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白の英雄譚  作者: 東ノ店
第二章 vs海王: 海の独裁者リヴァイアサン 海賊編
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会議は進むが、名無しは?

 作戦会議は、勝手に進んだ。


 しばらく聞いていても、話が全然入ってこない。そもそも輪にも入っていない。


 それに、話を聞こうとしても、不意に奴との攻防が頭で繰り返される。何度も何度も。


 何が原因かは、わからない。

 ただこれじゃあ、俺に問題があるように見える。

 

 それは絶対にない。


 だから俺は、ずっとこいつらを見ていた。

 

 それで、わかった。

 やっぱり、俺が思ってた通りだ。


 こいつらを見ていたら、さっきまで見分けのつかなかった色の判断が、ようやくついた。


 こいつらは、俺を利用しようとしてる。


 いつだってこうだ。こうやって、都合よく使われるだけ。


 よく考えなくてもわかってたこと。異世界だからって、勘違いして、期待してた。


 船長を中心に、一つの輪になって作戦を一緒に考えている。


 俺が来なければ死んでいた、そんな崖っぷちの状況なのに、学園祭みたいに気楽だ。喧嘩しても、いかにも仲良しって感じだ。


 俺がいないみたいに、話が進んでいく。


 ああ、思い出した。

 こいつらが悪くて、俺は悪くない。


 それが、模範解答だ。


 さっきの、あの優しさも、中身は空っぽ。

 ただほんの少し、動揺しただけ。


 まあ、よくできた偽物だった。そこは褒めてやる。


 皆んながよく言う、優しい人、優しい人、優しい人って単語。


 これは"あなたを知りません"って、暗に言ってるみたいなもんだ。優しくしなかったら、ゴミみたいなお前らは怒る。それで、嫌いになってくる。


 だから優しくする。

 そこに本心なんてない。


 優しくしないと、こいつは最低でクズな人間なんだと、決めつけて見てくる。


 そんな世界だから皆優しくする。


 さらに質が悪いのは利用してくる奴だ。自分が利用したいとき、簡単に使えるようにするため優しくする。


 そうやって、騙してくる。

 言ったまえば、詐欺師だ。


 みんな、他人のために優しくするんじゃあない。自分のために人に優しくする。


 実際、俺はつい今し方騙されかけた。


 優しい言葉をかけられて、騙されかけた。


 ああ認めるよ。俺はこいつらが優しくて、温かいと思ってしまいそうになった。


 特に船長。見た目が可愛いのもあって、詐欺師としては上級者だ。


 過去にも同じようなことがあったのに、俺は何やってんだか。たぶん、あの変な感覚のせいだ。


 自分が自分じゃなくなる、そんな状態なら誰だって鈍る。俺がこいつらを助けたのも、たぶんこのせいだ。


 俺があいつに遅れを取ったのも、気味の悪い直感が邪魔してきたからだ。


 そうだ。俺のせいじゃない。


 それに、何の説明もなしに、いきなりあんなのと戦わされたら、誰だってこうなる。


 あの感覚だけじゃない、こいつらのせいでもある。


 俺の問題でもないし、俺のせいでもない。

 俺に問題なんてない。


 あの力だって俺のものかもしれない。

 そうだよ。結局は俺のおかげだ。


 それをもっと評価するべきなんだよ、こいつらは。 なのになんで、こうなるんだか。


 どこに行っても、世界は変わらない。誰も彼もが、俺のことを見ようとしない。


 そのくせ自分たちの要求はしてくる。

 何も変わらない。


 助けたことを、今になって後悔している。


 ただ仕方ないこと。だって、たぶん助けようとしたのは、俺の意思じゃないから。


 仕方ない。あの感覚のせいだろうし。


 さて、これからどうする?

 このまま戦って、俺に利点はあるのか?


 正直わからない。

 俺の手札には、あまりにもこの世界の情報がない。


 ここから一人で、陸に辿り着けるか?


 鳥は出せても、それ以外の魔法はまったくで、条件がよくわかってない。

 

 てか、そもそもこの世界で俺は何をしたら良いんだ?俺に、居場所はあるのか?


