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第38話 喜劇と悲劇②

「あれ誰?」「鳥の王役は誰がやってるの?」


 会場のあちらこちらで声がしている。


 そうとは知らずにノブが話し出す。


「なっ...なんだ、この状況は!? 獣だけでなく我が兵士達もボロボロではないかっ!? い...一体、どういうことだっ!? 我々の作戦は失敗したのかっ!?」


 すると獣の王が鳥の王に近づいてきた。


「鳥の王よ。久しぶりだな。見ての通り我々はコウモリとう者にまんまと騙され互いに大きく傷ついてしまった。私はもうこれ以上戦ってもお互いに何も得することはないと思うが鳥の王はどう思われる?」


 山田部長がハキハキした口調で言った。


「うむ。そうみたいですな......。そもそも私は昔からこの戦いには疑問を感じておったのじゃ。祖父や父に言われて渋々戦いを続けていたが、戦って何の意味があるというのか......? ここらへんが潮時ではないかと私は思うのだが......」


「おっ...王様!! ほっ...本当ですかメェ? 戦争は本当に終わりですかメェ?」


 ヒツジとヤギが嬉しそうに同時に聞いた。


 そして獣の王と鳥の王は互いに目を合わせ、手を差し出しがっちりと握手をした。この時のノブの右手は変な汗が出ていたのは言うまでもない。


「バンザーイ!! バンザーイ!!」


 獣達も鳥達も戦いで疲れてはいたがお互いの王様が和解したことにより今まで張りつめていた緊張が解けて獣と鳥で抱き合ったり、握手をしたりして平和な時代が訪れることを互いに喜ぶのであった。



「 「しかし、許せないのはコウモリだっ!! あいつは自分達だけ助かろうとして俺達を共倒れさせようとしたんだっ!! ぜっ...絶対に許せないっ!!」 」


 ハヤブサと猿が同時に言った。


「そうだそうだ!! コウモリは許せない!!」


 他の獣や鳥達も呼応した。そして象やサイがこう言った。


「今からコウモリの村に行き、奴等をとっちめてやろうではないかっ!!」


「お――――――っ!!」


 舞台の明かりが消え、そして明かりがつきコウモリの村に場面が移る。




 コウモリがしゃがみ込み、獣や鳥達に囲まれている。


「ど...ど...どうかお許しください......。ふ...深く反省しておりますので、ど...どうか命ばかりはお助けを~っ!!」


「何を今更許してくださいだっ!!」


「そうだ!! このどっちつかずの卑怯なコウモリめっ!!」


「鳥だと言ったり獣だと言ったり、貴様はいったい何者だっ!?」


「いずれにしてもこの土地には住めないようにするから覚悟をしろっ!!」


「えっ!? そっ...そんな、そ...それだけは......」


 そして獣の王と鳥の王が二人揃って文書を読み上げる。


「皮肉にも戦争を終わらせるきっかけを作ったお前達『コウモリ一族』の命だけは助けてやる。ただし一生この国の太陽の光を浴びる権利をはく奪する。この島の北側の山の複数ある洞窟に一生住むこととする。よいなっ!?」


 ここでナレーション


「こうしてどっちつかずの卑怯なコウモリは現代まで暗い暗い洞窟に住んでいるのでした。


 そして舞台の明かりが消える。


 その間、会場では特に四年生から六年生までが小声でひそひそ話している。


「しかしあの鳥の王役は誰だ?」


「背は低いよね? 四年生かな?」


「王冠で顔が隠れてわからないよね......」



「お兄ちゃん、ウサギの役で終わりかな......??」


 妹の明恵が呟いていると保護者席にいる母みゆきが首をかしげながら


「あの子、最初の出番で終わりなの!? おかしいなぁ......。ほんとにウサギ役だけだったかしら?」



 必死で鳥の王を演じているノブの知らないうちに新たな悲劇(笑)が始まっていた。


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