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26話『七人御前/仇討ち進展状況の話』

「七人、七人、七人ミサキ……」


 何とも縁起の悪い亡霊の名を歌のように口にしながら、筆を指の間で弄んでいるのは妖怪絵師の佐野豊房である。

 雨がざあざあと降りしきる日のことであった。昼八ツ(午後二時)過ぎぐらいの時刻だというのに江戸の街は薄暗く、どこか静まり返っているようだ。

 神楽坂の屋敷に住む女性七人──豊房、お八、スフィ、石燕、夕鶴、サツ子、将翁──に九郎も外に出かけずに屋敷で過ごしていた。

 秋も深まり、昨晩から雨が続いているとなると僅かに肌寒い。そんな雰囲気の中で妖怪の名前を口にしたものだから、聞いていた夕鶴がぶるりと背筋を震わせた。

 同じく怖がりなお八は聞き覚えが無い妖怪だったようで、ちゃぶ台に上半身をうつ伏せにしたような体勢のまま尋ねた。


「何だぜ、その七人のなんとか言うのは」

「人数しか覚えていないじゃない」

「七人みざりー?」

「猟奇的な名前になったのう……」


 九郎は病んでいる女が七人も押しかけてきて監禁してくる図を想像して顔を顰めた。イメージとしては、以前にダンジョンで戦った同じ名前の試作型侍女人形である。手足を遠近無視でぶった切ってきたやばい相手であった。

 応えるのは石燕の方である。彼女は眼鏡を正す格好をつけながら説明する。


「ふふふ、はっちゃん。七人ミサキと云うのはね、主に海などで現れる七体の亡霊のことだよ。[行き会い神]の一種だとも言われている」

「ぼ、亡霊? 行き会い神ってなんだぜ?」


 続けて妖怪に詳しい将翁が説明を継いだ。

 それにしても妖怪に詳しい者が三人も居ると解説がとっちらかるな、と九郎は思いながら熱い茶を啜り、説明を聞く。


「行き会い神というのは、種類ごとに特定の場所で出くわして、出会い頭に祟りを浴びせてくる厄介な存在です、よ。有名なのは歩いていると突然全身疲労で動けなくなる[ヒダル神]や、正月に海村などに海から上がってきて見ると死ぬとされる[海難坊]などがありますか……」

「七人ミサキっていうのは名前通り、七人で歩いている姿らしいの。見た目は山伏だったり僧侶だったり落ち武者だったりと色々なのだけれど、出会うと命を落としてその犠牲者は七人のうち一人に加わり、七人ミサキの中の一人は開放されて成仏するとされているわ」

「行き会い神の多くはそうなのだが、出会わないようにする方法はあっても退治する術は無いというものだね。見ると死ぬ系とも言う。特に海や川など水場や雨の日に現れると言われていてね。こういう薄暗い雨の中、摺鉦すりがねをカン、カンと鳴らす音が……」


 摺鉦とは平べったい皿のような形をした金属製の打楽器であり、七人ミサキはそれを首から下げていると言われている。別の説では鈴や、錫杖を鳴らすというものもあるが。


「ななな、何もこんな日にそんな話するこたねーだろ!」

「七人ミサキは薄暗くなるとやってくるであります! 親指を隠すであります!」


 三人が揃っておどろおどろしい雰囲気で語るもので、怖がりなお八と夕鶴は飛び上がって抱き合った。

 スフィなどはのほほんと、


「ドラムばっかりのバンドみたいじゃのー。なんかステージが雪隠詰めになりそうじゃ」


 などと呑気に茶を啜りながら感想を述べていたが。

 サツ子も首を傾げて、


「てっきり、その七人は一組になり戦場ではめいめい一つ以上首を取らねば全員死罪! 仲間が殺された場合その仇を討たねば父子まで連座して死罪! とかそう云う制度かち思うた」

