第47話 いつかまた......
「えっ!? 僕がですか? そ...そんな......手紙なんて書いた事ないし、部長の引っ越し先の住所も知らないし......」
「はい、これ......」
「えっ?」
「引っ越し先の住所が書いてあるから。もし手紙書けそうだったら書いてよ......」
「あ...はい...。わかりました......」
「でもノブ君は五年生になったらバスケ部に入るから練習で疲れて手紙なんて書く元気が残っていないかもしれないわね?」
「えっ!? なっ...何でそのことを!?」
「フフフ......。それくらいノブ君の事を毎日見ていたら分かるわよ~。お姉ちゃんを甘く見ないでよね......?」
「す...すみません.......。僕もその事を黙っててすみませんでした......」
「いいの、いいの。別にいいのよ......。私は何にでも頑張ってるノブ君の姿が見たいんだから。だからこれからはバスケも演劇と同じくらいに頑張ってね?」
「はっ...はい!! 頑張ります!!」
そして山田は右手をノブの前にスッと差し出した。
「えっ?」
「えっ? じゃないわよ。握手よ。握手......」
「あ...握手ですか......?」
「うん。これから二人とも進む道は違うけどお互いに頑張ろっていう握手......」
「わ...分かりました......」
ノブも少し緊張しながら右手を山田の前にソッと差し出した。
そして二人はがっちりと握手をするのであった。
ノブは手が小さいほうなので山田の手がノブの手を包み込むようなかたちになり、その山田の手の温もりがノブの手から体全体に広がり心地よく感じる。
ずっとこのまま握手をしていたいなぁ......
そんな感情になりながらもやはり恥ずかしがり屋のノブから先に手を放し一歩下がり山田に頭を下げた。
「今までありがとうございました!! 本当にお世話になりました!! 東京へ行っても頑張ってくださいっ!!」
ノブは今出せる一番大きな声で山田に挨拶をした。
「うん、頑張るわ。ありがとね......」
山田はそう言うと振り向き歩き出す。
そして十歩くらい歩いたところでノブが再び山田に向かって大きな声で問いかける。
「やっ...山田部長!! とっ...東京の中学でも演劇をやるんですか!?」
山田は立ち止まり、そして振り向き満面の笑顔で
「勿論よっ!!」
そう言うとまた歩き出しノブの視界から少しずつ少しずつ小さくなっていく。
その山田部長の後ろ姿をノブは視界から消えるまでずっと見つめているのであった。
「山田部長......、いつかまた......」
「おーい、ノブ!! 片付けも終わったしそろそろ帰ろうぜっ!!」
高山が廊下でボーっと立っているノブに言ってきた。
「うん、そうだな......。帰ろうか......」
「私達も帰ろっと」
石田も岸本と一緒に廊下に出てきた。
そして四人が廊下を歩いていると、突然、ノブの右の耳からと左の耳から同時に高山と石田が小声で話しかけてくる。
「山田部長とはちゃんと話せた?」
「!!??」
ノブはビクっとして体の力が抜けそうな感覚になったが
「なっ、何だよ!? 二人共見てたのかよ!? あ...うん......。ちゃんと話せたよ......。たぶんだけど......」
「えっ? 何の話?」
岸本が不思議そうな顔をしながらノブ達に聞いてくる。
「ハハ......。順子には関係の無い話よ!!」
「そうそう、知りたかったらノブに聞いてよぉぉ」
「えーっ!? 何よぉぉ!! 私だけ仲間外れにしないでよ!!」
「ゴメン、岸本さん......。本当に何でも無いから......」
「なっ...何よぉぉ!? 水井君までさぁぁ!!」
「 「ハッハッハッハ!!」 」
岸本の少しふてくされた表情を見ながら高山と石田は大笑いし、ノブは苦笑いをするのであった。
キーンコーンカーンコーン
四人は校門を出るとすぐに振り返り学校を見渡す。
「もう六年生の人達とは会えないのね......」
「そうね。何だか寂しいわね......」
「演劇楽しかったなぁ......」
「ほんと、良い思い出が出来たわ......」
「俺はもう一年、演劇を楽しむけどね」
「五年になってもまた『木』の役だったら面白いのに」
「バッ...バカな.......っていうか、もしそんな役が回ってきたら俺は演劇部を途中で辞めるかもしれないぞ......」
「はーい、残念でした。途中辞めは絶対出来ないからね!!」
「はぁ......」
「 「 「ハッハッハッハ」 」 」
「しかし俺達、もうすぐ五年生になるんだよなぁ......。ちょっと緊張するなぁ......」
「高学年ってどんな感じなんだろうなぁ......?」
「大変なのかな?」
「そんなことないよ...。きっと楽しいわよ......」
「そうそう、逆に俺達が楽しくすればいいじゃん」
「 「 「おっ!? ノブのくせにカッコイイこと言うじゃん!!」 」 」
「なっ...何でそこでみんな同時に同じセリフが言えるんだよ!?」
「それは一年間、一緒に頑張って来た『演劇部 部員』だからさ......」
「なるほどね。言われてみればそうかもな......」
夕日が落ちて行き辺りはオレンジ色の光が差し込みだしてきた。
ノブ達四人の体もオレンジの光にじわじわと包まれていく。
そして再び学校に背を向けてノブ達は帰路につくのであった......
完
最後までお付き合い頂き有難うございました。
ノブの『演劇部』としての活躍はこれでおしまいです。
しかしノブにとってこの経験がきっと先で役に立つ時が来るでしょう。
さぁ四月からノブ達は五年生......
高学年と言われる学年になります。
果たして彼等はどんな活躍を見せてくれるのでしょう?
いつかまたノブ達に会える時が来るかもしれません。
その日が来るのを楽しみにお待ちください......
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