かさじぞう
ある雪の日。おじいさんが売れ残りの傘を背負って歩いていると、雪に塗れたお地蔵様が道端にポツリと立っておりました。
「おぉ、お可愛そうに」
おじいさんはそうつぶやくとお地蔵様の雪を払ってやりました。そして、持っていた傘で雪が掛からないようにすると、満足気な顔で家路を急いだのでした。その後ろでは、傘を差したお地蔵様の目じりの辺りで溶けた雪がキラリと月の光を反射していました。
おじいさんが家に帰ると孫の由希子が遊びに来ていました。おじいさんは、由希子にいつものように色んな話をしてやるのでした。
「由希子、町じゃ派手な傘が流行っておるようじゃ。わしの傘にも絵入れをした方がいいかも知れんの」
「今日はな、帰りにお地蔵さんが雪をしのげるように傘を貸してやったんじゃよ」
「そういえば、中々おもしろい大道芸人がおったぞ」
そんな話をしていると、いつの間にやら由希子の帰る時間がやってきました。おじいさんは、由希子が楽しそうに話を聞いてくれたのがうれしかったので、由希子にたくさんのお土産を持たせました。
「由希子や、両手に荷物を抱えて傘は差せるかい?」
「うん、大丈夫。私のかさ自動」