「そんな制度薩摩にしか無いから」

「夕鶴さぁが反応しちょるから長州あたりの制度かと」

「無いでありますよ! 長州はちゃんとした山鹿流の軍事をやっているでありますよ!」


 ちなみに山鹿流の軍学はこの時代、赤穂浪士による吉良邸襲撃に活かされたと評判の軍学であった。

 夕鶴は咳払いして言う。


「萩の南にある徳山あたりに出ると噂の妖怪であります。僧の姿をした七人の妖怪で、女子供を攫っていくと言われていて大層恐ろしがられているでありますぅ~! 怖っ!」

「七人ミサキの一番有名なのは土佐なのだが、日本中に似たような妖怪は出ているらしいね。それで、一体どうしたのだね房よ」


 石燕から話を戻されて豊房は言う。


「子供向けの黄表紙に、親しみやすい感じの七人ミサキを出そうと思ったの。まあ、取り殺すとかは物騒だから七人で脅かすとかそういうのね」

「ふむ」

「その妖怪の設定部分とかの書き文字を靂のやつに仕事回してやったのよね。あいつは読書家だから知識量はそこそこあるし。そしたら」


 豊房はどさりと紙束を出してちゃぶ台に置いた。何十枚か重なっている分厚いものだ。

 覗き込むようにして全員が見れば、一番上の紙に表題が書かれている。



『長宗我部元親への怨念と、土佐七雄及び七人ミサキの関係』



 ぺらり、と捲ると細かい字がぎっしりと並んでいて九郎は思わず紙を戻した。

 豊房が大きく溜息を付く。


「七人ミサキが土佐で語られるのは、長宗我部元親が切腹させた家臣に恨まれてたとか、滅ぼした氏族七家の怨念だとかはまあ納得が行く論説だけど……真面目だし長いのよこれ。子供は絶対読まないわ。しかも途中で平将門まで出てくるわよ」

「何故将門が……」

「ふむ。平将門は北斗七星を信仰していて、北斗七星には魔除けの力があり土地によっては塚などを北斗七星の形に配置するそうだ。また、広島藩にある七人の山賊の亡霊を鎮めるための[狂塚]と呼ばれる塚も七つ。そういった関係かね」

「それと切腹を受けた一番の怨念を持つと言われている吉良親実の家系、吉良氏は源氏系だとかそういった関係でしょうか、ね」

「読みもせずに見切るなよお主ら……」


 豊房はちゃぶ台の上の妖しげな論文と化した黄表紙の原稿その一を脇にやりつつ言う。


「これだけなら添削してやればいいんだけど、話を聞きつけた歌麿が勝手に靂のやつのに挿絵を描いたのよ」

「ほう」

「それがこれ」


 ばさり、と一枚絵を差し出す。

 絵の上部には題らしき書き文字がふりがな付きで書かれているようだ。



超助平(ちょうすけべ)元痴漢(もとちかん)~土佐の姫若子堕ちる娼太媚痴しょたびっち~』



「全然関係ない男色系の春画になっておる!?」

「七人ミサキは!?」

「元家臣の子孫に怒られそうだろ!」


 長宗我部(ちょうすけべ)元親(もとちかん)などと不名誉な読みを付けられた戦国武将が怨念を放ってきそうであった。

 真面目な靂をどう誑かしているものか、靂と歌麿が組んだ場合珍妙な春画本が出来上がることが多くて何度も発禁処分を食らっているという嫌なコンビであった。

 

「まったく。幾ら優しい感じで子供に教えるとは言っても、どう考えても伝わらないものは駄目よ。だって売れないもの」

「ところでフサ子や。己れも名前は聞いたことがある妖怪なのだが……七人ミサキの[ミサキ]とは何のことだ?」


 九郎が手を上げて聞くと、豊房は頷いて説明をした。


「普通に考えると七人ミサキは海妖怪だもの。ミサキは海から上がってくる岬のことを差すと思うわ。岬は海流物が漂着し易いから、例えば船が転覆したか何かで複数人が溺れて死んでしまったとして、何人かが岬に引っかかって発見されることもあったはず。その人数が七人なら、七人の亡霊が海から上がってきたと見立てたのでは無いかしら」

「なるほど」

「生者一人を引き込むというのも岬は自殺がよく行われる場所で、人を引き込みやすいもの。七人ミサキが出るとされる土佐の足摺岬もそうだわ。自殺者が出るのを七人ミサキに取り込まれたと称したのよ。きっと」


 海妖怪としてそれなりに筋が通った正体に、九郎は感心して唸った。

 だが説明をした豊房は、何かツッコミが来ないかとチラチラと石燕や将翁の方へ視線を向けている。妖怪絵師として活動をして、様々に知識を身に付けたとはいえその二人は怪しい別格の知識量を持っているからだ。

 実際に何処か余裕ぶった態度で「なるほどね」と眼鏡を光らせている石燕の姿は軽く調子に載っているようだ。

 将翁が紙と筆を取って別方面から解説をする。


「ま、日本全国あちらこちらに、七人ミサキの噂は広まっているものですから何が正しくて何が正しくないか、などは土地によると思いますが……一説、あたしの考えではこういうものがありまして」


 彼女は紙に漢字を大きく書き記した。



『御前』



 と、書かれたそれを見せた。


「……ごぜん?」

「そう読むと、貴人を表す──もっと根本的には、貴人の手を引いて先を歩く者を意味するのですが、これを御前みさきと読んだ場合はまた違ってくる」


 彼女は紙に「みさき」とふりがなを付けて説明を続ける。


「[御]は[御霊]を意味し、御霊の先にあるもの……すなわち、比較的神格の低い神使などを意味する。最も有名な御前稲荷おさきとうがは稲荷神社の使いである白狐のことだ。これが転じて、狐憑きになった者を『御前みさきに会った』とも言い、それが単なる悪霊妖怪を[御前(みさき)]と言うように民間信仰では変化していった」