 今だって、隅に追いやられてる。


 もちろん俺の問題じゃない。ただ、俺が悪くなくても、世界が悪くないわけじゃあない。


 この世界もたぶん、無価値のやつばっかだ。


 ここにいる全員が死んでも、何も変わらない。


 しかもこいつらは海賊だ。


 今はそんな風には見えないけど、想像もできないくらいの悪事をしてきたはず。


 むしろ死んでくれて喜ばれるかも。


 無価値だ。馬鹿馬鹿しい。 

 身内だけで盛り上がって、傷の舐め合い。

 

 どこに行っても変わらないなら、俺はどうすれば?


 俺は悪くないさ、問題もない。


 ・・・うん。きっと、そうだ。


 何だってこう、上手くいかないんだろうな?


「名無し、できるか?」


「・・・」


 俺でさえ、もう何もわかんねぇよ。

 自分のことも、またよくわからなくなってきた。


 見分けがついたと思ったけど、まだまだ邪魔なものがいっぱいある。


 俺は、まだ一つだけしか見分けがついてなかったみたい。


「こんのっ!!話聞いてたか!?」


 ボコッと、意識外から頭に容赦なく断割をくらった。


「いっって!!」


「てかさっきから隅の方にいやがって。話聞いてるならそれで良いと許したけど、やっぱ聞いてねぇんじゃねえか!」


「え?・・・いや、聞いてた」


「だったら言ってみなさいよ。作戦内容を」


 何だって俺に話しかけてくる。また自分の都合ためか?また利用するつもりか?


 こっちから話しかけたら、めんどくさそうにするくせに?


 くだらない。馬鹿で最低な奴だ。


「黙ってんじゃねえ!!」


 ボコ!と、もう一撃くらった。痛い。


「痛いって!」


「答えないからでしょ。まったく。

・・・まあいいわ」


 ・・・そうだよ。

 いつもみたいに、早くどっか行け。


 黙ってても、どうせ進むんだろ。俺がいなくたって、いいだろ。だったら、こっち見てくんなよ。


「もう一回、ざっくりとだけ説明するわ。だから"君"ももっとこっち来なさい」


「あ、えう?」


 腕を取られ、無理やり連れられていく。

 何でだよ?また騙そうとしてくるのか?


 呼び方を変えたって、意味なっ!?


 胸!?おっぱい!?

 しかもちょっと垂れてる!?


 おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい!?


 頭がいっぱいでおっぱいだ。

 これが世に言うハーレムトラップ!?


 ん?ハーレム?それは、いっぱいのパターンだ。

 いっぱい?おっぱい?


「おい名無し!!なに船長の胸で欲情してんだ!?」


 一人の船員が、俺にあらぬ言いがかりをしてきやがった。すると、暇づるに他の船員も攻めてきた。


「ああ!?名無し何してんだ!!」


「いやしてないってッ」


「嘘つけ、こんのっぶっ殺すぞ!」

 

 もう一回頭を強く殴られて、地べたに倒れてしまった。そしたら船員が、一人、まて一人と俺の上に覆い被さってくる。


 しかも、一人一人違う恨み言をいってくる。

 共通していることは、嫉妬だ。


「俺らだって触りたい」「あのGカップをテメェ」「助けたからって調子乗んな」、などなど。


 ただわからない。わからないよ。

 おかしい。


 目が見えても、怖くない。

 これは優しさじゃない、本心だろう。


 なのに、なのになのになのになのになのになのに。

 また狂いそうになる。


 なんなんだ。お前らは悪かったはず。


 このままじゃあ、またおかしくなる。

 考えるな、考えるな、騙されるな。


「お前ら、良い加減に、重いって!」


 これは、何かの間違い。

 また勘違いしそうになる。


 同じ色を使っていたから、勘違いしそうになっだけ。


「まあまあお前らもそこまでにして。作戦会議すんぞ。名無しは・・・ドンマイだな」


 船長が、薄らとウィンクをしてくる。


「そもそも、俺は参加するとは言ってないぞ!」


 抑えられながら、声を張り上げる。


「参加しないの?」


「いや、まあ」


「お前船長の胸触っといてそれか!?」


 俺にのしかかる船員全員が、そうだそうだ!と、耳元で騒いでくる。


「うるせえ!耳元で大声出すな」


 てか、離れろよ。


「ま、拒否しても絶対参加だけどね」


「・・・わかったよ」


 これは、めんどくさくならないために、だ。

 うん。


 

 

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