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虚勢

久々の更新になります。

日向櫂はその音を聞き、すぐに警察署内(けいさつしょない)に入った。

 人々が現場に向かったり、現場から逃れようとしている。

 櫂はその中心に向かった。

 その場には・・・・・・かつて日向櫂を殺人鬼にしたてあげた例の人物が居る。黒装束(くろしょうぞく)の殺人鬼が、櫂を、難解(なんかい)そうな目で見ていた。

 櫂は思わず吐きそうになる。しかし昔と今は違う。

 『なぜ奴が・・・・

 奴とのことはもう数年前に終わったはず。

 ならば例の学生服も・・・・・・』

 現場には何人かの警察官の死体と、奴と、そうして日比谷の遺体があった。

「日向櫂か、久しぶりだな。」

そう殺人鬼は、憫笑(びんしょう)する。

「ゴグア」

 櫂はエモノであるナイフを取り出す。

 この相手に油断はできない。

 『必ず殺す気持ちで行かなければ、こっちが殺される』

 櫂は歩きながら、ゴグアに向かう。

 思わず鳥肌(とりはだ)が立った。

「なんでお前が・・・・・・・お前はもう死んだと思ったよ。数年前の戦いのあと、どこに姿を消したんだ?正直・・・・お前の顔は見たくない。吐き気がするんだ。お前は死ななくちゃならない」

 少し震えながら櫂はそう虚勢を張った。

「残念だが、私の方はお前と戦う理由がなくてな。なに、数日中にも私の弟子を向かわせようと思っていたのだ。其の男も殺人鬼でね」

「殺人鬼、か」

「そう。そもそも人類(じんるい)は多すぎる。間引(まび)きの必要があるのだ。」

「お前が私情で動かないことは、師匠(ししょう)も言っていたよ。」

「そう、またほかの理由もある。」

「ずばり言おう。学生服の悪魔だろう?」

「よく分かったな。其のとおりだ。お前の後継者(こうけいしゃ)だよ」

「あの制服もまだあるのか・・・・・・学生服の悪魔はもう終わりにしなくてはならない。なぜあんたには人の死ぬ痛みが分からないんだ?」

「私の信仰するのは一つのみだ。それには人間の死が必要なのだよ。にえは多い方がいい。お前も昔はなかなか役にたったのだがな・・・・」

「言うな。もうおしゃべりはおしまいだ」

 そう言うと、櫂はガロアに特攻した。

次の瞬間、視点が反転していた。

日向櫂は、ゴグアに、頭を掴まれ、宙吊りにされる。

「相変わらずの特攻か。」

「くっ」

他愛(たあい)もない。このままお前を(にぎ)りつぶすのは惜しいのだが。」

「櫂!」

「来るな、唯!」

「ふふ·····ふはははは」

櫂は、命がけで、「天照天地、大地!」即興(そっきょう)二重詠唱(ダブルスペル)


ゴクアの手を逃れる。

「ふっ、また会うぞ日向櫂」


ゴグアの姿はその場にない。

 ぎり、と歯をかみしめる櫂・・・・・・・

 その場には行くあてのない怒りと彼のナイフがあった。


「逃げられたのね」

 そう唯が問う。

「逃げたのはこっちだ。奴は普通じゃない。奴の名前は灰原ゴグア。かつて俺の師だった男だよ」

 そう言うと、唯は息を呑んだ。

 しかし、何事もないかのように言う。

「そう、でも倒すんでしょ?今回はまだ依頼は来てないけれど・・・・・・あんたにとって大事な事件なのは分かるわ・・・・・・」

「ああ、関わらざるを得なくなるな」

 そう言うと、櫂は口を閉ざす。

「俺はもう帰る。所長は警察の情報を拾ってほしい。つてはあるんだろう?電話でもいい」

「はあ・・・・・まったく。分かったわ。タクシー拾う?」

「ああ、そうしてくれ。少し家に帰って頭を整理したい」

「ええ、私もよ」

 そう言うと、唯はタクシー会社に電話をした。

 やがて来るタクシー・・・・・

 二人は無言だった。

 かくして物語は佳境に入る。

 そこには物語るべき何かがあるのだろう。

 語られるべき何かがあるのだろう。

 日向櫂と雪ヶ谷櫂は家へと帰っていく。

 そこには嵐の前の静けさのような、深い沈黙があった。




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