#98 証拠隠滅
そういえば、エリックもパーフェクトボーイだった。
たまにはね格好つけたいのですよ。
「とりあえず無事に済んだな」
「ああ」「うん」
第一関門を突破し、ひとまずホッとした。
「後は戻るだけだが……ユリアたちは上手くやってるだろうか……?」
ライオネルが少し不安そうに顎に手を当て呟いた。
「セリウスは妙に勘が良い時があるからな……。なるべく早く戻ろう。その箱はどうする?」
そうだった。カゴは元々あったやつだが、箱はライオネルが創造したものだ。
目敏いセリウスは違和感に気づくかもしれない。
「ああ、処分していこう。エリック、燃やせるか?」
「え!?」
うわ、急に難題きた!
でも……そうか……エリックは火魔法が得意なんだよな。……やってみるか?
何故か、今なら上手く出来そうな気がする。
「……出来るか分からないけど……」
……エリック……ミッション達成の為、力を貸してくれ──!
息を吸い、すっと右手を箱に向けた。
気持ちを集中させる。
と、突然フワッと何かの力が右の掌に集まってきた!
「燃え盛る熱き炎の精霊よ、我に力を貸したまえ“バーニング”」
スルッと詠唱が口からこぼれ、右手から箱に向かって炎が走った!
次の瞬間、箱はメラメラと燃え上がったのだった!
うぉーーー俺すげぇーーー!!マジで魔法使えたぁーーー!!うひょおーーーサンキューエリック!!
「さすがだな」
「上手いもんだ」
「……どうも……」
内心、走り回りたいくらいウキウキしながら、クールなふりで燃えて形をなくしていく箱を見つめた。
──凄いぞエリック!今のどうやったんだ?なんかオートマチックに口から出たけど……。もう一回やれって言われても、出来る気しないぜ!
「よし、これで証拠はなくなった。だが、念のため、帰りは違う道がいいだろう。ゲイル、頼めるか?」
「ああ、少し遠回りだが反対側に出る道がある。こっちだ」
ゲイルがランタンを持ち上げ、先頭にたち歩きだした。
「エリック」
ゲイルについて行こうとすると、ライオネルに呼び止められた。
「何?」
振り向くと、ライオネルが側に来た。
すいっと右手をとられたと思ったら、指を絡めぎゅっと握ってきた。
「一緒に行こう」
そう言ってエリックを引き、スタスタと歩きだした。
「──ライオネル……?」
こ、これは……いわゆる恋人繋ぎでは……?
「……帰りはもっと暗い。はぐれたら戻れなくなる」
歩きながらそう言った。
──あぁなるほど、迷子防止か。確かにさっき一瞬ゲイルを見失ったもんな。危機回避って訳ね
……にしても……普通に手を繋ぐだけでいいんじゃないか?何もこんな風に繋がなくても……なんかこれ、ドキドキスルノデスガ……
ライオネルは前を見たまま無言で手を引いている。
……意識するな、俺!これはただの誘導だ。別に他意があるわけ……ない、と思うけど……。
ガサッ!
と、突然すぐ近くの草むらから、結構大きな音がした。
「!?」
ビクッとして、思わずぎゅうっとライオネルの手を握りしめた。
「ゲイル!」
ぐいっとライオネルが自分の方へエリックを引き寄せ、右手で覆うようにその肩を抱きしめた。
「ああ、何か居るな」
ゲイルも立ち止まり、音のした方とエリックの間に立ち、そちらにランタンを向けた。
「──!?」
いや、だから何故庇う?俺は姫か!
ガサガサ
……さっきよりも音が近くなった。
3人の視線が音の方に集中する。
ガサリッ!
と、出てきたのは……
「…………モッ……」
「「「亀!!」」 」
なんと、あのスイカガメが現れた!そして、
「モッモッモッ」
挨拶するみたいにこちらに向かって鳴いたのだった。
「…………今晩は。また会ったね」
スイカガメに挨拶し返した。
どうして君がそこにいるの?
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