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『見つけ屋"さかえ"』~失くし物?ここから助かる方法?探し人?どんなさがしものでも見つけ出します。~  作者: ふるなゆ☆


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1/23

1.

初めまして

ネット流浪のふるなゆ☆です。


自由に見て楽しんでください。


強いて言うなら評価やコメントしてくれると幸いです。


では、物語をお楽しみください。

 さがしものはなんですか。見つけにくいものですか。かばんの中も、つくえの中も探してみたけど見つからないもの——探します。


 A県N市『見つけ屋サカエ』看板(かんばん)に書かれた言葉。



◆



 爽(さわ)やかなメロディとポップなテンポと近代的な歌詞(かし)。その音楽は巷(ちまた)で流行(はや)っているアニメの歌だった。


 それがボーボーに生えた雑草(ざっそう)の中から聞こえた。


 少年はその音を聞き逃(のが)さなかった。

 家の外へと出て、庭へと向かう。


サカエ「さがしもの、見つけましたよ。」


 サカエは草に隠(かく)れていたスマホを手に取って、そこにいたおばあさんに渡した。


おばあさん「ありがとねぇ。まさか外に落ちていたとはねぇ。ほんと助かったわぁ。」


サカエ「いえいえ。それに仕事ですから当然のことです。」


おばあさん「本当にすごいわねぇ。人の三倍、耳がいいのよねぇ?」


サカエ「能力(・・)—のうりょく—を使った時だけですよ。」


 二人は家の中へと入った。


サカエ「では、お駄賃(だちん)をお願いします。」


おばあさん「じゃあ、お礼に五千円あげるわね。」


サカエ「いやいや、多すぎです。お駄賃(だちん)は千円です。それ以上は貰(もら)えませんよ。」


おばあさん「そーおー。多く貰(もら)っちゃえばいいのにー。」


サカエ「多くは貰(もら)えません。気持ちだけ多く受け取っておきますね。」



 少年はにこやかな表情を浮(う)かべながら、その家から出ていった。



◆



 N小学校のすぐ近くにある『見つけ屋サカエ』に、子どもたちの賑(にぎ)やかな声が聞こえてくる。


サカエ(子どもたちの元気な姿(すがた)を見ると、元気を貰(もら)えますね……。)


 十七歳(さい)の少年は窓(まど)の外に映(うつ)る小学生たちを見ていた。


 外の子どもたちの声はそれなりに落ち着いた。


ヤオ「依頼、来た。依頼!」


 手乗りサイズの動く人形のような存在(そんざい)が空を浮(う)いて移動(いどう)していた。


 ヤオはまるで妖精(ようせい)のような見た目をしている神様(かみさま)だった。それが見えるのは能力(のうりょく)のおかげ。


サカエ「教えてくれて、ありがとね。」


 サカエは依頼(いらい)を受ける準備(じゅんび)を整(ととの)えた。



 カランコロン。



 見つけ屋サカエの扉(とびら)を開けたのは元気な女の子だった。



ミズキ「ごめんくださーい!」


サカエ「いらっしゃい。今日はなにか依頼(いらい)があって来たんですよね?」


ミズキ「えっ。なんでミズキが『永遠(えいえん)のリボン』を探して欲(ほ)しくて来たって分かったの?」


サカエ「ヤオが神様の力で教えてくれたんです。まぁ、依頼(いらい)の内容は知りませんでしたけどね。」


 ヤオはえっへんと自慢げな表情を浮かべていた。


サカエ「さて、その『永遠(えいえん)のリボン』とはなんでしょうか?」


ミズキ「『永遠(えいえん)のリボン』はね、綺麗(きれい)なお姉さんがくれたとってもすっごい力を持(も)ったリボンなんだよ。そのリボンで二人が結ばれるとね、永遠に一緒(いっしょ)になれるんだって!」


