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043.背後に気配を感じたら
フレイル・ブレイブ・フレイムスーー。
臆病なこのおれ、勇者見習いが飛ばした炎の斬撃。
炎は意志を持ち、仲間たちを避けつつ、そこかしこに散らばったゴブリンたちを焼き尽くした。
「やったぜ」
おれは強がる。炎の軌跡が、黒コゲになったゴブリンの死骸を見届けるようにして消滅した。
「なんて技だ」
グレゴリーの兄貴アニニスが愕然としていた。おれは苦笑いをする。
実のところこの技の特徴は…言うのをためらうが「おれの恐怖や臆病な心を炎に変える」というものだった。
大昔の地球ーー。動物はみな炎に怯えていた。人類はそれを克服し、炎を操り地上の覇者となった。
フレイル・ブレイブ・フレイムスーー。
それは、おれがいた世界においての炎の歴史を鑑みて生まれた、恐怖を攻撃力へと転化する「象徴的応用」魔法であり「びびれば、びびるほど火力を生み出すという」発動条件の恥ずかしい必殺技でもあった。
「すげぇ技だな、創司」
衛兵長ヤムキンが、おれの肩をたたく。
「勇敢な心を炎に変える技だ。敵のみを焼き尽くす」
言い方を変えれば「恐怖の対象のみを焼き尽くす」だがな。昨夜の魔女ふたりと、おれだけの秘密。
そう言い終えたおれの背後で何かが動いた気がするが、振り返っても岩の壁しかなかった。




