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103話『釣りとやくざな九郎の話』

 江戸も毎年のように日差しが照りつけて労働意欲を失せさせる季節になってきた。


 その日、九郎は海釣りに出かけていた。

 九郎にとって老後の暮らしというと、まあ昔に想像していたことだと超将棋大戦を近所の老人仲間とやったり、スフィと茶でも飲みながら他愛の無い思い出話で日がな過ごしたり、新聞を隅から隅へ精読したりと云った程度である。

 昔に住んでいたクリアエは内陸地であり、川も釣りは盛んではない。季節が悪いとツインバスターローリング油圧式万力蟹という、マイクロバス程も大きくなる魔物的甲殻類の遡上とかち合って襲われかねない危険性もあった。

 そんなわけで海釣りも川釣りも盛んで、釣り堀が幾つもある江戸は「暇だから釣りでも」という環境にとても適していた。恐らくは当時世界で一番、趣味の釣りが流行っていた都市だろう。

 身分を問わずに川原や海岸に並んで竿を振るい、更には近年江戸で日本初の釣り専門書が刷られて刊行された。


 そんなわけで九郎も、時折釣りには出かけるのである。 

 釣りをしていれば自然と釣り仲間もできる。九郎が知り合った──というか、よく鉄砲洲近くのポイントで見かけると思っていたら、天爵堂老人とその男が世間話をしていたので、千駄ヶ谷の隠居が紹介して知り合いになった男が居る。

 年の頃は髪の毛に白いものが混じり始めた初老に見える。武士であるらしく、天爵堂は「仕事もせずに釣りだけしてるのに食っていける怠け者だ」と苦々しそうに紹介していた。

 名は、マサと云うらしい。渾名のようだが、武士が苗字名前まで名乗って仕事をサボり釣りに興じるのもどうかと思うので、渾名で名乗るのもそれらしくはある。

 ゆるい好々爺と云った雰囲気で、白髪交じりでいつ見ても釣り姿で竿を持っている彼は他の釣り人から太公望などと呼ばれている。


「ちっとも、大公に望まれてねーんだけどもな」


 困ったような笑みを浮かべつつ、やや独特の口調でそんなことを云う、昼行灯の中年旗本であった。

 ともあれ、仕事もそろそろ引退時期に見えるがとにかく釣りが好きらしく、その日九郎が釣りに出かけたら声を掛けられ、二人して舟釣りへとしけこんだ。

 小さな猪牙舟で緩く波のある海へ漕ぎだして、潮目を見計らい釣り場へ向かう。

 舟を漕ぐのもマサが操った。九郎とて、動かせぬわけではないのだがしっかりポイントを見極めて寄せるのは無理だと彼から云われて素直に従う。 

 静かな海風の吹く江戸湾に浮かんで、二人は反対方向を向いて釣りの準備を始めた。


「む? お主、今日は竿を二本使うのか?」

「片方はきす用の仕掛けで、もう片方は大物狙いにしてんだ。毎日鱚ばっかり釣ってたら、娘に怒られちまって。黒鯛でも釣って自慢しなけりゃな」

「うむ、多分怒ってるポイント違う気がするぞ」


 いい年した親が仕事をせずに釣り三昧なのが問題なのではなかろうか。

 思いながらも九郎はキス釣り用の針にイソメを通す。この針はマサから貰ったものであり、彼が自作したと云うが中々の作りでそれぞれサイズ別にしっかりと作られていて大したものである。

 

「なんせ専門家だからな、

「幕府にも釣り奉行とかあったら専門家になれたのにのう」

 