「つまり……七人ミサキは単に、七人の妖怪を表すというのか」

「広島の山賊や徳山の仏僧のように、海の無いところで現れる七人ミサキもおりますので、ね」

「むう」


 不満そうに頬を膨らませる豊房に、将翁は「おっと」と両手を上げて告げる。


「もちろん、海の岬で出会う分も間違いではないと思いますぜ。恐らくは複数人の集団で現れ、一人が居なくなる怪異が存在し──それの代表例として海妖怪の土佐七人ミサキが周知されたことで他でも語られるようになったことも考えられる」

「……まあいいわ。ちゃんとそういった知識は聞いたら覚えておくもの。今聞いたもの」

 

 まだ十代な豊房では知らない知識の方が多く、実際彼女も妖怪のことを調べるにその土地出身の者から話を聞いて集めることも多い。

 だから将翁の考え方も今後の糧になると納得して、煎餅をバリバリと噛み砕いて飲み込みながら素直に受け入れた。

 そして九郎はふと気づいたことを口に出してみる。


「そう言えばお主らも己れを抜かしたら七人だな」

「うわあああもう駄目だ……あたしはもう取り込まれちまってるんだ……」

「弱っハチ子、弱っ……」

「むむっ、つまりクロー。私らを七人ミサキとしてアイドルデビューすればいいんじゃな!」

「せんでいいが……まあ、妖怪七人娘でも売れることは売れると思うぞ。男に」

「七人の妖怪ならば広義の意味での七人ミサキにはなるわけだね。また、御前は女の貴人をも表すので[七人御前]とでもしようか」

「むう……」

「おお、そうじゃ」


 何か思いついたようにスフィが手を打って立ち上がり、隣の部屋から狐面を持ってきた。


「じゃじゃーん。獣人変化の狐面じゃ。これを付ければ皆も獣の妖怪变化っぽく、耳尻尾が生えるのじゃよー」


 面の見た目は狐だが、狐は変化するという概念を持たせているが故の造形であって実際に着用するとその人物に似合った動物の特徴が現れる魔法が掛かっている、異世界ペナルカンドの魔法道具であった。