サカエ「ふむ。すごい力を持つ……と。」


ミズキ「そうなんだ。だけど、近くにいた犬に奪われちゃってどっかにいっちゃったんだ。だから、探して欲しいの。いいでしょ?」


 サカエは首を横に傾(かし)げながら「うーん」と悩(なや)んでいた。


ミズキ「ダメなの? ミズキが小学生だから?」


サカエ「そういう理由(わけ)ではないのですが、見つけ屋のルール的(てき)にいいかどうか怪(あや)しい気がしましてね。」


ミズキ「見つけ屋のルール?」


サカエ「はい。今から言う依頼(いらい)は基本的(きほんてき)に断(ことわ)るようにしているんです。①(まるいち)お金を探す依頼(いらい)、②(まるに)犯罪(はんざい)に関わる依頼(いらい)、③(まるさん)サシブカードに関(かん)する依頼(いらい)。今回の依頼(いらい)は、③に関(かか)わる気がしましてね。」


ミズキ「『学校の七不思議』もサシブカードに関わるからってやらないって無視(むし)してきたもんねー。ほんとは怖いからのくせにー。これだって、面倒(めんどう)だからなんじゃないの?」


サカエ「いや、そういう理由(わけ)では……。」



 サカエは頭を悩(なや)ませた。

 少しだけ時間を置(お)いて、そして軽(かる)く女の子に質問(しつもん)をした。


サカエ「探すだけですよね?」


ミズキ「そうだよ。」


サカエ「分かりました。依頼(いらい)を受(う)けましょう。」


ミズキ「やったー!」


 やれやれ、という顔をしたサカエが軽(かる)く頬(ほお)を緩(ゆる)めた。


サカエ「手がかりがなければ何も始まりません。ひとまず無くした場所に連れていってくれませんか?」



 二人と一柱(ちゅう)(以下、神様を一人と数える)は店を出た。



 向かった先はリボンを犬に奪(うば)われた場所だという路地(ろじ)へとやって来た。車が一台通れるぐらいの広さがある道だった。



ミズキ「ここでね、犬にリボンを噛(か)まれてね、引っ張(ぱ)り合いになっちゃったんだ。そして、そのまま奪(うば)われちゃった。」


サカエ「なるほどねぇ。その犬の犬種(けんしゅ)は?」


ミズキ「けんしゅ?」


サカエ「例(たと)えば、ダックスフンドやヨークシャーテリア、トイプードル、みたいな犬の種類(しゅるい)のことです。それで、犬はどのような犬でしたか?」


ミズキ「ごめんなさい。覚えてない。ただ、茶色? かったよ!」


 サカエは軽く笑ってありがとうと述べた。


サカエ(この辺(あた)りの犬を手探(てさぐ)りで探していくしか他(ほか)なさそうですね……。)


 少年は心の中で覚悟(かくご)の火を灯(とも)す。

 そんな時、ヤオが何かを発見(はっけん)した。


ヤオ「サシブカードの力が込(こ)めてある布切れがあった。」


 ヤオは電柱(でんちゅう)の裏に落ちていた赤い(・・)布切れを持ってきた。


サカエ「ねぇ、ミズキさん。そのリボンって赤色でした?」


 ミズキは大きく、うんと頭を縦(たて)に振(ふ)った。


ミズキ「この色だったよ!」


サカエ(犬と引き合いになった時に切れ端(はし)だけ、ちぎれたのでしょうね。)


 サカエが女の子に質問(しつもん)をする。


サカエ「そのリボンは不思議な力を持ったリボンでしたよね?」


ミズキ「そうだよ。そう言ったじゃん!」


サカエ(やはり、サシブカードで作られた物でしたか。なら、この布が探し物の切れ端であっているでしょう。まぁ、ここまで来たら探してあげましょうか。)


 サカエはポケットからカードを取り出してミズキに見せた。



 

サカエ「ぼくのサシブカードは"五感(ごかん)強化(きょうか)"。五感の効果を高めることができます。少しの間(あいだ)、ぼくはこの力で犬と同じ嗅覚(きゅうかく)レベルになります。」

 