 云いながら、糸の先につけた餌と針を海に垂らす。

 糸はテグスを使っている。これはテグスサンという蛾の繭から取れる糸を加工して頑丈にしたもので、水につけると半透明になり釣りに適している。

 生産は主に明や清で行われていて、もともとは輸入される荷物を縛っていた糸であったのだが、その糸自体の価値に目をつけて釣り糸にしたのである。

 糸は軽く持ち込みやすいので舶来品の中でも庶民に手に入りやすい部類だ。朝鮮や琉球を通して日本に輸入され、江戸にも売られていた。


「お主の大物用は糸に薄く色が付いているが……」

「そっだな。テグスを頑丈にする為に束ねて、鶏卵の黄身を秘伝的に染みこませると[粘り]が出て切れなくなんだ」

「凝ってるのう」


 感心しながらも、垂らした糸に早速反応があった。


「おう、さすが釣り名人の選んだ場所だのう」


 鱚は素直に竿のアタリが来てわかりやすく楽しめる。餌を全て食べられる前にひょいと合わせて釣り上げた。

 長い木の葉のような、小振りだが綺麗な流線型をしているそれを湿らせて氷結符で冷やした魚籠の中に放り込む。

 同じく、マサが一匹釣り上げていた。丁寧に針から外して再び竿を振る。


「しかし天ぷらもいいが、こう暑いと油っこい気はするのう」

「んーだったら、なめろうとか良いんじゃないか。味噌と紫蘇と茗荷を入れてとんとん切り身を叩いて……」

「ああ、鱚もいけるのかあれ。鯵や鰯ではよく食うが」

「生姜や大蒜なんかの匂いの強いやつを入れれば、赤身の鮪だってなめろうにできるけろ」

「酒が進みそうだ」


 口の中でじわりと涎が出てくるのを感じながら、晩酌を楽しみに思う。マサは二匹目を釣り上げた。


「おっ早速二匹目か」

「何はともあれ釣果を上ぐのが一番楽しいと思んだ、私は。かの太公望は真っ直ぐな針を使ってたらしいけんど」

「あれは雑魚ではなく、超大物を狙うためなのではないかと思ったりもするがな。いや、大公殿ではなく、実際オオナマズか何かを釣った伝説もあったろう」

「んだな。よし、三匹目」


 九郎に二匹目のアタリが来ると同時に、マサは三匹目を上げた。やはり腕や仕掛けが良い。

 

「味噌をつければどうやっても旨く食えて、それ以外でもメシに炊き入れたり汁の実にしたりとなんでも使えるんだけども、娘や家の用人らはうんざりしてるんだな、鱚」

「ほう」

「単に月に六十食は鱚が出てくるだけなんだけども」

「飽きるわそれ。どんだけ釣ってんだ」


 一日二回は鱚料理が出てくるマサの台所事情であった。

 竹の水筒に入れてきた冷水で口を潤して話を続ける。

   

「お陰で娘が愚痴っぽくなってなあ。口さも悪いもんで嫁の貰い手も無い」

「どこも抱える悩みは似たようなものだのう」

「幼馴染で親戚のわらしなんぞ、丁度いいと思うんだけど、娘子の感想は一言『しょぼい』でそっちの男が意気消沈しちまって。九郎さは誰か良い男を知らんか。侍がいいんだが」

「うーむ……んん……駄目だのう、知り合いは大抵、嫁などをもう持っておる」

「さよか」


 行き遅れている女には心当たりが多いのだが。

 男で親しい連中は既婚者か予約済みなのが多い。或いは薦められもしない異常者か。


(伯太郎などはさっさと身を固めてやるのが世のため人のためなのだろうがのう……)


 異常者というか犯罪者候補の稚児趣味同心について考えて溜め息が出た。この前など、両国広小路の古着市で女児服を吟味しているのを見かけた時は通報しようかかなり悩んだぐらいだ。

 利悟のようにドサクサに紛れて洗脳して幼馴染とくっつける作戦も、伯太郎の場合は親しい妙齢の女性が居ないので通用しない。

 どうにかして欲しいと美樹本善治などからも相談されていたので、独自の情報網を持つ忍者集会で嫁情報を集めようとしてみたのだが、


『犬系で少女に見える感じの結婚願望のある娘を知らんかのう』


 などと話題を出したが最後、会議は踊れど先に進まずの喧々諤々と忍者達の妄想語りが始まってしまった。

 概ね以下のようなことを延々と一晩語り続けて特に情報は出てこなかったのだ。


『犬系ってどこまで!? 犬みたいに懐いてくる後輩的な!? もしくは犬耳尻尾付き!? 犬鼻まで!? 手足は!?』

『俺犬耳だけで獣娘の良さわかった! って奴嫌いなんだよなー』

『うわ出たよ! 獣度が高ければ高尚だと思ってる類! 個人的趣味は勝手だけど見下すのやめろ』

『待てい少女に見えるって設定も忘れるな! 少女に見えるが犬は所詮犬の寿命……ある時別れるなんてひどすぎるじゃないか!』

『やはー、某としてはその少女が不老長寿で、先にこっちが死んで顔を曇らせているのを最期に見れれば……』

『はい待って待って! 鬱な話はやめよう! でさ、犬系だから発情期とか当然あるわけだよ! 急に息が荒くなって体ぽかぽかでわふわふーん! 夢があるなあ』

『やはー、某としては発情期になった少女から鋭い爪と牙でズタズタの血塗れされて、不意に正気に戻った彼女がそんなつもりじゃなかったと顔を曇らせるのを見たいというか……』

『お前さっきから趣味が悪いよ!?』

『でも……わからなくはないな!』

『ああ……』


 とりあえず、嫁探しに忍者集団は一切役に立たないことが判明した。まあ、薄々気づいていたが。

 糸が緩く波で動く水面に沈んでいるのを眺めながら、しみじみと云う。


「この歳になると、若い頃に色々と婚姻を薦めてきたお節介達の気持ちがわかるよなあ……」

「そっだな」


 九郎は竿を上げた。合わせが早かったのか、鱚は掛かっていない。 

 