 皆もスフィが身に付けて狐耳と尻尾が出るのを一度見ているので知っているが、早速スフィは近くのお八に付けた。


「うおっ!? って何か頭に生えてきたぜ!?」

「お八姉さんは……猫耳かしら」

「にゃんこだのう」

「あたしはそれより、この尻尾がどこから出てんのか気になるんだが……破れてないよな?」


 腰をくねらせて、尾てい骨の辺りから伸びている細長い尻尾を気にしながら彼女は根本を撫でた。

 着物の構造上肌にくっついていては飛び出ないはずだが、何故か出ている。幻術だろうか。


「ふふふ食らいたまえ!」

「って何をすんにゃああああああ!?」

「おお。石燕が尻尾の根本をトントンするとハチ子がなんかこう、ヨガっておる」

「猫ね」

「次は石燕かのー」


 お八の頭から面を外して、近くの石燕にそれを着用させると。

 石燕の頭に丸くて小さな耳が生え、目の下に黒い隈取が出来てふさふさの毛深い尻尾が生えた。


「ぶふっ……先生、タヌキじゃないそれ」

「な、なんだって!? 私はもっと可愛らしい動物じゃないのかね!?」

「どう見てもタヌキでありますなあ」

「タヌキ」

「タヌキ」

「連呼しないでくれたまえ! ええい、不愉快な! 房! 今度はお前だ!」

「……フサ子もタヌキだった」

「姉妹っぽいなあ」

「ちょっと。なんでわたしも先生と同じ枠なのよ。判定がゆるいわよこの道具」


 などと皆で付け替えをして遊んでいた。雨で出かけられずに皆暇だったのである。

 九郎はさすがに参加する気にはなれずに、同じく元から狐属性な将翁と並んで茶を啜って見物していた。


 なお石燕がタヌキになった際に、開けっ放しにしていた縁側から利悟が尋ねてきたのだが、タヌキ幼女を見た瞬間その幼女的可愛さから突然土佐弁になり、


「拙者は脳をやられたぜよ……」


 と、倒れて雨に打たれたまま外に放置されているがもはや誰も気にするものは居ない。雨が止めば明石あたりが川に捨ててくるだろう。


 今度はしゃがんだ夕鶴が付けてもらうと、彼女の頭からピンと立った耳に腰からは大きな尻尾が生える。


「自分は犬でありますか。ううむ、この姿で仇を呼び寄せられないでありますかなあ」

「夕鶴さんは犬っぽいわよね。よく明石と遊んでいるもの」

「負け犬じゃないでありますよ!?」


 それによく噛み付いてくる、と九郎が肯定しようとしたが喋る前に考えると、誤解を与えそうな内容だったので口を噤んだ。

 そして最後にサツ子が面を着用すると。


「どげんじゃ?」

「何かしらこの丸く大きくて薄い耳は……」

「尻尾はネズミみたいだけど」

「ちょっと待て……それ以上追求するでない」


 九郎ががたりと立ち上がって制止する。

 变化したサツ子は何やら特殊なネズミの特徴が現れているようで、妙な危機感を九郎は感じた。

 具体的に云うと●が三つ、逆三角形に並んでいるようなシルエットをしたネズミだった。あまり言及したら版権的に怪しい感じになりそうだ。


「僕らのクラブのリーダーって感じじゃのー」

「スフィ」

「ミッサキーミッサキーミッサミッサキー♪」

「スフィ!」


 やばいリズムで歌い出したスフィを抱きかかえて口を押さえ込む九郎であった。

 



 *******



 

 一応全員の姿から構図は纏まったのか、豊房が作画作業に入る。

 薄暗い室内では描きにくかろうと、昼間だが行灯を付けてやりながらも九郎は折角だから行灯の熱で熱燗でもやろうかと画策していた。家で女が働いている横でその作業用の光源を利用し温めて飲む酒は最高というゲスな気持ちではなく、単に暇なだけだろう。

 そんなときに、来客があった。


「御免」


 と、玄関から声が響く。

 来客の対応をするのは大抵夕鶴であるのだが、彼女はびくりと腰を浮かせて青い顔をした。


「し、七人ミサキが来たかもしれないであります」

「玄関から御免と声を掛けてくる妖怪なのか」

「怖いであります! 九郎君付いてきて欲しいであります!」

「わかったわかった」


 びくびくとして腰を曲げて九郎の背中に隠れるようにした夕鶴を連れて、九郎は玄関へと向かった。

 そこには、蓑笠を深く被っている袴の男と、その隣に小さな少年が雨を滴らせて立っていた。

 見たことのない二人組だ、と九郎は思い声を掛けようとしたら、


「あ、あー!」


 夕鶴が声を上げた。

 そして慌てて駆け寄り少年の蓑笠を取ってやると、まだ前髪も伸ばしているあどけない顔の子供が表情を輝かせて夕鶴を見返した。

 年の頃は十に行っていないぐらいだろうか。やはり見たことは無いと九郎は首を傾げるが──


太助たすけ! 江戸に来てたでありますか!」

「大姉上! 久しぶりであります!」


 がばりと夕鶴は太助と呼ばれた少年に抱きつき、彼も小さな手を回して抱き返した。

 隣に居た男がばさりと蓑笠を外す。浪人めいた風貌の若者だ。年の頃は二十に行っていないぐらいだろうか。どことなく擦れた雰囲気を持っていて、姉弟の対面から面倒くさそうに一歩離れた。

 九郎は弟を抱いて持ち上げ笑っている夕鶴に声を掛けた。


「あー、夕鶴や。お主の弟か? 国元から援軍として送り出されたという」

「そうであります! まだ八つなのでありますが、誰に似たのかやる気満々で出てきてしまったのであります」


 父親の仇討ちとして萩藩から許可を得て、仇探しに江戸にやってきた夕鶴。

 ひとまずここで探しながら生活の糧として商売も始めていたのだが相手は見つからず、国元に居た彼女の幼い弟がお供を連れて旅に出たという話は九郎も聞いていた。

 そうなれば実家に追い返すわけにも行かず、やむを得ないので夕鶴が江戸で仇を探しつつ活動費を稼ぎ、弟とお供が遠出して探しに行くという分担になっていたのであるが……。


「それで太助! 仇の……ええと何とかいうおっさんは見つかったでありますか!?」

「いえ大姉上! 仇の何とかいうおっさんは見つからないであります! 寄っただけであります!」

「お主ら仇の名前忘れておらぬか?」


 ちなみに仇の名前は[玉木右内]である。夕鶴も忘れないように、人相書きは部屋に置いているのだがパッと出てこなかったのだ。

 

