか?」

 と、ガーネットに声を掛けた子達が、今度は私に尋ねてきたので、

「勿論です」

 と答えた。



 声を掛けてきた子達の席の傍に行くと、

「改めて、名乗らせていただきますわ。私は、サファイア公爵家の娘、セラフィーヌ・サファイアと申します」

 と、先程声を掛けてくれた子が自己紹介してくれた。

 他の子達も、サファイアさんに続いて、続々と自己紹介をしてくれた。



 クラスの皆からは、偶に魔法の事を尋ねられたり、授業の感想を話したりと、少し話すことはある。でも、こうしてちゃんと話すのは、初めてかもしれない。


「黄玉さんは、今日はローブなのですね。良くお似合いですわ。どなたかからの贈り物ですか?」

 と、サファイアさんに尋ねられた。

「ありがとうございます、サファイアさん。はい、これは昨日、レムリア先生とリシア先生と出掛けた時に、レムリア先生に買って頂きました」

 と私が答えると、

「まあ!黄玉さんは先生方と仲がよろしいのですね。レムリア先生も2年のリシア先生も黄玉さんも、美しくていらっしゃるから、3人並んでいるところを、ちょっと見てみたいですわ」

 と、別の子に言われた。

 しばらく、昨日の先生達とどう過ごしたのかについて、色々と尋ねられたた。

 気がつくと、周りにはクラスの女の子全員が集まっていた。



 話しているうちに、皆に名前で呼んで欲しいと言われたので、呼ぶときは名前で呼ぶことになった。

 そして、最初に自己紹介してくれたセラフィーヌさんが、本題を話し始めた。

「……今日、お話ししたいと思いましたのは、ガーネット殿下がどのような方なのか、もっと知りたいと思ったからなのです。家や社交の場では、あまり深く関わるな、とか、怖い方だ、などと言われる事がありますけれども、学校で実際に接していると、とてもとてもそのような方とは思えませんの。なので、従魔である黄玉さんにお尋ねすれば、本当の事がわかるのではないか、と考えましたの」

「ガーネットは、とても優しいですよ。何かを決めるとき、私達に関係することは、必ず私達に同意を得てから決めてくれますし、何かあると、相談してくれます。過保護すぎると思うこともありますが、いつも心配してくれます。それに、努力家です。様々なことを学んで、例え失敗しても、ちゃんと反省して、失敗を繰り返さないよう、頑張っています」

 セラフィーヌさんの話に対して、私はそう答えた。

 他の子からも、ガーネットについて色々と尋ねられたので、私は、1つ1つの質問に順番に答えていった。

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