 *******




 世間話をしながら次の釣り場へ舟を動かした。

 岸に近い場所である。海辺にも釣り人がまばらに集まり、竿を伸ばしている。ところどころに岩礁が浮き出ている浅く、潮目も早い場所だが丁度安定する位置に舟をつけた。

 

「この辺りは海藻も多くてな。海藻を食いに海胆うにが増えれば、海胆を食う大きな魚も寄り付く」

「ほう──成る程のう」


 竿に引っかかったものを上げてみれば、針によくわからない海藻がくっついていた。


「確かに多い」


 苦笑いを見せ合う二人である。


「それも一応湯がけば食える。海藻と云えば、刺し身を昆布しめにした鱚も中々乙なもんだ」

「良さそうだのう。やってみるか」


 などと話していると、マサが用意していた大物用の竿に反応があった。

 慌てずに竿を持ってアタリを確認する。


「来たか?」

「……いや、魚じゃなさそうだけんど……こっちも海藻の塊か……? えらく重いんだけんども……! 十五貫(約56キログラム)以上はある……!」


 竿を立てると薄く黄色掛かった糸がピンと張り、竿が大きく撓った。

 地球でも釣っているかのような静けさと、重さである。


「大丈夫か」

「任せてけろ。私ぁの針に掛かった獲物なら──仏様でも釣り上げてみせるさ」

「なんだこの頼もしい」


 テグスを二本束ねて、薬液に浸したとは云え──細い釣り用の糸だ。現代の化学繊維で作られている頑丈なものではない、あくまで天然の蛾の繭糸。

 竹を独自の継ぎ方で組み合わせて手ずから作り上げた和竿は見事なものだが、太さは女の手首程も無い。

 それらが切れず、折れずに六十キログラム程もある獲物を釣り上げられるのか。

 マサの顔が真剣味を帯びて、手に震えはまったく起こらずに涅槃の如き静けさであった。

 念力のような気迫が竿から糸に伝って圧力を生むようで、九郎は思わずギリギリのところで持ちこたえている竿と糸を見て唾を飲み込む。

 彼にかかれば、天国から下ろした蜘蛛の糸で釣り上げた罪人の群れだろうが全て引き上げられるだろう。

 そう思えるような気配である。


「──ここだ」


 静かにマサが告げて竿を持ち上げたかと思うと、その初老の細腕にどれだけの力が篭っていたというのか大量の水を持ち上げながら、大獲物を見事に水面に飛び上がらせた!

 そのまま、手網では取れぬと素手で釣り上げた物体を捕まえるが───


「……」

「……水死体?」


 ある意味仏様であった。

 襟首を掴んで、半身を舟に引き上げたそれは──伸びた髪の毛がワカメのようにべたりと顔にひっついていて、酷く不気味だ。

 

「入水……じゃないな、溺れた海女か?」


 格好は紐で捲し上げて動きやすくした白襦袢のようなものを上半身に羽織っていて、濡れて蒼白くなっている肌が透けていた。下は前垂れの無い紐パンツ(九郎とは関係ない)に似た簡易的なサラシで作った褌を巻いていた。

 そして、ずるりと全身を舟に上げると九郎はさっと顔色を悪くした。

 その女死体。

 背丈が六尺(180cm)ばかりもあったのである。

 そんな女は江戸で一人しか見た覚えが無い。


「──おい!? 夕鶴!?」


 慌てて髪の毛を払い、顔を見ると確かにそれは──鳥山石燕の屋敷に居候している、夕鶴という女であった。

 九郎の言葉に、まぶたが僅かに開いて焦点の合わない濁った瞳が揺れている。

 ここは岸の近くだ。そこから海に入って溺れて、まだ時間が経っていないのだろう。

 

「死ぬなよ……!」


 おもむろに夕鶴の口を開かせて、人工呼吸を試みる。

 大きく開かせた口に異物が詰まっていないことを確認して、


「起風符!」


 ──指に巻きつけた術符を喉に突っ込んで適正な量の風を発生させて肺に送り込んだ。

 口で吹き込むより十分な量の空気が開いた気道に吹き込まれる。

 そして、


「ごほっ」


 と、入ってきた空気に押し出されるように、咳と水が夕鶴の口から出た。


「ははあ、天狗の術ってのは便利なものだ」


 夕鶴をうつ伏せにして背中を撫でながら水を吐き出させ、もう一度口に起風符を入れて空気を送り込む。

 酸欠で脳に障害でも起きたら大変であるし、呼吸を落ち着かせなければならない。

 その間にも夕鶴の首と胸に触れて、異常な脈をしていないか確認した。心臓の動きが危険な場合は加減をした電撃符が必要かもしれないと思ったが、濡れて体が冷えていたもののそこまでではなかったようだ。