「それでこっちは……」


 九郎がもう一人の若者に顔を向けると、夕鶴が紹介する。


「こっちは近所にあった剣術道場の次男坊で、素行が悪いから弟のついでに追い出された右兵うへい君であります」

「うへぇ、なんだその第一印象が悪くなりそうな紹介は。止めてくれよ」

「名前と口癖が同じなので覚えやすいでありますが、基本的にチンピラであります」

「うへぇ……」


 迷惑そうにパタパタと手を振って夕鶴の話を止めようとする。

 彼の方が弟のお供で助太刀役らしい。年頃は夕鶴より幾らか年下のようで、恐らくは夕鶴に苦手意識を持っているなと九郎は悟った。

 右兵は九郎に向き直り、改めて告げる。


「杉右兵。そこの姉弟とは親戚で、まあ家から厄介払いされたってのも本当だ。宜しくな」

「ふむ……」


 長州訛りの無い自然な口調で右兵はそう告げてきた。


「己れは江戸で夕鶴に手助けというか……まあ、宿を貸しておる九郎だ」


 自分の宿というわけではないが。

 すると太助の方がぺこりと頭を下げて溌剌に挨拶をしてくる。


「話は伺っているであります! 自分らの生活費を稼ぐ手段を与えてくれて、いざというときは大姉上の助太刀をしてくれるとか……」

「いや、まあ。うむ」

「自分は杉太助であります! ご協力感謝しているであります!」

「そうか、そうか。そうだのう、まずは屋敷に上がるといい。濡れ鼠で立ちっぱなしも辛かろう」


 九郎が言い終わるより前に、サツ子が手ぬぐいと水を張った盥を持ってきた。

 二人は安堵したように足を洗って手ぬぐいで水気を拭い、屋敷に上がる。

 奥では豊房が作業をしているので応接の客間で二人と向き合う。

 改めて室内でその姿を見て、


(若い……)


 と、九郎は思った。 

 まだ八つばかりの少年は言わずもがな、伴の方も二十手前ほど。日本全国仇を探して歩き回るには、随分と頼りなく見える。

 夕鶴は久しぶりに出会えた弟相手にニコニコとしながら、


「お金の援助でありますな。大丈夫! ちゃんと溜めているでありますよ!」


 胸を叩いてそう告げる。ふりかけ売りとして真面目に働いている夕鶴は、その稼ぎの家に入れる分以外を殆ど貯蓄に回している。こうして、自分では遠出できないのでせめてもの弟に活動費を与えるためだ。

 彼女はジト目で弟の隣に座り、熱い茶を手に持って「うー寒寒」などと呟いている右兵へと見やりながら、


「しかし右兵君が無駄遣いしていないでありますかな? どうも右兵君はだらしないところがあるでありますからな」

「うっへえ……」

「大姉上……右兵さんは助太刀で付いてきてくれているのですよ! そんな無礼なことは言ったら駄目であります」

「ふむ。聞いても良いか? お主は何故助太刀に? 親戚を助けるのは立派だが、旅も大変だろう」


 九郎は右兵に尋ねた。この当時、旅は金が掛かり危険な上に疲れるものだ。それが当て所もなく仇を探すとなると心身共に疲れ切り、失敗する仇討ちは枚挙に暇がない。

 やらねばお家の問題な当事者はともかく、そうそう気軽については行けないものである。それこそ仇討ち側が金持ちで礼金が豊富ならまだしも、この姉弟の資金はほぼ夕鶴が作る分のみだ。

 右兵はぎこちなく笑いながら告げる。


「うへぇ、いや実は助太刀して仇討ち終わらせれば、この太助坊の姉貴が嫁に来てくれるってんで張り切ってな」

「ほう」


 九郎が真横の夕鶴へ顔を向けると、彼女は両手の平を右兵に向けてがくがくと震えていた。


「じ、自分を嫁にでありますか!? うへぇであります!」

「あんたじゃねーよ! あんたの妹! おれの幼馴染! っていうか何だその『うへぇ嫌だなあ』みたいな反応は!」

「ああなんだ。自分の妹の方でありますか。それなら……ううっ、右兵君が義理の弟になると思うとうへぇって感じが……」

「知るか!」


 夕鶴の嫌そうな反応と同じく嫌そうな右兵の反応であった。

 と言うか夕鶴の場合、あまり地元の同年代な男らと仲が良くないのである。人並み外れて背が高かった夕鶴は同年代の男から疎まれて、ときには心無い言葉も掛けられていた。持ち前の能天気さはあっても、相手の印象は良くないものになるのも当然だ。

 まあ右兵の場合は、元々の素行が良くない悪ガキとしての印象が夕鶴は強いのだが。


「そう言えば妹がおるとか云っておったような気がするのう」

「四つ下の妹と、七つ下の妹が居るであります。生憎どちらも背は普通でありますが! 同じもの食べてたのに!」

「で、その四つ下の方が頼んできて……仇討ちを成功させればおれも箔が付くからまあいいかって引き受けた」


 なるほど、と九郎は頷く。

 金で協力をするよりは良い話ではある気がした。幼馴染の家を救う為に、過酷な仇討ちの旅に付き合う元不良。成功すれば美談になるだろう。

 夕鶴の妹もこのままでは家は潰れるし弟も危ないので必死なのだろうし、右兵にしても次男坊では何かしら箔が付かねば世間に就職もできないし嫁も貰えるか怪しいのでこうして参加を選んだのだろうが。

