ジュスティーヌの誕生日
ジュスティーヌ、大人になる
今日はジュスティーヌの誕生祭である。国中の貴族が集められ、皇宮に招待される。広間でパーティーが開かれ、皆が我先にとジュスティーヌを祝福しようとする。
「姫様、お誕生日おめでとうございます!」
「プレゼントもございますので、是非後で見てみてください!」
「ありがとうございます!嬉しいです!」
生まれながらに皇族であったジュスティーヌは、ものすごい勢いで迫る貴族達にも余裕で対応する。そんなジュスティーヌの隣に立つシャルルも、特に緊張している様子はない。何故ならシャルル自身が、一番ジュスティーヌを愛し慈しみ守れるのだと自負しているからだ。自信に満ちたシャルルの毅然とした態度に、さすがは皇配になる方だと賞賛の声も上がる。
「ジュジュ。疲れたらいつでもいってね」
「ありがとう、ルル」
「その時は二人でこっそり中庭の薔薇園にでも逃げ込もう」
「うん」
こっそり耳打ちしたので、二人の会話は貴族達には聞こえない。しかし、笑顔の二人の仲睦まじい様子を見た貴族達は、一部を除いて皆大いに沸き立ち祝福した。
「ふふ、ジュスティーヌはすっかりシャルルを気に入りましたね」
「シャルルを選んで正解だったな」
「さすがは皇帝陛下です」
いかに皇后であるエリザベスでも、パーティー中はなかなかジュスティーヌに話しかける事が出来なかったが、パーティーが始まる前に〝お誕生日おめでとうございます〟と言えたので満足していた。
「ジュスティーヌ、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとうございます、お義母様」
ちなみに、ユルリッシュはジュスティーヌの誕生祭だから特別に出席を許したが、基本的には外交も含めてエリザベスには寝ていてほしい。無理はさせたくないらしい。ジュスティーヌはプレゼントの魔法の杖も大変喜び、今度から使うと約束してくれた。
「お義母様!この杖最高に馴染みます!」
「それは良かった!」
ユルリッシュもパーティーの前にジュスティーヌを祝福できた。ジュスティーヌはその言葉やプレゼントに喜ぶ。
「調理器具セット!これでルルにも喜んでもらえますね!」
「お父様にはくれないのか?」
「もちろんお父様とお義母様にも作ります!」
「それは良かった」
にっこり笑うユルリッシュに、釣られて笑顔のジュスティーヌである。
その次はアーノルド達三つ子が祝福し、アイシングクッキーの詰め合わせをプレゼントしていた。あとでエリザベスにも分けてくれるというジュスティーヌに、愛を感じて嬉しそうなエリザベスだった。
「姫様、お誕生日おめでとうございます。姫様のこれからの毎日に、加護と祝福が溢れますように」
「三人とも、ありがとう!」
シャルルもパーティーが始まる直前ではあるがなんとか他の貴族に先んじてジュスティーヌを祝福出来た。プレゼントも狙い通り喜ばれた。だが、シャルルはそれだけで満足できる良い子ではない。ジュスティーヌを誰にも取られないよう、先手を打つ。
「ジュジュ。せっかくだし、一曲ご一緒願えますか?」
「もちろん!行こう!」
小さな二人が手を取り合い踊り出す。こればかりは普段腹の探り合いばかりの貴族達も、純粋に癒された。
小さな二人が踊り終わると、幸せそうな二人の様子に、万雷の拍手が起こった。また保護者であるユルリッシュが二人のために冷たいジュースを持ってきた。二人はお礼を言って受け取り、喉を潤した。
「エリザベス。私達の結婚祝いは来年盛大にやろうな」
「はい、皇帝陛下。楽しみです」
こうしてジュスティーヌの誕生祭は大成功したのだった。
この人は大人の階段をのぼっている人だ!




