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『長編版』ゴリラ物語 〜全てはゴリラとバナナで解決〜  作者: ほしのしずく
ゴリラ、靴を受け取る

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オーダーメイド

 11月12日(土)


 時刻【15時00分】

 天気【曇 最低気温20℃ 最高気温28℃】

 

 京都のとある地域。


 風情漂う古民家が建ち並ぶ場所にある古民家を改装した2階建てカフェ&オーダーメイド家具店【バナナで憩いのひととき】のバナナ型のライトに照らされてたおしゃれなイートインスペース。

 

 そこにシャツはバナナ先輩が描かれた黒の長袖、下は白チェック柄の七分丈パンツに白色のスニーカーという出で立ちのゴリラがいた。


 ただ、前回来店した時とは違い、彼1頭で訪れていた。


 目的は地元スーパーのマルデ・プラザでお願いしていたオーダーメイドの靴を受け取る為だ。


 とはいえ、店内は商品が陳列されているスペースは家具を求めてきた人、イートインスペースはカフェの常連でゴリラとバナ友の間柄である人たちで賑わっていた。


「こちらがオーダーされていた靴になりますね!」


 黒く艶やかな革靴を持ちながら、バナナが描かれたエプロン姿で接しているのは、この店の店主であり、マルデ・プラザ雑貨店の店員でもある森野さき(28)だ。

 

「ウホ!」


 ゴリラは、その靴を受け取るとつぶらな瞳でまじまじと見つめる。


「どうでしょうか? 気に入って頂けましたか?」

 

「ウホ、ウホウホ?」


 太い眉毛を上げながら尋ねる。

 

「あはは、さすがですね! そうなんですよ! これはただの革靴ではないんです!」


 さすが都会のジャングルで鍛えた目利き。パッと見は普通でも、これはどこかが違うとすぐに気づいたのだ。

 

 だが、同時に不思議に思っていた。

 自分がオーダーしたのは、30㎝でただの大きい革靴。

 それなのに、違う物を用意されていたことを。

 

「ウ、ウホ?」


 手渡された靴を顔から少し離す。

 

「そう、不審がらないで下さい。オーダーが違うのには、ちゃんと訳があるんですよ!」

 

「ウホゥ……」

 

「少し前に仰っていましたよね? 夏場に革靴を履くのは大変だと」

 

「ウホウホ」


 ゴリラは黒く太い首を縦に振る。


 さきの言う通り、ゴリラは毎年、蒸し暑い日本の夏に頭を悩ませていた。


 温暖化が進んでいる現代ではクールビズ化が進んでおり、暑い時期に関してはどこの会社でもノーネクタイで通勤するのがマストとなっている。

 

 もちろん、それはゴリラが勤める会社も同じであったのだが。


 靴だけは問題を抱えていたのである。


 それは、彼がゴリラであるからだ。


 体重155kgを支える革靴。


 いくらオーダーメイドとはいえ、その巨体で灼熱コンクリートジャングルを歩き回るのだ。

 

 人間が使うより、靴が摩耗するのは当然だった。


 ゴリラだって、自分でどうにかする為に、ネットサーフィンをしながら色んなことを試してきた。


 クッション性の高いインソールに変えてみたり、追加したり、歩き方に工夫を加えてみた。


 けれど、どれも意味をなさなかった。


 だから、この店に訪れる度。


 無意識の内に、口にしていたのである。


「蒸れるのも、すぐ靴底が減るのもどうにかする方法はないのか」と。


 そして、その言葉を聞いていたさきは、バナ友であるゴリラをどうにかしてあげたくて、この受取日に合わせて新商品を提供することを決めたのだ。

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