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TYPE60  作者: サヨツー
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プロローグ

870年代にミズガルズの王国が行った大規模な改革。

これは魔法使い、メイジ以外の人間すなわち、ノンメイジの排斥である。

 当然、これに強く反発する人々が存在した。

その代表が、当時王国で高い地位を築いていたバートル商会会長、ミッチェル バートルだった。

彼を筆頭に立ち上げられた自由通商連盟という名の国家がミズガルズ東部で独立。

まもなく王国が同国家に対して宣戦布告をすると、連盟も負けじと徹底抗戦を宣言した。

これは約30年前の話である。

 それからの20年弱、当初王国が一週間で終わると豪語した戦いは一向に終わりが見えず。

戦いは泥沼化。

連盟の独立が王国経済に大打撃を与えた影響は凄まじく、王国経済は破綻した。

一方、自由通商を掲げる連盟は周辺国との外交により戦備を上手く調達できた。

戦争長期化は主にこの二つによるものとされる。

11年前にようやく停戦協定が結ばれ、今日に至る。


 聖暦914年

王都アブソルタムより北東、海を抜けた先に自由通商連盟の絶対防衛線、

マジノ沿岸要塞がある。

その周辺はフィヨルドになっており、沿岸要塞もそれを利用して建設されたものだ。

連盟海軍の本拠地も兼ね、高台からは多くの軍艦が並ぶ様子が一望できる。

砲台としても優秀であり、戦時は王国海軍の上陸を決して許さず、世界最強と謳われた王国飛行隊をも叩き落とした。

難攻不落の要塞として、連盟の象徴的存在となっている。

『グレートマザー』というのはこの要塞を指している。

たくさん並ぶ軍艦のうち一隻が黒煙をあげている。

ジャクソン級戦艦のネームシップ、アドミラル・ジャクソンである。

彼女は今日、王国への使節を乗せ出航を予定している。

「ずいぶん大きい船だなぁ」

クリス ジョンソンが言った。

彼は使節の一人であり、このような形で王国へ向かうのは4回目になる。

「そりゃ、そうでしょう。何せ我が国でも五本の指に入る艦級ですから、主砲に至っては最大の41センチ、二連装で地味に見えますが35センチ三装砲よりも遥かに強力です」

案内の男が興奮気味に言った。

クリスは彼の三歩後ろについて歩く。

男は彼の荷物が積まれた手押し車を押している。

二人は桟橋から船の中へ入っていく。

「ウンディーネ港まで、そして帰りの道も駆逐艦四隻が護衛しますよ、心配はしなくていいです」

「いや、彼らだって攻撃はしないさ、お互い戦争はもう懲り懲りだと思いますし」

男は何か紙のようなものを無言で差し出した。

広げてみると艦内地図のようなものが描かれている。

艦内はかなり豪勢で、至る所に装飾が施され、廊下には赤い絨毯が敷かれている。

「ここですね」

そういながら男は鍵を開けて扉を開く。

彼が時計を確認すると、クリスに荷物を手渡した。

「10分もせずに出航します、ボン・ボヤージュ」

「ありがとう」

部屋に入った、クリスは荷物を片付け始める。


 停戦から11年経った今でも、公式の文書に終戦という言葉は書かれたことはない。

戦争はおわってはいないのだ。

でもいつか…

「そのための我々使節団か」


歳のせいか腰が痛い、戦争が始まる頃、彼はまだ若者と呼ばれていたはずだった。


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