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後方長官と治安維持部長が到着したのは最上階。フロア丸々部屋になっておりドーム状のガラスに覆われている。トップオフィサーの居室を兼ねたその部屋は操作により散乱しており、幾人かのオフィサーが倒れている。一人の男を囲んでまだ立っているオフィサーたちも圧倒的に劣勢に立たされている。男の傍に控えている巨大な機械は毎秒ごとにこの部屋で寝る者を増やし続けている。

「本郷!何をしている!」と、その惨状を目にした長官が男に向かって叫ぶ。その男こそトップオフィサー、本郷である。

「金山後方長官、やってくれたね。本当に、気に食わないよ。でも、これでよかったのかもしれない。ちまちまやるよりこっちのほうが、早いもんね。」と本郷は言う。その眼に狂気を感じた長官は「清水!お前はいったん引け!」と叫ぶとすぐさま本郷が新たなカードを展開。黒い鉄球が現れると彼の巨大な機械は部長に向かってそれを投げる。それをよける部長だが鉄球から鎖が伸びると彼の足につながる。

「あれ?防がれると思ったんだけどな。まあいいや、ついてる。金山後方長官と、清水治安維持部長だけは絶対に殺しておきたいからね。殺せそうで、なにより。」と本郷はまた新たなカードを展開しながら言う。長官も「守ってくれ!」と旧世紀からの生存者を展開するも本郷のカードは彼を無視しエレベーターを破壊する。長官は内心苦しい顔をしながらさらにカードを展開すると、「清水!そんなもんついてたって逃げるんだ!階段を使え!」と部長に命令する。部長もカードが使えない自分がいても役に立たないことはわかっている。命令をされずとも彼はすでに鉄球を引きずりながら動き出していた。旧世紀からの生存者やカンフースターが本郷の巨大な機械に対応することでその場には若干の余裕が生まれる。

「本郷!何が目的だ!なぜ今池一等徴収官を殺害した!洗脳も行っているな!」と長官が問う。

「洗脳!あれはバレる気配がなかったのに突然だったね。」と本郷が語り始める。「たまたま、そういう機械を手に入れてさ、ほら、人間ってバカばっかりじゃん?オフィサー組織だって嫌いだしね。せっかく僕がわざわざ壁の外とからとってきたレアカードも規律違反だとか言って2枚も取り上げられちゃうし、何もしてない君たちに渡されちゃうし。」彼は続ける「僕がこの世のすべてを管理したら素晴らしい世界にできると思ったんだよね。あと、やることなくて暇だったし。」長官は真剣なまなざしで彼の言葉を聞く。彼が語っている間にも攻防は止んでいない。

「でもさ、その洗脳の機械ってのもポンコツで、自我とか、信念とか、意思とかがしっかりした人間は洗脳できないんだよね。別に雑魚なら構わないんだけど、君と、清水治安維持部長、それと今池先生。強いカード持ってるし、洗脳もできそうにない。邪魔なんだよ。苦手だし。」本郷がさらに続ける。「もうバレて、コソコソやる必要もない。どうせ君たち以外には負ける要素ないんだし、ここで君たちを殺してしまえば万が一にも僕を止めることができる人がいないよね。だから、絶望して、死んでって。」と本郷が終える。話している間に長官以外のオフィサーは彼に倒され、起き上がれない状態になっている。

「私か、清水が止める。うぬぼれるな。」長官が言う。

「僕が勝ったら、2つ、君の命と、切り札を望むよ。いいね。」本郷が返す。

「なら私も2つ、身柄の拘束と、カード全てだ。」と長官がさらに返しゲームが始まる。


清水治安維持部長は自身の席があるオフィスでコーヒーを飲んでいる。整理され毎日座っている椅子でいつもと味の変わらないコーヒーを飲むことで心を落ち着けている。彼の足には本郷につけられた足かせは動くだけで彼の体力を奪う。先の勝負の結果によりしばらくカードを使えない彼は体力を温存しながら時間を待ち、再びカードを使えるようになるのを待っている。加えて本郷は彼を狙っている、焦る必要はないが、万が一長官が本郷を止めることができなかった場合に備える必要があることを彼はわかっている。トップオフィサーの実力は本物、本郷の言っていた通り止められる人間は長官か彼自身しかいない。長官の違法捜査に彼はいまだ納得していないが、本郷の凶悪なたくらみが露呈した以上彼が優先するべきは本郷を止めることである。彼がコーヒーカップの底を見るころ、オフィスの空間が歪む。それから巨大な機械の腕が飛び出すと続いてその本体と興奮して笑いが抑えられない本郷が現れる。その機械は最上階で大暴れしていたものと同じである。清水治安維持部長はいまだ、カードを使えない。

「清水治安維持部長!君なら逃げていないと思ったよ!さあ、僕とゲームをしよう。」と本郷が彼に語り掛ける。

「“オフィサーの執務に関する法”より”緊急逮捕に関する項“にのっとり事情を聞かせてもらう。拒否権はない。金山後方長官をどうした?」と部長は問う。

「心配しないでも、君を待ってるさ。」本郷がそれに答え「あの世でね。」と続ける。

部長が「“オフィサーの執務に関する法”により、」とさらに問いかけようとしたところで本郷は「法律、法律うるさいんだよ。君は。僕が新しく作る世界ではそんなもの、なくたって大丈夫なのさ。わかるだろ、もう新たな世界はすぐそこにあるんだ。」と本郷がそれを止める。そして「だから、僕と君とのゲームがこの愚かな人間であふれた世界で最後のゲームさ。始めよう。」と続ける。

「残念だが、ゲームはできない。長官の違法捜査を止めようとしたら返り討ちにあったからな。」と部長が答える。その言葉を聞いた本郷は目を丸くして驚くと高笑いする。

「ハハハハ、ほら、見ろ。愚かだ。滑稽だ、この上なく。そして僕はついてる!まるで運命が、僕に世界を変えろと言っているようだ。君を殺せば、もう僕を止められる人間はいない!」と本郷は心底機嫌がよさそうに言うと、「じゃあ、死んでもらおうか。」と続ける。彼の巨大な機械は清水部長を片手で持ち上げ、その握力で握りつぶそうとする。

「確かに、君の言う通り、君を止められる人間は、ここにはもう、いないだろう。」と部長は苦しみながら彼に語り掛ける。本郷もその言葉にさらに機嫌をよくし、「そうだろう、そうだろう。君も新たな世界を祝福してくれるのかい?」と答えるが部長はそれを無視し、続ける。

「だが、お前を止められる、人間、はいないだけだ。」。そう部長がつづけた直後本郷の機械は突然わずかに体制を崩す。さらに彼の機械より一回り小さい、異国の文字が刻まれた黒い機械が清水部長を掴んでいる機械の腕を攻撃し、彼は解放される。

「よおよお、調子はどうだい?」とジーンズをはいた、裸に革ジャンを羽織った男が2人の前に現れる。


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