深夜の奴隷商
__深夜。
深夜だというのに、ニューイヤーフェスティバルの影響で街はまだ起きている。
昼ほどではない。
だが、この時間にしては人が多い。
「さて、と」
あーたんは城の部屋でアカネと寝ている。
俺は一人で城を出て、街に来ていた。
理由は一つ。
「人をさらうには、うってつけだな」
奴隷商――女神の翼。
アオイさんをさらった連中が、ミクラルにも来ているのか。
それを探るためだ。
だが――
「見て! あれ! リュウトよ!」
「あのアールラビッツの!?」
……ちょっと有名になりすぎたな。
「うぇ〜い兄ちゃん」
酔っ払い親父まで絡んでくる始末。
はぁ、めんどく――
「奴隷に興味ないか?」
!?
酔った親父が、耳元で囁いた。
こんなタイミングで。
こんな場所で。
「……」
俺は無言で頷く。
「兄ちゃん、ちょい飲もうや。俺達と」
なるほど。
酒の席に誘いながら、ってやつか。
「そうですね。お願いします」
ついていった。
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《酒場》
この時間。
いや、酒場だからこそか。
暗い内装。
ざわついた空気。
よく見ると、ガラの悪い連中も多い。
「んで兄ちゃん。いや、有名人リュウトか……裏奴隷のことは知っているか?」
「あぁ。一応、俺は一人女の裏奴隷を雇ってる」
「へへ、なら話は早いな。だがグリードとうちじゃ一つ違うやり方がある」
「なんだ?」
「指定した女をさらえるのさ」
「ほぅ。誰でも?」
「そうさ。ミクラルにいる奴なら誰でも」
なるほど。
詳しくは聞かないが、指定した人物をさらう。
当然、家族や関係者の問題も出る。
そこを全部処理してるんだろう。
前にアカネに聞いたがグリードの奴隷の多くは身寄りのない人間、俺みたいに親が死んでる奴とかな。
「ミクラルの奴は顔がいい奴が多い。兄ちゃんも欲情した奴がいるだろ? そいつを思い通りに出来るぜ?」
「あぁ、楽しみだ」
欲情、ね。
ぶっちゃけ気持ちは分かる。
正確には最近“理解した”。
俺がアオイさんに感じているもの。
あれを、他の人間はそこらの女性にも抱くってことだ。
まぁ俺は――
アオイさんでしか欲情しないが。
ここは誘いに乗ったふりをしておこう。
「それで、居たかい? ターゲットは」
「まだその手法を今知ったからな。これから吟味してみるよ」
「それもそうだな。なんかあったらここに来て【毒撃の髑髏】ってカウンターに言ってくれればいい」
毒撃の髑髏。
女神の翼とは別の組織か。
「ちなみに前の奴隷は女神の翼から買ったんだが、ミクラルにはいないのか?」
「悪いが、あいつらはグリードで稼いでる奴らだ。こっちに来て稼いでるようなら俺たちが黙ってない」
まぁ、そりゃそうか。
仕事柄――同業者ほど邪魔な存在はない。
「あぁ、悪かった」
そう言って酒場を後にした。
指定する女、か__