 太助が拳を握って主張する。


「大姉上。右兵殿は凄いんでありますよ! 旅が上手くいってるのはまさに右兵殿のおかげで、お金の減りも最低限で済んでいるであります」

「そうなのでありますか?」

「何か特別な方法が?」


 九郎が聞くと右兵は頭を掻きながら「いやあ」と呟いて、


「旅先旅先でどこでもとりあえず、『幼い義弟と仇討ちの旅をしている。どうか軒先を貸して寝させてくれないだろうか……』って人が良さそうで飢えてなさそうな家を選んで、真摯な雰囲気で声を掛けてるだけで。

 そうすれば軒先どころかまず食事も出してくれるし、良いところだと旅費も分けてくれる。断られたらさっさと次の家に同じように声を掛けていけばそのうち引っかかり、大抵のところで一泊は行ける」

「お主……思い切りがあるというか、やたら要領が良いな」


 仇討ちに出るのは普通武士である。武士となれば、そこらの農民町人に頭を下げて宿を借りるなど余程の場合しかしないものである。

 そこを敢えて積極的に行うことで旅の中で最も金の掛かる宿代を節約しているのだ。

 相手も武士が頭を下げて頼み、更にそれが仇討ちという民衆にとっても馴染み深い理由で、おまけに道中の片割れがまだ十にならぬ子供というのならば面倒も見ようというものだ。面倒を見る余裕のなさそうな家には最初から近づかない。

 招き入れて右兵から仇討ちの大変さを涙ながらに語られれば応援もしたくなるものである。

 もちろん追い返される場合もあるが、屁とも思わずにさっさと次の家に同じ演技を仕掛ける面の皮の厚さがあった。訪問販売や営業向きな性格であるようだ。

 

「金が無いんだから世間のお人好しから集めようと思って」

「そう云う詐欺がそのうち流行りそうだのう……」

「しかし実際、旅をしながらの金策って大変なんだ。金を渡してくれるのはこの姉ちゃんが居る江戸しか無いから、大阪辺りに遠出して金が付きたら動けなくなるわけで」

「確かに」


 ざっと計算して江戸から京都大阪あたりまで一人で移動すれば、普通は旅籠などの旅費で最低一両ほど掛かる。最短で街道を進んでこれなのだから、仇を探しながらでは更に費用が掛かるのも当然だろう。

 萩の実家の方も元々下級武士の家であり、収入も途絶えているものだから支援は期待できないだろう。

 

「ところで右兵君。少しでも仇の手がかりは見つかったでありますか?」

「うへぇ……少なくとも、東北には上がっていなさそうだと聞き込みでわかったところか」


 関係ないが、彼の口癖の「うへぇ」は「ええと」とか云った間を持たせるうめき声のように発せられるようだ、と九郎は察する。

 それにしても夕鶴の探す仇、玉木右内の特徴は乏しいのである。

 箇条書きにされている人相によれば、


・身の丈五尺五寸。

・鼻の横に黒子あり。

・隙っ歯。

・長州なまり。

・獣の耳に異様な執着あり。 


 といった、大したものでは無かった。


「一応会津まで探しに行ったけど、道中調べたところ長州訛りの人なんて見かけたことがないって話ばっかりだからそっち方面には上がっていなさそうだ。他の特徴はともかく、あっち方面で西国訛りは絶対目立つからな。

 で、江戸に戻ってきたのは噂によると、天一坊とかいう怪しい輩が浪人を集めていたらしいってんで、全国各地から浪人が関東に寄ってきたその中に居るんじゃないかと思って」

「ふむ……道理だな」

「江戸近辺の主要街道でまた人の良さそうな団子屋なんかには仇の特徴を話してどうか店で見かけたら覚えていてくれって頼んでいるんで、暫くはそこらを巡って通らなかったか情報を集め──」

「ゆ、夕鶴。お主、素行が悪いとか此奴に云っておったが異様に手際が良いぞ」

「自分全然そんな方法やってなかったであります……」


 見た目は微妙にチンピラ風味がするのだが。

 幼い太助を利用して宿代を節約し資金を集め、聞き込みも要点を絞っている。またあちこちに無償でやってくれる協力者を作り、街道に網を張る。

 

