別れ、新たな仲間
ブルゼの巨体がマグマの躍動的な炎に包まれ__
「……」
静寂の中、ゆっくりとマグマの中へと没していく様子が見える。
「終わったね……」
「帰るぞ」
アオイが呟いたが黒騎士の返答は素っ気ない。
「帰る?僕ってまだレンタル期間中じゃ__」
「お前のマスターはもうこの世には居ない」
「そ、そっか……町長」
少し俯く。
その顔は全てを魅了するほど可愛い。
「最後みんなに挨さ__」
「ダメだ」
アオイの要望は却下され、黒騎士は転移魔法を発動させ共に消えていった……
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____え?
「まてえええええええええええええ!」
叫び虚しく消えて行く2人。
「……騒がしい奴だ」
「オウウウウウウウマイゴオオオオオオオオオオッドオオオオオ!」
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《3日後》
「まさか……あのまま山頂に置いていったままにされるなんて……」
ブルゼを討伐した後、あの黒騎士の野郎は俺たちを置いてアオイさんと一緒に消えていった……
そう言う事なので3日もかけて2人でボロボロの身体に鞭を打ちながら下山して来たのだ。
「リュウトっ!」
町のあちこちはまだ崩壊していて人々が騒がしく復旧している中、みやが俺のことに気付いて近づいてくる。
「みや、元気にしてたか?」
「ぅんっ、リュウトこそあれから三日連絡ないんだもん心配したよっ」
そりゃそうだ……魔皮紙なんてほとんど使い果たした状態で放置されてたんだから……
「すまないな……そう言えばアカネ達は?」
「アカネ達は町の復旧作業を手伝ってるよっ」
まぁ、ここら周辺の魔物は俺たちに取って脅威じゃない。
確かに、俺を探すより復旧作業をしていた方が効率がいいな……よく分かってる、いいパーティーだ。
「あれっ?もう一人の勇者は?っ」
「あぁ、アイツはパーティーの所に行ったよ」
「ふーん?っ」
「それより!見たか!あのアオイさんの姿を!素晴らしかっただろ!かわいかっただろ!」
「ぅ、ぅん……」
「だろー!ははは」
「…………」
「どうした?」
「なんでもなぃっ」
そこまで言うと俺の匂いか感なのか分からないがあーたんが抱きついてきた。
「ご主人様〜!」
「うおっと」
「ご主人様ご主人様ご主人様!」
「おー、どうどうどう」
大きな胸を押しつけられながら人間モードで頬をすりすりしてくるのは色々と周りの目が気になるな。
「あのね!あーたんね!がんばったの!」
「そうかそうか、偉いぞ」
「えへへ」
頭を撫でるとフニャッとなり落ち着く。
ここら辺は動物だな__と思ってたら……
「リュウトさーーーーん!」
「うお!」
次に来たのはアカネ。
「リュウトさんリュウトさん無事でよかった!」
「まぁな」
「ふへへ」
頭を撫でるとフニャッとした表情になるアカネ。
……なるほど、獣人も動物みたいなもんだから同じ反応になるのか。
「……」
「みや?」
「ちょっとぉ手伝ぃしてくるねっ」
「了解した」
「ぅん……」
ま、みやのことは後だな。
それより__
「アカネ」
「はい、何でしょう?」
「アンナさんは?」
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「……」
少し離れた瓦礫の場所にアンナさんは居た。
ここは、アンナさんが記憶を失った場所でもある。
「何か思い出せましたか?」
俺の事に気づいていたのだろう、そのまま話を続ける。
「いえ、何も思い出せないわね」
「最後の記憶は?」
「最後の記憶は調査していた所ね」
「調査?」
「えぇ、私のマスターであるブールダ町長は表では普通の人だけど裏では何かしてる感じだったの」
奴隷を買うことは普通なのか……異世界常識だな。
「それを調べていたと?」
「えぇ……ただ、その途中で仲間と思ってたメイドに裏切られて、そこから記憶がないのよ」
「記憶喪失というより気絶なのでは?」
「いや、“目が覚めて何かを見ていた”って言うのは覚えてるのよ」
「なるほど、そこを思い出そうとすると変になると?」
「そうよ、つまり__」
「「記憶操作魔法」」
「しかし、その魔法は超級魔法レベル……ブールダ町長はそのクラスの魔法使いだったんですか?」
「いえ、絶対にそれはないわね、昔はモテていてそれで困ることなく町長まで上り詰めたって言ってたわ、嘘ではないんでしょうね、そういう頭の回転は確かに早かったわ……それにマジックシーリングで見たことあるけど、魔力は普通の人レベルよ、あなた達勇者みたいな特異体質なら別だけど」
「特異体質?」
「あら?知らなかったみたいな反応するじゃない?」
「色々と複雑な事情でして……」
「まぁ、無理もないわね、違う世界から来たって言うのはアオイから聞いてたから……察するに魔法や魔力がない世界かしら?」
この人の勘の良さはすごいな本当に
「合ってます」
「あなた達勇者の魔力は一般人以下よ、ただ、体にある魔力が外に出る瞬間に何倍にもなって出て来てるの」
「なるほど」
魔力が見えるアンナさんだからこその解答だな、興味深い。
みやには見えてなかったのだろうか?
「話が脱線したわね……とりあえず、私のマスターだったブールダ町長はその類ではない……まだ分からないけど無事に逃げれたのか、それとも死んだのか……どちらにしろ本人を探さないと私の『呪い』が解けないわ」
「奴隷の呪い、ですかね?」
「えぇ、契約を解除するにはこの瓦礫の山から契約に使った魔皮紙と本人の承諾が必要。それをしなければ私は一生マスターを探し続ける事になるわ」
自分で分かっていても無意識に行動してしまう『呪い』
厄介だよな……
「てことで残念だけどアンタの思い通りにはならないわよ、この服も後で返すから後でも良いから住所を教えなさいね」
そう言って立ち去ろうとするが。
「待ってください」
「何よ?まだ何か聞きたいことがあるの?」
「えぇ、もちろん、聞きたいことは山ほどありますよ、これまでも__これからも」
「聞いてなかったの?私は__」
「『呪い』なら解ける」
「………え」
「俺達のパーティーに解けるやつが居る」
「何言ってるの、呪いは魔法と違うのよ?そんなの……出来るの?」
やはり、食い付いた。
これだけ話せばこの人がどんな人か手に取るようにわかる。
後は乗せるだけだ。
「えぇ、出来ますよ、だから言いたい事は分かりますよね?」
「…………」
アンナさんは少し考えたが、結果は見えていた。
「いいわ、柄じゃないけど勇者のパーティーに入ってあげる、その代わり……本当に出来るんでしょうね?」
俺は自信満々に応えた。
「任せてください」




