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白の英雄譚  作者: 東ノ店
第一章 最低で無価値。 転生編
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俺は悪くない。

 この世界は、代わりのいる無価値な人ばかり。

 俺だけは、これを理解している。


 存在しているだけで俺をイライラさしてくる、クリスマス色に塗られた欲望の街。


 世間では、誰も何回目か知らない、クリスマスの話題で持ちきりだった。


 今も駅前を歩けば、クリスマス色の物ばかりだ。

 馬鹿馬鹿しい。


 前を向けば、ゴミ。ゴミ。ゴミ。ゴミ。ゴミ。

 右を向けば、ゴミ。ゴミ。ゴミ。ゴミ。ゴミ。

 左を向けば、ゴミ。ゴミ。ゴミ。ゴミ。ゴミ。


 ここにいる奴は、いや、ここにいなくてもあんな奴らはゴミだ。


 何が幸せだ。何が平和だ。何が愛だ。

 本当はそんなこと、一ミリも思ってないくせによ。


 俺はあんなゴミ達とは違う。


 俺は自分に対して問題があるとか、自分が凄くないなんてこと、これっぽっちも思わない。


 たとえ俺が何かでミスをしたとしても、それは俺以外の誰かが悪い。


 俺と会話している相手が、気まずそうにしてどこかに行っても、それは俺に合わせれなかった奴が悪い。


 つまり、俺は凄い。


 ゴミ程度の奴らじゃあ追いつくことができないくらいに。


 絵は天才的に上手いし、個性も豊かだ。

 普通の奴とは次元が違う。


 俺を落とした審査員達は、センスのカケラもないカスだった。


 それに、俺は1人じゃなにもできないゴミ達と違って、今まで1人で全部やってきた。


 だから、友達なんていらない。


 それに、ゴミ達がこぞって作るその友達は、ただのアクセサリーだ。


 誰かと、なんかじゃない。誰でもいいんだ。


 友達、そう、友達君を作るために容器を用意する。


 群れていないと自分の存在価値を感じられない、弱っちい無価値なエトセトラ達。可哀想すぎて笑えてくる。


 俺はそんな替えのきく普通な奴らとは違って、唯一の人間さ。


 ー 替えのきく人間なんていない ー


 こんな言葉は負け犬の遠吠えだ。


 実際どうだ?

 もしあそこにいる奴が、今急に死んだとしたら?


 そりゃあちょっとの間は悲しまれるだろうよ。

 職場でだって、急に空いた穴は埋まらないさ。


 ただ、急にってだけで、しばらく経てば埋まってる。


 もっと言えば、死んだやつより優秀なゴミが入ってくるかもしれない。


 一見、人気者な有名人達も同じだ。

 いなくなったところで、代わりが山程いる奴ばかり。


 それで、代わりに入った奴も同じだ。

 死んだとしても、すぐにその穴は埋まる。


 ほらな、無価値だ。

 代えのきく奴らばかり。


 俺はそんな意味のないゴミとは違う。


 違うのに、この世界は俺の凄さをわかってくれない。だから、俺の良さをわからない奴らは全員無価値のゴミだ。


 そんな、無価値のゴミで溢れ返った街。


 まあ、都会だ。ゴミがそこら中にあるのは普通か。


 カップルやら家族やらが一斉に騒ぎ出すこんな日は、隠れるには十分だ。


 中身はゴミでも、見た目は同じ人だからな。


 日本なのに、西洋の街の雰囲気をだそうと必死になっている駅前の通りは、そこら中がクリスマスで埋め尽くされている。


 歩けば見えてくる、クリスマス色の服を着た店のバイトが、これまたクリスマス色の看板を持って立っている。馬鹿だろあいつ。


 大量にいるゴミの声がザワザワとした雑音になって、耳の奥にまで刺さってきて鬱陶しいくなる。


 木や壁には、ギラギラとした光の粉を周りに吐き散らすイルミネーションが、ベッタリと張り付いている。


 それをを見ながら歩く前の連中は、歩くのがナメクジみたいに遅くて殺したくなる。


 ただそんな奴らでも、カップルだった場合は見ていて幸せな気分になってくる。


 今でこそ「幸せ〜」なんて馬鹿な事をほざいているが、どうせいつかは別れるんだ。


 それに、だ。


 あの幸福に満ちた顔が、その源であった相手によって絶望に変えられると思うと、幸せでしょうがないね!


「ねね、めっちゃ綺麗!!」

「君のほうが綺麗だよ」


 ふっ。今はせいぜい楽しんでおけよ。

 いつかはお前らにとって、トラウマの光になるだろう。


 それに、お前らみたいなのが見てるのは光なんかじゃない。


 お前らはクリスマスフィルターがなかったら、見向きもしない。ただ情報を見てるだけだ。


 いつだって光はあるのに、見ようともしない。


 正に無価値な奴らがしそうなことだな。


 こんな駅前の通りをを抜けて、しばらく歩けば目的地にようやく着いた。


 ウィーンと家から歩いて4時間のスーパーの自動ドアが、俺を奉りながら徐に開いていく。


 せっかくここまで来てやったんだから、これぐらい当たり前だ。


 あんなふうに情報を食ってる奴らも馬鹿だが、こんな日のこんな時間だっていうのに、スーパーにいる奴らはもっと馬鹿だ。


 当然働いている奴も。負け犬さ。


 ぶらぶらと足を動かし、商品を見ているフリをする。


 あいつらは馬鹿だ。ちょっと俺が紛れればゴミと俺の区別もできない。だから物を盗むなんて、余裕だ。


 周りに目を配れば、独身そうなサラリーマンのおっさん、子連れの無責任な母親、無駄に多く絡んでいる大学生。見ていると、ここがゴミ箱に思えてくる。


 そろそろ腹が限界だ。


 周りに視線を配り、手慣れた手つきでパンを一つ二つ、おにぎりを一つ二つと使い古したジャケットの内ポケットに入れていった。


 もう何度もしてきた。こんなのは余裕だ。

 つぐつぐ馬鹿なやつらだ。

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