「うへぇ、そんな褒めるなってこそばゆい。これぐらい軍学でやるだろ」

「右兵殿頼もしい……!」

「ああっうちの弟が完全に頼れる兄を見る眼差しで右兵君を見ているであります!」

「まあ実際頼れるだろうしのう……」


 父親を亡くした子供が、過酷な仇討ちの旅に出かけているのだ。生活、索敵、旅の計画からいざという時の助太刀まで頼っている年上の男を尊敬しないはずがなかった。


「しかし、追いかけておるお主らが大変なぐらいだ。逃げておる玉木某も金に困りそうなものだがのう」

「萩藩で誰か親戚から借り受けているとかでありますかね?」

「いや、そこらはおれが確認した。案外に萩でもこの仇討ちは有名になっていて、向こうを支援しようなんて輩は現れないだろう」

「頼もしい……」


 するとどうやって資金調達しているのか。

 とりあえず思い浮かぶのは悪事だが、そこらの情報を得るために九郎は縁側の外で泥の中寝ていた知り合いの同心を引っ張って来た。

 まず精水符で全身から泥を洗い落とし、炎熱符で表面を乾燥させて部屋に置く。

 仮死状態にあった利悟はどうにか復活して九郎に恨みがましい目を向けていた。


「放置するってどれだけ冷たいんだここの住人は……」

「お茶のおかわりを持ってきたのじゃよー。うみゅ? とし坊も来ておったか。ほれ、茶でも飲め」

「生きててよかった……! 拙者の人生は救われた……! 尊い……!」

「ある意味面白いのーこやつ……」

「スフィは危ないから部屋を出ていてくれ」


 むせび泣きながら茶を大事に呑み始めた利悟が落ち着いたようなので、話を聞く。


「故郷を追われた仇持ちの浪人は、金に困ったら悪事を行うだろうか」

「そりゃあ、身一つで故郷を追い出されて同郷の人も頼れず、真っ当な商売をしていてもいつ追手が来るかわからないとなれば悪党の用心棒とか、盗賊とかにもなるんじゃないかな」

「用心棒か……その玉木某は強い方だったかえ」

「うへぇ……並よりは強いけどそれほどでは。ただし人を一人斬っているから度胸は付いているかも」

「ふうむ」

「でも仇討ち目的の相手だと、早めに見つけないといけないぞ」


 利悟が指を立てて皆に言い聞かせるように告げた。


「下手に盗賊に身を落として町方や火付盗賊改に捕まって死罪になったら……仇は打てないまま死んでしまうわけで」

「む、確かにそれはいかんな」

「実際近頃、あの天一坊事件で集まって半端に解散した浪人らが盗賊の真似事をしている事件が多発しているから、捜査の手伝いを頼みにここにやってきたところだったんだ。そんなわけで九郎もサクサク働いて、知らないところで仇が捕まって死罪にならないように協力をしてくれ」

「そうだのう。ところで、その仇を見つけたらどうすれば良いのだったか」


 九郎が聞くと夕鶴は一瞬固まり、不安そうに右兵の方を見た。

 彼は肩を竦めて告げる。


「とりあえず町中で見かけたら萩藩の藩邸そこの姉ちゃんと一緒に知らせに行って、すると向こうが人員を出してくれて監視なり一旦逮捕なりしてくれるはず。すると指定された日時に玉木右内を決闘場まで引きずって来てくれるから、連絡が付けばおれと太助も参加して正々堂々仇討ち勝負……これが一番事後処理が楽で藩も納得する感じだな。

