永遠
リイナは走った。
嫌な出来事から逃げたくて、城の出入り口に向かって駆けていく。その右手にはまだ剣が握り締められたままだったが、それでも命の危険を感じて逃げる。
城門に辿り着いた時、既にそこには見慣れた動く石像がいた。
セイレン。
リイナとよく遊んでくれた人間じゃないもの。
彼との思い出も明るいものばかりだった。
でも、今日は違う。
セイレンはなぜか肩掛けの小さなカバンのようなものを用意しており、雰囲気もいつもの柔らかいものではなく全てが堅い。
「お嬢さま…」
セイレンが声を発する。
その声は重く、言い辛そうだった。
それを見てリイナは少しだけ理解が出来た。
自分が置かれた状況を。
「…どうして、私は出て行かなくてはいけないの?」
セイレンに尋ねるが、彼はリイナから顔を背けて俯くだけだ。
それ以上に言葉が出ないのだろう。
何かがある。そう思ってもう一度力強く尋ねてみた。
「ねぇ!セイレンは知ってるんでしょ! お父様とお母様がどうしてこんな事をするのか!!私がみんなに何か悪いことしたのなら謝るから答えてよ!」
リイナは涙を流しながら、掠れた声でセイレンに問いただす。
しかしセイレンは、カバンだけを彼女に差し出すばかりで何も答えてはくれなかった。これ以上の問答は意味がない、そう思ったリイナは彼からカバンを乱暴に受け取ると彼の横を通り過ぎた。
その際に、セイレンは小声で「お元気で」と言った。見送りのつもりかと思って振り返って待ったが、セイレンはずっと背中を向けたままだった。
もうそれがとても悲しくて、リイナはそのまま城門を抜けて森の中に走り去る。
リイナはもうここには永遠に戻ってこれない。