 サカエは布を鼻の下へと近づけた。そして、匂(にお)いを嗅(か)ぐ。



 そして、すぐにコンクリートに鼻を近づけた。そして、そのリボンの匂いを追(お)っていく。



通行人A「ねぇ、変な人がいるー!」

通行人B「見なかったことにしなさい。」



サカエ(最悪(さいあく)……。こんな姿見られてしまった。……本当に最悪。)



 それでも依頼(いらい)をこなすために匂いの元を辿(たど)っていった。



 歩道を進んでいき、橋(はし)を渡(わた)り、そのまま川沿(ぞ)いを進んでいく。



 そして、匂(にお)いが途切(とぎ)れた——。



サカエ「ここのどこかにあると思いますが、ここから先はぼくの能力では見つけ出せなさそうですね。」



 川のせせらぎが心地(ここち)よい川沿いの草原(そうげん)地帯(ちたい)。手入れされていない無造作(むぞうさ)に生えた雑草(ざっそう)は太ももぐらいまで伸(の)びている。



サカエ「ここから先は手探りです。もちろん、ミズキさんも手伝ってくれますよね?」


ミズキ「えーっ!?」



 雑草(ざっそう)のどこかにリボンはある。けど、どこにあるかは分からない。

 三人ひたすら草を掻(か)き分けていく。



ミズキ「もー大変。イヤミも呼べばいいのにー。」


サカエ「彼はヤオさんを出してくれてますから、多めに見てあげてくださいね。」



 ゆっくりと日が落ちてきた。少しずつ夕日に変わっていく。


 ミズキは無駄(むだ)口を叩(たた)きながらも必死に探している。



サカエ「ミズキさんは、その『永遠(えいえん)のリボン』を使おうと思っていたりするのですか? 例(たと)えば、好きな人がいて……とか。」


ミズキ「うっ。その……えっと——」


サカエ「あー。図星(ずぼし)ですね。好きな人に使いたいから必死(ひっし)になっているのですね。」


ミズキ「ま、まー。そういうこと。」


サカエ「誰ですか?」


ミズキ「秘密(ひみつ)!」


サカエ「アカイさんとかですか?」


ミズキ「ちょっ。なんで知って——」


サカエ「あー、やっぱり……。」



 アカイはミズキと通学団(つうがくだん)が同じだった。見つけ屋に遊びに来る小学生の一人だったからサカエはその答えに辿(たど)り着けた。



ミズキ「それ、他(ほか)の人には秘密(ひみつ)ね!」


サカエ「うーん。どうしましょう。すんなりと返事はしたくはないですねぇ。秘密(ひみつ)にする代わりに、何をお願(ねが)いしましょうか。」


 サカエは軽口(かるくち)を叩(たた)きながらも手は動かしている。ヤオはそれを聞きながら空中を浮(う)きながらさがしている。



 草原横の道路に仲良(なかよ)く歩く二人の影(かげ)が見えた。



サカエ「あれっ。アカイさん?」


ミズキ「えっ、嘘(うそ)っ!」


サカエ「隣(となり)にいるのは……ホミさん?」


ミズキ「なんで……。なんでお姉(ねえ)ちゃんとアカイくんが一緒(いっしょ)にいるの……?」



 仲良(なかよ)く歩いている二人に向かってサカエは走っていった。


 そして、ミズキの姉と、好きな人、の二人に手伝って貰(もら)うことにした。



ホミ「あの動物のアニメ知らないの? 貰(もら)ったら嬉(うれ)しいと思うよ。」


アカイ「もっと詳(くわ)しく教(おし)えてくれ。」



 二人は話ながらさがしものをさがしていく。

 それをミズキが遠くで見つつ、草をむしり取りながらさがしていく。



サカエ(あっ、見つけたっ!)



