リュウトさんが居ない冒険
《アルフェリア島》
ミクラルギルドが保有する無人島。
青く広がる海。
潮風に揺れる木々。
そして、遠くには巨大火山地帯が見えている。
夜になれば火山の赤い光が空を染めることもあるらしい。
ランクの低い冒険者の訓練や素材採集に使われることもある島。
そんな島の砂浜に、一つのテントが建てられていた。
「……よし」
テントを見上げ、小さく息を吐く。
設営自体は問題ない。
寝床の確保。
火を起こすための薪集め。
飲み水の確保。
そこまでは出来る。
「問題はここから、ですね……」
アカネは依頼書を取り出した。
依頼内容はシンプル。
《アルフェリア島に生息する魔物素材の採集》
ただし――
どこに魔物がいるのか。
どう誘導するのか。
どう戦えば効率がいいのか。
そこが分からない。
「……」
少し考える。
だが、頭の中に浮かぶのは答えじゃない。
いつもの光景だった。
リュウトが少し歩いて地形を確認して。
周囲を見て。
何気ない顔で罠を張って。
全部、“最初から分かっていた”みたいに準備を終わらせる姿。
「……リュウトさんなら」
ぽつりと零れる。
どこに魔物がいるか。
どう動けばいいか。
どうすれば効率よく素材を回収できるか。
きっと、もう考え終わってる。
「……ダメですね」
アカネは自分の頬を軽く叩いた。
今回は“一人”だ。
リュウトに頼らず、自分で考えて、自分で動く。
そう決めて来た。
「私、強くなるって決めたんですから」
そう呟きながら、アカネはもう一度依頼書を見る。
必要素材は三種類。
問題は――
「まず、どこから探せばいいんでしょう……?」
無人島の風が、静かに吹き抜けた。




