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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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前編:Grayish future エピローグ 

E.G.軍諜報部のレポート


1.被害状況について

 ブラック・ダンデライオン<タカネ>の地上攻撃は、大量破壊兵器G.D.アウトバーストと推測される爆発により阻止された。

 しかし、<タカネ>の外壁破壊による大量のカーボンファイバーのすすが地球に落下した。

 かつて青の星と謳われた地球は、人類の未来を表すかのような灰色の星となった。

 今だ主流となっているソーラーパネルによる発電は低下し、作物の発育に影響が出ている。

 今の予測では人類の半数以上が餓死する見込みである。


2.ブラック・ダンデライオン<タカネ>の暴走の要因について

 宇宙同盟ブルーム・オブ・ダンデライオンの盟主ネイサン・アークライトによれば、E.G.軍宇宙艦隊を率いたブレナン大将によるものとされている。

 この件についてはアース・ガバメント首脳陣も異議を唱えていない。

 ブレナン大将が主犯であると認めた場合、アース・ガバメントの責任は免れない。

 それなのに反論をしないのは理解しがたい。

 実際、市民達はアース・ガバメント首脳達陣の対応に不信感を抱いている。

 更に生き残った兵士によれば、ブレナン大将は宇宙要塞ヘカトンケイル戦で戦死しているという。

 上層部、世論、現場にいた兵士……

 それぞれの、主張に明確な差異が生まれているのは何故だ?


3.両軍の今後について

 アースガバメント、ブルーム・オブ・ダンデライオン双方に甚大な被害が出ている。

 6年前の第一次宇宙戦争に引き続き、痛み分けで停戦状態となった。

 停戦協定を結ばず、曖昧な状況を作り出す両陣営の首脳達に苛立ちを覚える。

 しかし、何も出来ない状況なのも理解出来る。

 250年前に高田博士が世界を滅ぼしかけた時も、生き残った人々は同じような思いをしたのだろうか?

 私が願った所で意味は無いのだろうが、この|灰色の未来《Grayish future》が明るい未来に変わる事を切に願う……


 ふぅ。

 E.G.軍諜報部所属、ライリー・アーチボルトは手を止め、テーブル脇で冷え切ったコーヒーカップに手を伸ばした。

(酷い物だ……世界の現状も、私のレポートも。これでは私の感想文ではないか。現実主義者の私が人類の未来を願うなど同僚に知られたら笑いものだ。私は何時からロマンチストになったのだろうね?)

 レポートの所々に差し込まれている自身の感想を眺めて苦笑した。

 このレポートもどきを上司に提出する事は出来ない。

 ライリーはレポートのデータを消し、椅子にもたれ掛かった。

(誰か世界を救ってくれる人はいないだろうか? いや、それは私らしくない。何も出来なくても自分の力で現状を打破すべきだ)

 ライリーは何をすべきか考えた。

 いや、実際は考えるまでもなかった。

 消したレポートに為すべきことが記されている。

(私は諜報部員。疑問に思えば自分で調べれば良いだけだ。それには……)

 ライリーは思い出した。

 E.G.軍宇宙艦隊に特別な存在が所属していた事を。

 一般人でありながら、先の戦争に参加した人物……アラン・バークス。

 軍人に染まっていない彼なら真実が見えてくる可能性が高い。

 それに彼はロサンゼルス基地司令、ロイド中将の暗殺の調査をやらされた時に調べている。

 広い世界で特定の人物を探し出すのは困難ではあるが、相手の写真を持っている事は有利な要素ではある。

ライリーはレポートの作成の代わりに退役の準備を進めた。

アランを探し出すには自由になる必要があるからだ。


「待ってろよアラン・バークス! お前の知ってる秘密を洗いざらい吐いてもらう!」


前編:Grayish future 完


本編の250年前。

3人の幼馴染がいた。

願ったのは平和。

だが、白銀の輝きが3人の人生を狂わせる。

白銀に輝くダイヤが生み出した悲劇の物語。


次回、余話:ここにいるよ

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