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トンネルのむこうには  作者: ふみりん


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東北夏祭り

毎年夏休みには旅行に出かける。

今年は東北に出かける予定をたてた。お祭りを旅行に組むのは初めての事だったが、一度ねぶた祭りを見てみたいという真由美のリクエストが採用された。

しかし真由美は夏が余り好きではない。暑い日が続くと食欲が無くなっていくのだ。夜も暑くて寝苦しいし、冷房で体が冷えても眠れない。若い頃は夏痩せしたと喜んでいたが、還暦を過ぎた頃からどうにも回復が遅いようだ。情けない。

8月の暑い日に胃薬を持参して青森に出かけた。新幹線に乗る前に東京でフルーツサンドイッチを食べた。これも夫のプランに入っている。

「やっぱりフルーツが美味しいね」

真由美は写真を撮って娘に送った。本当はコーヒーを飲みたかったが、最近飲んだ後胃が痛むことがあって紅茶にした。


夫の渡は昭和と平成の男子が入り交じるちょっと面倒くさい性格だ。結婚してから年に数回旅行に出かける。プランは一応2人で決めるが決定権は夫にある。多分そこに行きたいのだろうと推察して場所を絞って決めるとプランにあったツアーを選ぶ。最近は自分でレンタカーを選んだりせずに添乗員付きのツアーがお気に入りだ。バスで連れて行ってくれるのが楽なのだ。コロナ禍では大型バスに数組で、参加者の顔もすぐ覚えて、他の家族の会話も楽しげで面白い。他人と合わせる事に苦痛を感じない大人になったようだ。


青森に着くと少し早めの夕食をホテルでとった。余りお腹は空いてなかったが、ツアーのスケジュールに合わせるしかない。好きな物を食べたが揚げ物が重たく感じた。

ねぶた祭り会場に着くと通りは活気に満ち溢れていた。跳人のラッセーラ、ラッセーラという掛け声に合わせて笛や太鼓、躍りが連なっていく。見ているだけで高揚していくのがわかった。祭りはその土地の人の願い、喜びを分けてくれる。

祭りが終わってホテルに着いたのは11時を過ぎていた。温泉にゆっくり入った後は明日は秋田へ向かう行程を確認してベットに入ると直ぐ寝に落ちた。


翌日朝食を済ませるとバスで青池に向かった。世界遺産である白神山地は神聖な感じがした。人の手が余り加えられていない場所は落ち着く。青池の青を暫く2人で眺めていた。

「此処に来られて良かった」

真由美が呟くと渡は青池をカメラにおさめていた。


秋田の竿燈まつりの掛け声はどっこいしょ-、どっこいしょー

五穀豊穣を願って大きな提灯を着けた竿を持ち上げる。小さい竿を子供が頑張る様子にこちらの掛け声も大きくなる。たまに竿と竿がぶつかり合い倒れる事もある。しかし直ぐに起こして竿を肩やおでこに置くと皆の拍手が沸く。

一生懸命さに感動していた。その日も遅くにホテルに着いた。祭りの余韻を楽しみながら眠りについた。


次の日は中尊寺金色堂に行き、蓮の花を眺めた。蓮は天国を想像させる。行ったことのない天国を想像するのは難しいが、綺麗に咲いた蓮の花の上を歩いたら気持ちが良いだろうと思った。藤原氏の栄華を感じなから東北を後にした。いつものツアーならゆっくり食事を楽しむのだか、今回は祭りがメインで食事が少し寂しかった。帰宅すると少しずつ疲れが真由美を襲っていた。冷房で冷えた体が次の日には楽しみである食事を拒否するようになっていた。




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