 やがて、


「ふええああ……九郎君ー……死ぬかと思ったでありますううう……」


 洟混じりの情けない声で縋り付いて来たので、九郎もほっと息を吐いた。


「まったく……己れも死んだかと思って心配したのだぞ」

「えう……」

「仇も討たずにこんなところで死ぬではない」


 濡れた頭を軽く叩いて、安心させる為、己の胸に抱きしめてやった。


「……とりあえず、どこか送るけ?」

「ああ、そうだのう。釣りの最中で悪いが……飯田橋のあたりまで頼む」

「うい」


 深くは聞かずに、また震える夕鶴にこの場では九郎も尋ねず、とりあえず神楽坂まで舟で向かうのであった。




 *****




 鱚を土産に、なんとなくマサも付いて石燕の屋敷に夕鶴を連れて行った。

 この時代にそう深く考えるものではないのだが、とりあえず格好は透けているし褌だしで九郎もどうにも体裁が悪いので疫病風装を掛けてやったが、


「すーすーして寒いであります!?」


 と、風を取り込む着流しは不人気であった。

 とりあえず石燕に迎え入れられ、濡れた体を拭って着替えさせている間に確認を取ったのだが、


「いやあ? 夕鶴くんが海女になったなどと初めて聞いた話だよ。溺れてたと云われて寝耳に水だ」

「そうか、やはり本人に聞かなくてはな」

 

 濡れた衣服を着替えさえすればこの陽気であるので、すぐに夕鶴の体も快調へと向かっているようである。

 彼女を呼んで事情を聞くと、


「魚市場でわかめを売ってくれなかったので、このままでは[わかめしそ]が作れないと思って自分で取りに行ったであります」

「売ってくれない? どうしてだ」

「さあ、事情は話してくれなかったでありますが……何処かが予約をしていたのでありますかな? ここ何日もそんな調子だったからいざ海へと向かったのでありますが……足が海藻に絡まってあわや溺れるところでありました! 九郎君は命の恩人であります!」

「なんというか、運動神経悪いんだからお主、無理するなよ」

「ううう……萩では子供の頃からやってたでありますよう」


 実際、走ったり木登りをしたりは苦手だが潜水にはそれなりに自信があった夕鶴である。

 ただ普段とは違う場所を潜るというのは、潮の流れから海底の植生まで何もかも違うので勘が狂ったのだろう。

 マサが首を傾げながら云う。


「しかしわかめが売り切れってのは変だけん。乾物屋はどうだった?」

「乾物屋は、わかめと紫蘇のふりかけを売ってる自分は商売敵だからってあんまりいい顔をされないであります……」

「だからわざわざこの屋敷で干しているのだからね」

「そうだのう。わかめが市場から姿を消すほど、格別大人気というわけでもなかろうが……」


 江戸でもわかめは味噌汁や味噌和えなどで食べられているが、それが売り切れるという程の消費量ではない。

 何か、引っかかるものを九郎は感じた。


「よし、己れがちょいと市場を見てきてやるから、夕鶴はここで待っておれ」

「ありがとうであります!」

「ふふふ! そうだねそれでは私も同行しよう──」

「石燕」


 立ち上がりかけた石燕を、九郎は両肩を押さえて座らせて、彼女の目を見ながら告げる。


「お主もここで夕鶴と待っておけ。鱚を置いていくから、メシでも作ってのう」

「九郎くん?」


 きょとんとした目で、石燕は九郎の子供に言い聞かせるような顔を見て──立ち上がるのをやめた。

 なにか、怯む雰囲気を感じたのである。


「よし、マサさんや。日本橋の魚河岸へ頼むぞ」

「ん」


 応えて初老の釣り仲間だけ連れて、九郎達は魚市場へ向かうのであった……。




 *****




 日本橋にある魚河岸は日本一の魚市場であり、伊豆や遠江、安房に上総、下総などからも魚を取ってその日のうちに運び込み、百万都市である江戸の需要を引き受けていた。

 魚河岸の近くには魚を料理する店が建ち並び、川は中を生け簀に改造した板舟がひっきりなしに移動している。

 夏場は特に魚が傷みやすいので、朝市とは別に昼間や夕方にも新鮮な魚を持ち込んで売っているのである。

 やや離れた岸で九郎とマサは降りて魚河岸へ向かう。

 魚だけではなく、貝類や蟹なども売られていて中には勿論海藻もあった。

 

「あるではないか、わかめ」

「そだな」


 ほんの数分探し歩いて売っている店を見つけた。 

 普通に店頭に並んでいるわかめを指さして確認すると、店の大柄な青い半纏を着た仲買の男が話しかけてくる。

 

