走り出せ!
「一応言っときますが、ここはそんな頻繁に来れる場所では無いんですよ?」
「申し訳ありません」
緊急事態という事でまた馬車を呼び出しグリード城へ戻って来た。
まぁ今回は仲間も一緒だ。
「本当に申し訳ありません!」
「……」
深々と頭を下げるアンナさんと紙袋を被って顔を隠してるみや。
一応声も発さないように注意している……何せ、魔王だからな。
ちなみに、あーたんは門の外で待機。魔物だから。
「それで、緊急の要件とは?」
「アバレー王国の入国審査が通らなかったので入国を許可してほしい、のと、アカネがギルドカードから表記が消えたのですぐに安否確認をしたい」
簡潔に伝える。
すぐにでも動かないとどうなるか分からないからな。
「なるほど……まず、入国審査ですが、これは私達グリード王国でどうにか出来る問題ではございません、それこそ、我々が公に動けば壁は高くなるばかりでしょう」
「この間のようにミクラルのギルドに直接つながるポータルは?」
「アバレー王国は少し勝手が違いましてね、いや、ミクラルが特殊と言った方がいいでしょう、あの様にウェルカムな国はあそこだけです」
「そうですか……」
「そして、アカネさんの事ですが、ギルドカード表記が無くなる理由を問い合わせることは出来ます」
「本当ですか!」
「えぇ、そして今結果が届きました」
流石グリード城と言うところだな、たぶん俺たちの話を聞いていて誰かがすでに調べ始めて居たのだろう。
「結果は?」
「…………簡潔に言うと、罪人になり、ギルドカードから除名されたみたいですね」
「犯罪者……か」
奴隷が犯罪者になれば所持者はトカゲの尻尾切りとしてギルドカードから表示が無くなる、とは聞いたことはあったが……なるほど、少し読めて来た。
「あまりショックを受けないんですね?アナタとアカネさんは奴隷と主君の仲と言うよりは仲間の様な感じでしたが」
「そうですね、まずは死んでいなかったことにホッとしてるのが大きいです、ギルドカード表記が無くなる理由として1番最悪な想定をしていましたから」
「なるほど」
「そして、もう一つの理由としては“犯罪者”と言ってもアカネの場合、何か理由があっての行動だと思います……例えば__」
「アオイさん、ですね」
「はい、おそらくその関係かと」
俺が言えないが、アカネもアオイさんの事になると視野が狭くなる傾向にある。
十中八九、それが理由だろう。
「なので、我々グリード城としてのサポートはこれだけです」
「……ありがとうございます、もう1つだけお願いをしてもいいですか?」
「なんでしょうか?」
「ルビー冒険者として、今すぐに“新天地調査”を受理してほしいです」
「!?、もしかしてですが……その足でアバレー王国を探すつもりですか?」
「はい」
この世界に地図は無い。
国外に行く手段はギルドのポータルだけ。
アバレー王国は何かの理由があって俺たちを拒否した、
ならば、この足で探しアバレー王国を見つけるしか方法は無いのだ、何もまだ考えてないが、やり方はいくらでもあるし__
__何より、ここ最近パーティー全員がルビー冒険者になったのは、この為なのだと予想する。
「……解りました、女王権限として受理します」
「ありがとうございます」
「馬車をお貸ししましょうか?」
「いえ、このまま俺たちは“調査”へ向かいます」
そう言って、俺達はグリード城を後に走り始めた。