 サカエはついにさがしもののリボンを見つけた。そして、それを手に握(にぎ)った。



サカエ「みんなっ。見つけ……」



 ちょうどその時、ミズキが泣(な)き出した。そして、手に持っていた草を乱雑(らんざつ)に投げ捨(す)ててどこかへと走り出してしまった。



ヤオ「どこかへ行ってしまったね。」


サカエ「追(お)いかけましょう。」



 四人はミズキを追(お)いかけた。

 人気(ひとけ)のない道端(みちばた)でミズキは立ち止まり、四人はそこへと追いついた。



ホミ「どうしちゃったの? 急に。」


ミズキ「ずるい。お姉ちゃんばかり。あたしの大切なものをいっつも奪(うば)ってって。」


ホミ「なんのこと?」



 泣きながら時々見せる視線(しせん)は鋭(するど)かった。



ミズキ「いいよね、お姉ちゃんは。アカイくんととっても仲良くて。」


ホミ「そんなことないよ。さっきだって——」


ミズキ「嘘(うそ)言わないでよ。仲良く話してたじゃん。」



 空気が固(かた)まってしまっているみたいだった。



ヤオ「リボン見つけたけど、どうする?」



 神様にとっては、この空気は何ともないようだ。



アカイ「リボンを見つけたんだろ? どうしてミズキは泣いてるんだ?」


 

ヤオ「もちろん、そのリボンを使って好きな人と結ばれたいからだ。」


アカイ「好きな……人?」


サカエ(ここで隠(かく)し通(とお)してしまったら、きっと修復(しゅうふく)不可能(ふかのう)になってしまうかも……) 


 その様子からサカエは察(さっ)した。ここを見逃(みのが)すと話はもっとややこしくなるということを肌(はだ)で感じ取った。



サカエ「あー、アカイくんのことが好きなんですって。」


ミズキ「言うな、馬鹿(ばか)!」



 小学生の女の子の思いっきり勢(いきお)いをつけた頭突(ずつ)きがサカエのお腹へとクリーンヒットした。



サカエ(うっ、痛い——)



 夕日がそこを照(て)らしている。



アカイ「俺もミズキのことが好きだぜ。……恥(は)ずい。ついに言っちゃった。」


ミズキ「えっ?」


ホミ「本当よ。私にミズキが貰(もら)って嬉(うれ)しいものを聞きに来たぐらいだもん。」



ミズキ「本当……なの?」


アカイ「本当だぜ。好きなんだってな、今、流行(はや)りの動物のアニメ。」



 ミズキの涙(なみだ)が止まった。今度は笑顔になっていた。



ミズキ「うんっ!」



 ミズキはその日一日の中で一番とびっきりの笑顔を見せていた。




ヤオ「このリボンはどうする?」


ミズキ「……いらなくなっちゃった。」



 せっかく頑張(がんば)って見つけたのに、必要なくなった『永遠のリボン』。もうミズキとアカイは結(むす)ばれて、それを必要(ひつよう)としなくなった。



ホミ「じゃあ、私が貰(もら)っていい?」


ミズキ「うん。もちろん!」



 その不思議なリボンはミズキの姉へと譲(ゆず)られた。



 段々(だんだん)と影(かげ)が伸(の)びていく。



 ミズキ、ホミ、アカイの三人は家までの道を仲良(なかよ)く話しながら帰(かえ)っていった。



サカエ「ぼくらはアイスでも買って帰りましょうか。」



 サカエは今回の依頼(いらい)のお駄賃(だちん)、五の数字が書かれたワンコインを持ってコンビニへと向かった。


 そして、そこで練乳(れんにゅう)のアイスバーを購入(こうにゅう)して、口に入れていった。



◆



 雨戸(あまど)を開けて、看板(かんばん)を外に出す。



サカエ「今日も一日、頑張(がんば)ろう。」



 そして、部屋へと戻った。



 学校のチャイムが鳴(な)り響(ひび)いている。



ヤオ「依頼(いらい)だよ。依頼(いらい)っ!」


 

 見つけ屋サカエ——開店(かいてん)中——!



 サカエはその日も見つけにくい依頼(いらい)のものをさがしていく。

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