 生かして捕らえるのが難しい状況の場合はとりあえずぶった切った死体と仇討免状を持って藩に届け出。そんな時でも立会人がいたほうがいい」

「その辺、夕鶴は全然教えてくれんかったな……」

「ううっであります!」


 前者のような正攻法でも申し込んで大丈夫なのかと云うと、返り討ちにした場合は評判はともあれその人物は藩に戻れるので乗ることも十分考えられる。

 何せ仇討ちの要員は背が高いだけの女に八歳の少年である。お供な九郎か右兵を倒せることができれば仇討ちに怯え逃げる生活も終えることを考えれば、おかしいことではない。


「ま、まあとにかく今晩は泊まっていくでありますよ! 旅で疲れているでありますな? 美味い食事でもして英気を養うであります!」

「はい大姉上!」

「うへぇ。それじゃあお言葉に甘えるかね。明日から暫くは関東八州を回ってみるもんで」

「勤勉だ……!」


 九郎が感心して呻いた。

 普通こうした身内の拠点にたどり着いたら数日は逗留して休みそうなものだが、早速明日から近場とはいいえ探す旅を再開するという。

 それもいつ仇が捕まったり死んだりするかわからないので急がねばならないという意識もあるが。

 見た目は軽薄そうな雰囲気だが、右兵という男はかなり真面目であるようだった。

 余っている部屋にまず案内するとばかりに夕鶴が二人を連れ立ったので、九郎も押し入れの布団でも取り出すかと移動する。

 後ろから利悟が付いてきて、思案げに告げた。


「……ところで九郎」

「どうした?」

「外は雨でそろそろ日も暮れ、元々薄暗かった空が真っ暗になってきたね?」

「ああ。早く帰れ」

「スフィお婆ちゃんか石燕ちゃんの作った晩御飯を拙者がごちそうしていってもいいかな……! お金払うから……!」

「人の家に上がり込んで料理人指定で晩飯を要求するな」


 鬱陶しそうにしながら九郎が、予備の布団を置いてある部屋の障子を開けた。

 そこは洗濯物の部屋干しもしていて、スフィが干している衣料の乾き具合を確認しているところであった。

 干している自分の布足袋を摘んで、くんくんと鼻先で生乾きの匂いを嗅ぐという形で。


「うーみゅ、やっぱりもうちょい干しておくかのー……ってなんじゃ!? とし坊が鼻血を出してぶっ倒れおったぞ!?」

「少女足袋クンカクンカしてる姿とか刺激が強すぎる……!」

「なんじゃ!? キモいフェチ男じゃのー!」

「少女に罵られるの最高すぎる……!」

「スフィ。己れはこやつ捨ててくるから、客人に布団を出しておいてくれ」

「お、おう。のー、クロー」

「なんだ?」

「……友達は選んだ方がいいのじゃよ?」

「こいつだけは友達じゃないと思いたい……」


 



 *******





 その晩は皆でちゃぶ台を囲んで豪華な食事を作り、二人の英気を養った。

 そこでは旅の話を拙い言葉遣いだったが太助がして、それを口のうまい右兵が補助してわかりやすく語っていた。旅先で宿を借りては語っているようだが、確かに泊めた相手も応援したくなるような語り口であったという。

 翌朝には二人は旅に出発することにした。夕鶴は旅の資金と、ふりかけをたっぷり持たせて送り出す。


「それでは息災でありますように! また近くに来たら寄るであります!」

「大姉上! 次に会う時は仇討ちが終わっているといいでありますな!」


 二人は抱き合って、幼くも武士の役目を果たさんとする弟を見送る。

 特に何も言うことはなく右兵は後ろ手を振って太助と並んで歩いていった。

 二人の背中が遠くなっていくと、夕鶴は大きく溜息をついて肩を落とす。


「本当は──」


 小さく、沈んだ声を出した。


「本当はあんなに小さな弟ではなく、自分が旅に出て探さねばならないであります。その為に自分は萩を出たでありますが……」

「……」

「昨晩、右兵君に持ちかけたであります。自分もついていった方がいいのではないかと。しかし断られたであります。自分の目立つ風貌では、宿は断られるし目立って仕方がない。それに資金を稼がねばすぐに行き詰まってしまうと」

「適材適所というものがあるのだ。お主とて無為に時を過ごしているわけではない。江戸で仇を見つけるかもしれぬし、稼いだ金は役に立っておる。だからそう、己を悪く思うでない。弟もあの若者がいれば大丈夫だろう。心配するな」


 夕鶴は少しだけ上を向いて、朝日が上る空を見上げた。

 

「……そうでありますな。案外、早く仇討ちも見つかって終わるかもしれないであります」

「そうだのう。弟を巻き込んで悪いと思うのではなく、弟が優秀な援軍を連れてきたと思うことだな。お主だけが負わねばならぬ仇討ちではなく、お主の一家の問題なのだから」

「……うんっ」


 夕鶴は頷き、大きく背伸びをして握りこぶしを作った。


「さて! それじゃあ今日もふりかけを売り歩いて仇を探すであります! 見つけて、棒で引っ叩いてやるであります!」

「いやまあそこは己れを呼べよ?」

「首を洗って待ってるでありますよ、うまきたない……!」

「仇の名前はたまきうないだからな?」


 微妙に不安を残しつつも、夕鶴の仇討ちの日々は決意を新たに始まるのであった。






 *******





 それから。


「とりあえず屋敷のみんなを妖怪化して描いてみたのだけれど」


 と、大判の絵を豊房が見せてきた。昨日から描いていたものである。

 一同をモチーフにした、獣の变化のようになっている娘が広間に居る図なのだが……


「この真ん中におるごろ寝しておるのは己れか? 何の妖怪だこれは」

「それはあれよ。ざしき──」

「座敷わらしか?」


 幸運を家に与えるという妖怪だが、豊房は首を振って応えた。


「座敷男」

「座敷男!?」

「主に座敷に居る男ね」

「妖怪かそれは!?」


 なお絵は版元で刷られてかなり売れたという。


豊房「ケモ耳な絵を描いたら夕鶴さんの仇が寄ってこないかと思ったの」

九郎「どうだった?」

豊房「長州藩の人が結構買いに来ててさっぱりわからなかったって」

夕鶴「みんな結構好きでありますからなあ」



太助「ところで右兵殿」

右兵「なんだい太助」

太助「大姉上はあの九郎って方と同じ屋根の下暮らしてたでありますな」

右兵「そうなるな」

太助「しかし他にも大勢女性がいたであります。どういう関係でありますか?」

右兵「アレは……プロだな」

太助「大姉上を任せても大丈夫でありますかな……」

右兵「知らん。が、地元よりはマシだろ多分。楽しそうにしてたから」


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