「あいよ、わかめかい? 何杯買う?」

「ああ、いやな。己れの知り合いである女が、売り切れて買えなかったというので──」


 九郎がそう告げると。

 男はとたんに顔を顰めて、そっぽを向いた。


「あのでかい姉ちゃんの知り合いか。なら売れねえな」

「なんでだ? 今売ろうとしただろう」

「とにかく駄目だ。帰ってくれ。どこも売りゃあしねえよ」

「いやだから」


 声を低くして九郎は仲買に聞く。


「何故売らんのかと聞いているのだ。夕鶴がここで問題でも起こしたか? 魚を踏んづけたとか盥を川に蹴飛ばしたとか。それなら謝りに来させるのだが」

「理由を云う必要もねえよ。とにかく売らねえことになってんだ。失せろ坊主」

「それは理不尽というものだろう」

「だからどうした。しつけえぞ! 商売の邪魔──」


 無言で放った九郎の張り手が仲買の頬を叩いた。 

 手首の捻りを効かせている快音が魚河岸に響き渡り、周囲の者が視線を集める。

 

「て、てめ──」


 睨み返そうとした仲買の頬をもう一度九郎は張った。

 今度は足も踏ん張れずに地面に転がる。

 それを九郎は見下ろしている。


「おい。客相手に理不尽な対応しておいて、自分がどうもされないとでも思ったのか」

「なんだこのがき──」


 仲買が伸ばしたごつい手を払ってもう一度九郎は仲買の頬を平手で叩く。

 その度に大きな音が鳴るのだから、どんどん周囲の注目を浴びていく。


「ふざけっ」


 起き上がって掴みかかろうとした男の腕をするりと抜けて、更にもう一発。

 何度も倒される仲買の滑稽な姿に、失笑さえ回りから聞こえた。

 九郎は冷たい目で男を見下ろしながら云う。


「これから、お前を散々叩き回す。安心しろ、大怪我はさせない程度にだ。ただ己れのような小僧から手加減されて虐められる情けない姿を魚河岸で晒し者にする。二度とここに顔が出せないぐらいにな」

「なんだってんだ──」


 やはり。

 喋りかけた男の顔を掌で殴ると、無様に鼻血を吹き出した。だが軽いものだ。

 胸ぐらを掴んで往復で顔を叩きまくる。男はもう完全に腰が抜けていた。

 番の役人などは駆けつけてこない。ただでさえ魚河岸では喧嘩が日常茶飯事で取り締まっていては回らないからだ。仲買は再び地面に投げ捨てられた。

 そして、腫らした顔で九郎を見上げながら思う。

 彼としては別にどうという目的があったわけではないのだ。ただ、ここらで幅を利かせているやくざ者の親分が、あの女に物を売るなと命令しただけなのである。

 下手に断ったり関わってはいけないと、適当に従っていたのだが。


(まさか、その女にもやくざが付いているなんて思っても居なかったんだ……)


 涙で滲む視界に映る、躊躇いの無い暴力を振るってくる九郎は──仲買の目には、やくざに見えた。

 

「なんで……こんな理不尽な……」


 呻いた仲買に、しゃがんで九郎は男の髷を掴んで顔を上げさせて云う。


「先に理不尽をしたのはお主だろう。何か目的があってやったのならば、まあ良いとは云わぬが早く云え。だが」


 九郎は顔を寄せて睨みつけ、周りに聞こえないよう静かに、だがそれ故に本気を思わせて云う。

 もともと居た日本でも似た仕事を経験し、傭兵やら騎士やら指名手配犯やらを経由している九郎のガンつけは──そこらのやくざなどより、余程心胆を冷やす恐ろしさがあった。


「特に意味もない嫌がらせであったならば──江戸湾に沈めるぞ、おい」


 仲買はしめやかに小便を漏らした。





 ******





「かなり昔に見た芝居でのう、[俺が浜だ!]ってやつがあったのを思い出した。『大丈夫、理屈じゃないんです』が決め台詞でな。うむ、時には理屈じゃない方法が解決を早める」

