現状
宜しくお願いいたします
目覚めた絵里。
よく寝たせいか、頭は妙に冴えている。
「ここは、どこや? まるで収容所の部屋みたいやな~、何でこんな事になっとんのやろ。確か、今日は撮影で…」
そう、絵里は女スタントマン、今日は訓練でロッククライミングに挑戦していたが足を滑らせ落下、目をつむり痛みを覚悟したが、目を閉じていても分かる程の強い光につつまれたのを感じた。それから直ぐに、ボスッっという音。
何故か痛みはさほど感じない。光も収まり直ぐに目を開ければ、何処かの部屋で、円卓に座るのはカラフルな髪色の人々。 驚きに目を見開けば、
「私に何か御用かな?」
頭上からは、よく響くアルトの声。
振り返れば、40代~50代のとても渋い貴公子然としたお方が。
誰、この人?
どうやらこのお方のお膝に私は座っているようだ。現状処理の把握に頭がパニックになっているうちに、天井より人影が飛び降り、自分に伸ばされる腕。条件反射のように飛び避け、扉を蹴り開け逃げた。
あ~、でも面白かったよな~ もう少しあの追いかけっこは続けたかったよな~、等と呑気に回想に浸っていてが、ふと思い出す。
「あっ、そういえば、あいつ~ 私のファーストキスを!!!」
怒りに寝ていたベットから飛び起きた。 その時
トントン
「失礼するよ」
入ってきたのは、沢山の騎士達を引き連れた昨日の金髪碧眼野郎。
「あっ、あんた」
金髪碧眼に近づこうと一歩足を出せば、沢山の騎士達により拘束される。
「何すんのさ!」
「お嬢さん、大人しくしてくれるかい? 私とて幼い少女に手荒な事はしたくないが、どうやら君は逃走が得意そうだからね。 私の名前は、ラキス 、君の名前を教えてくれるかい? それと、君が昨日陛下の膝の上に突如現れた理由を」
幼く見られた事に若干苛つき、キッ っと睨み付ける。
「名前は 絵里、昨日はなにがなんだか自分でも分からへん。 それよか何もせえへんで、この人達何とかしてくれへん? それに、私は決して少女なんかと違うで、れっきとした成人女性や」
そう、いつもこの童顔のせいで何かと迷惑や誤解を生じさせる。高校生に間違えられるならまだ許せる。だが、現実は中学生に間違えられるのが大半だ。
身長152㎝ 肩甲骨まで伸びたサラサラの黒髪ストレート、色白の肌に細くスラッと伸びた手足、大きな黒い光彩を放つはっきりとした二重の目、若干小さめの鼻に 程好い大きさの淡い桃色唇。
そう、絵里は紛れもなく美少女の外見を持っていた。
「それは失礼したね。じゃ16歳になったばかりかな? 良かったよ、私も昨日は自分が少女に何て事をしてしまったのかと少し後悔していたからね。 16歳ならキスの一つぐらいは経験済みだろ?」
それを聞いた絵里は俯き、身体を震わせなにやらブツブツ、コンプレックスを持つ容姿に関してのみならず、ファーストキスの事を何でもないように言われ、我慢していた何かが切れた。
「どうしたんだい、絵里 さあ、昨日の理由を聞かせて貰おうか?」
「うるさ~い、ふざけんなや、22歳や、私は22歳なん!! それに昨日のはファーストキスやったのに!!! 」
絵里絵里の絶叫が部屋中に響き渡る。
しばらくたっても何の反応も返ってこず、叫び終え、息を整え少し冷静になってみようかと顔を上げれば、ラキスを筆頭に皆、両目を目一杯開け、固まっている。幾人かは口までポカンと開けている始末。
何、何かあったん?
この国の成長過程とは随分違う絵里の年齢容姿に、皆驚き、固まっていたのであった。
そう、この国の人は皆成長が早い。成人は16歳、ましてや大柄。男性は平均身長190㎝、女性でも170㎝、そしてストレートの髪は幼少期のみ表れ、16歳に近付くに連れて髪はウエーブがかかり、ストレートの髪の大人は誰一人いないのが現状だ。
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