1/37
プロローグ 復讐者の慟哭
僕はただ、当たり前の人生を歩みたかった
普通の家庭に生まれて
普通の家庭で育ち
普通に友人と話し
普通の人と愛し合い
普通に子供を育て
普通に老いて
普通に死んでいく
ありきたり、だけど何よりも尊い生活
両親は僕を捨て
憎しみに囚われた中で育ち
凄惨な地獄に放り込まれ
最後は無惨に死んでいく。
それでも、何の奇跡か
新しい人生を歩める事となった
優しい両親に生まれ
優しい友人に恵まれ
普通の生活を送れると信じた 信じてしまった
―――だけど、無理だった
優しい両親は僕を生かすため死んだ
優しい友人は愛を囁きながら死んだ
平穏な日常は破壊された
―――赦しがたい
赦せない 赦せない 赦せない!
俺が渇望した『幸せ』を砕き
俺が愛した『両親』を侮蔑し
俺を愛してくれた『友人』は汚され
満たされようとした盃は砕かれ
砕いた者は平然と嗤う
―――そんな結末を俺は赦しはしない
罪人は二十五
二十五の罪禍
悲劇は惨劇を持って完遂される
罪は罰を持って完遂される
―――『幸せ』を砕いた罪を懺悔せよ