「浜釣りかー、この季節なら鱚も浜釣りでいけるよ」

「そうだのう」


 再びのんびりと喋りながら九郎とマサは魚河岸から離れて橘町へと向かっていた。

 理屈で説得するのを諦めて行った真に迫った脅しで、やくざがどうやら夕鶴に因縁をつけて魚河岸へ圧力を掛けて売らせないように仕向けたことが判明したからである。

 そのままやくざの屋敷へ向かっている二人であるが、


「お主も待っていても良いのだが」

「まあ暇だけん。こう長年暇だと珍しい出来事に首を突っ込みたくなんだ」

「わからんではないのう」


 老人達はとてもやくざの元へ向かうとは見えないのんびりした様子で話していた。 

 江戸のやくざで、親分などと呼ばれる組織を持つ者は何人かいる。賭場や香具師などを纏めているのだが、このやくざは魚河岸界隈に強い影響を持っていた。

 見世物小屋などを他に出していて、その中でも魚を使った闘技見物は今密かな流行を見せている。

 ともあれ、表の顔なり裏の顔なりを持っているにしてもやくざの本拠は商屋のような姿をしている事が多い。単に江戸で入りやすく広い家屋がその形態ということもある。

 何の看板も出していないし暖簾も掛けていない二階建ての表店。やくざの場所を聞いてやってきたが、隣り合う店舗に比べて明らかに異質であり、それを気にしないように近所がしている雰囲気が見えた。


「御免、邪魔するぞ」


 躊躇いなく九郎は入る。すぐに店らしい作りの奥から、女がやってきた。女中かやくざの情婦だろう。


「あの、どちらさまで?」

「御用聞きだ。いや、ちょっと親分に聞きたいことがあるだけで事を荒立てるつもりはない。なあ」


 胸元から十手を取り出して見せると、女は僅かに息を呑んだ。九郎は後ろのマサに目配せをして、その仕草は武士髷で一応刀も帯びているマサがいかにも同心与力の類に思わせた。まあ、腰のそれは刀ではなく仕込み竿なのだが。

 マサも察して、頷く。

 続けてずかずかと上がり込んで奥の座敷へ向かう。


「親分は奥か? ああ本当にすぐ終わるから気にするな」

「ええとあのその、旦那さまー!」


 とりあえず行うのは相手に時間を与えず混乱させる為に止められても中に入ることである。

 通りがかりに廊下に面した障子をすぱすぱと開けつつ進む。無頼やゴロツキの姿が見えて、口々にどういうことかと九郎へ怒鳴ってきたが、無視。

 ようやく如何にも偉そうな、恰幅の良い髭の生えた中年男が豪華な煙管を加えているのを見つけた。

 

「お主が親分の藤十郎か」

「随分と乱暴な客のようだ」


 どかりと九郎は男の正面に座り込む。

 すると部屋に、藤十郎と云うやくざの手下共が次々に入ってきて九郎とマサを囲むようにし、ドスなどをちらつかせて睨んだ。

 だが九郎は勿論、マサもけろりとして顔色一つ変えない。


「率直に聞こう。身の丈六尺ある大女で、名を夕鶴と云うのだがな。魚河岸でわかめが買えなくなったというので己れが調べたところ、お主が売らせぬように指示を出したようだ。本当か?」

「おいガキ、いきなりやってきて親分になんて口の利き方──」


 掴んで来た男の腕を九郎は握り、捻った。

 

(折れ──!?)  

 

 回転するようにしてチンピラは畳に倒れて他の者達も警戒と同時に殺気立つ。


「嘘を吐いたらこやつの腕をへし折る」

「……本気か?」

「どうせ碌でもない理由だと思っているからのう。もし真っ当な理由であったら相応に謝罪しよう」


 眉毛まで白髪が混じっているいかつい顔をした藤十郎は、煙管を置いて顎に手を当て、九郎の顔をじっと見ながらゆっくりと告げた。


「実は天からのお告げで」


 骨が折れる音がした。

 

「ぎゃあああっぁぁ!!」

「ああっ与七の腕が曲がっちゃいけない方向に!」

「なんで嘘云ってるんですか親分!!」


 舌打ちをして藤十郎は九郎に睨んだ。


「ちっ……まさかな……」

「下らぬことを云うからだ」

「まさか天のお告げに逆らうとは……」

「そっちかよ」

「冗談だ」


 そして改めて、云う。


「あの娘にな、頼み事があったのだ」

「頼み事?」


 問い返すと、藤十郎は両手を広げて大きさを測るような仕草を見せた。


「あの目を引く背丈だろう? うちの見世物小屋で一回出てみないか、と声を掛けたわけだ」

「ほう?」

「うちの者も誠意を込めて何度も頼んだんだが、頷かない。それじゃあこちらとしても困るし面子ってもんがある。次の公演では[巨女対死体鮫]で広告も打ってるんだ」

「勝手に宣伝するなよ馬鹿か」

「というわけで少しばかり困らせてやろうと知り合いに協力を頼んだって話だ。しかしこんな怖いお兄さんがいるとはな」

「ふむ。事情はわかったからすぐに嫌がらせを止めるのだな」


 その言葉に、藤十郎はにやついた笑みを返した。


「素人に怒鳴り込まれてすぐにごめんなさいしたんじゃ、やくざとしてやっていけねえだろうよ。けじめってもんがある」

「……こう、説得してみるとか、金で解決してみるとか、奉行所に垂れ込むとか色々考えたのだが、面倒になってきた」


 九郎は立ち上がって、周囲を睥睨して目的を告げる。


「そのクソくだらねえ嫌がらせでうちの大事な娘が溺れ死にかけたわけだ。じゃあ己れも貴様らが死にかけるぐらい嫌がらせしてやろう」


 そう云うと同時に。


「なんだてめぇっ!」


 ドスで突きかかってきた男の腕をまた当然のように掴み上げ。

 足を踏ん張り、チンピラが集まる方向へぶん投げた。

 技とも云えぬ、剛力だけで小石のように人間を投擲したのだ。その瞬間に男の肩は砕けて腕の骨はへし折れ、また飛んできた、どころではなく叩きつけられる勢いでぶつけられた他の者三名も背後の麩ごと隣の部屋へ吹っ飛んだ。

 人間サイズの砲弾が当たったようなものである。投げられた方も、当たった方もただでは済まない。

 唖然とする周囲を無視して、足元の畳を九郎は剥ぎ取り水平に回転させて放り投げる。これも男数名を巻き込んで受けた手や肋骨をへし折りながら沈黙させる。

 残ったものもあっと云う間に九郎が胸ぐらを掴んで床に頭から叩きつけて動かなくなった。

 これが、ほんの数秒で行われたので、余裕を持って仲間のチンピラが取り囲んで痛めつけるところを見ようとしていた藤十郎は、煙管を落として口を半開きにするばかりである。

 普段は事件に巻き込まれたりして受け身で解決をすることが多い九郎だが──。

 元より、身内に手を出されたら容赦はしない男なのである。


「なんだなんだ? 上でメシ食ってたら随分騒がしいじゃねえか」

「せっ先生!」


 藤十郎が手を伸ばして叫んだ。そう、用心棒の先生を偶然この日は招いていたのであった。

 希望の光が浮かぶ。この恐ろしい怪力の小僧であるが、魚河岸界隈で最強と評判の浪人には勝てまい。

 [鮪裂き]の三郎と呼ばれる如何にも凶悪な人相をした、殺人鬼めいた風貌の男がぬらりと廊下から現れた──。

 

「おい」


 どう見ても[切り裂き]中山影兵衛であった。

 彼は世を忍ぶ姿として偽名を使い、自慢の刃物捌きを活かして鮪の解体なども行っているのだ。

 しかし影兵衛は悪党側として九郎と鉢合わせたのに焦るどころか嬉しそうに刀に手を掛けた。


「ん? おっしゃっ! 九郎じゃーん! いやー不幸な対立でちょっと殺し合──」


 喋っている途中で。

 九郎の後ろに地味に佇んでいる初老の男を見て。

 影兵衛はしばし動きを止めて、体の向きを藤十郎に変えた。


「……三郎は仮の姿。拙者の正体は火付盗賊改方同心の中山影兵衛様よ! 神妙にしろ悪党の親玉め!」

「即寝返ったー!?」

 

 何故か同心の立場に戻った影兵衛を見て、藤十郎は慌てて窓から逃げようとするが──。


「よっこら」


 マサが刀型釣り竿を抜くと、先端に括りつけたテグスを鞭のように操って藤十郎の着物に針を引っ掛けた。


「釣れたけろ」


 そのテグスで大の男を如何にすれば引き寄せられるのか──彼の常軌を逸した腕前で、藤十郎は逃げることも出来ずにあえなくお縄になった。

 影兵衛が自分の十手についてる捕縄で藤十郎を縛り付けて云う。


「覚悟しろい! どうせ余罪があんだろ!」

「へ、へへへ、そんな大層なものは御座いませんよ!」

「叩いても埃が立たねえってか? おい勘違いすんなよ──叩いて飛び出た血や肉片を埃と言い張るのが火盗改のやり方よ! 観念するんだな!」

「えげつねえ!?」


 周囲で倒れていたごろつき達も一斉に影兵衛の物騒な言葉に悲嘆の声を叫ぶのであった……。




 ******



 

 そうしてひとまず、影兵衛の手管でやくざに罪を全被せして上手く収めることとなった。

 中途半端にやっても恨みを買うので、余罪を自白させてかなり厳しい判決が下るだろう。

 逮捕まで終えたところでマサは手を振って、


「じゃあ面白かったけんど、事後処理は面倒なことになるから私は釣りに戻るわ」

「おう。世話になったのう」

「また今度釣りに行くっぺ」


 そう告げて別れていった。仕事をサボって釣りをしている合間に事件などは、体裁が悪いのだろう。

 番所の棒振りを呼んできて連行させる影兵衛と並んで歩きながら、九郎はふと尋ねた。


「そういえば影兵衛、お主あのマサさんの顔を知っておったようだが……」

「ああ、知ってる。有名人ってわけじゃねえけどまあちょいとな」


 肩を竦めながら影兵衛は云う。


「ああ見えて四千石の大身旗本であり、陸奥国黒石藩・藩主の津軽政兕つがるまさたけ殿だからな、さすがに目の前で悪党の真似事はできねえわ」

「そうか……藩主!? いや、仕事全然無いとか云っておったぞ!?」


 まさか。

 あの釣りが人生のような雰囲気の、定年退職後に釣り堀に通っているおじさんめいた雰囲気をした男が四千石で藩主とは想像もしなかった九郎である。

 影兵衛の実家より石高が上であり、町奉行に匹敵する高禄なのだ。


「実際仕事が全然無いのよ、あの人。確か拙者の爺さんに聞いた話だと、小姓役だった時に綱吉公の目の前で釣りについて熱く語ったらほら、生類憐れみってた時だったから閑職に飛ばされて」

「なんでそんなピンポイントで駄目な事をするのか」

「おまけに赤穂浪士事件になると、あのおっさんの嫁の親父がよりにもよって吉良義央だったもんでとばっちりで針のむしろ」

「這い上がるチャンスがゼロだのう……」


 なお、その討ち入り時に周辺で火の手が上がらぬように見張っていたのが影兵衛の祖父・中山勘解由であり、襲撃後真っ先に駆けつけて来たのが吉良義央の義理の息子である津軽政兕だと云われている。


「黒石藩は安定してるから津軽に行く必要も無いもんで、江戸でのんびり釣り三昧ってわけだ。ほら最近釣りの本が刊行されただろ? あれの作者だよ」

「ううむ、思っておったより釣りしかすることが無いようだのう」


 ──日本で最初に出された釣りの専門書が、津軽政兕の出した[何羨録かせんろく]であると云われている。

 釣りが趣味とは云え、仕事も与えられずに長年暮らす生活に思うところはあったのだろう。

 その本にはこう云う記述もあった事を九郎は思い出した。


『利名は軽く一に釣艇の内なり。生涯淡括、しずかに無心、しばしば塵世を避くる』


 そんな彼が──時にはこうして騒動に巻き込まれて、どう思っただろうか。

 その気持ちがわかるような、自分とは違うような──確認するのも無粋かと、九郎は考えた。


「しかし、世の中にはいるものだのう……身分を隠して遊び歩いているお偉いさん」

「面ぁ知ってる身からしてみれば、ぎょっとするから止めて欲しいんだけどな」


 などと話し合うのであった。

 彼の本にも書いてある通り、舟の上で釣りをするならば社会的身分は関係無い。

 だからこれからも、釣り仲間として付き合っていくか、と決めるのであった。

 どこか自分と似ている彼と。



 ──余談だが津軽政兕は長生きをして、黒石藩の藩主であること六十年も務めていた。

 その晩年は娘どころか、孫さえ彼より先に逝ったという。





 ******





 子供染みた嫌がらせをするやくざは解体され、死んだ魚と決闘をする見世物の企画も立ち消えた。

 なお後を継いだ他の業者が今度は死んだ魚で決闘をする見世物を考案するのだが、それはまだ先の話である。

 ともあれ、あまり女子供に見せられない暴力的なやくざ解決をした九郎は、それをおくびにも出さずに夕鶴へ報告した。

 

「やったであります!! これでわかめしそがまた作れるであります!」

「はっはっは。良かったのう」


 喜んではしゃぐ夕鶴を見て、大型犬のようだと思いながら九郎は笑った。

 出会ってまだ半年と経たない居候なのだが。

 やはり身内なのだなあと九郎は親しい気分で居た。

 彼女は九郎の手を取って、涙ぐんだ顔を見せながら礼を告げる。


「助けてくれて本当にありがとうであります! 」

「……いや、うむ。いいのだよ」


 まっすぐにそう云われて、九郎は目を細めながら云う。


「子供を助けるのは大人の役目だ……なあ、石燕」

「ふふふ、そうだね。そうありたいものだよ──ところで」


 彼女は頷きながら、


「海女が溺れないように、舟の上で海女と繋いだ細長い縛るものを使って引き上げることから、女の稼ぎでメシを食う男を[ヒモ]と云うらしいよ」

「いきなり何の話だ」

「いや、九郎くんが溺れかけた夕鶴くんにジンコー呼吸をしたと聞いて私も海女装備を用意してみたのだが。着たところ見てみるかね?」

「お主泳げぬだろう」

「うん!」

「……」


 とりあえず、石燕が溺れた時は厄介なので彼女と舟に乗る時などは気をつけようと思う九郎であった。

 水面に浮かぶ月を追いかけて溺れる誰かの姿が、ふとあたかも体感したように九郎の脳裏に浮かんだ……。



 





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