#83 ログハウスは
変に意識し過ぎだよエリッキュン……。
その頃浜辺では──
「では明後日の正午にお迎えに上がります」
従者の一人がゲイルにそう告げて船に乗り込んでいった。
4人で去り行くクルーザーを見送った。
「さて、本当に俺たちだけになったな」
従者が一人もいない。
これは高位貴族にとって滅多にない経験だった。
「うん。いや~まさか、本当に無人島に泊まる事になるとは」
セリウスが笑いながら言った。二泊三日のお泊まりだった。
「……そうね……なんだか……」
ルルカが急に不安になったのか、ツ……とセリウスに寄ってきた。
「……ルルカ、大丈夫だよ」
ルルカの手を取り、ぎゅっと握った。
「──そうよ。皆がいるもの」
ユリアもルルカの反対の手を握り、優しくその手の甲を叩いた。
「…………とりあえず、小屋に行くか?」
ゲイルがその様子を見て、ルルカに聞いた。
ルルカは生粋のお嬢様だ。
ライオネルの言った通り、どうやらまずは安全確認した方が良いようだった。
「そうだね。落ち着いてから遊ぼう」
ニコッと蕩ける笑顔でセリウスがルルカを覗きこみ、そう言った。
「──ええ、そうね。ゲイル、小屋に案内してくださる?」
「ああ、こっちだ」
荷物を担ぎ、皆で小屋へと向かった。
*****
6人がログハウスに揃った。
少しナーバスになっているルルカは部屋で休んだ方が良いだろうと、ユリアと二人、ペンギンの部屋を使ってもらう事にした。
──そして、男達はカメの部屋へと向かったのだが……
「────なるほど。答えは簡単だね」
腕をくみ、2台のベッドを前にして、セリウスがにこりと笑って言った。
「つまり、一つのベットに2人で寝れば良いって事だ。幸いこのベッドは大きいし、2人で寝ても落ちることはなさそうだしね」
当然でしょ?みたいに言った。
「「「…………………………」」」
エリックとライオネルとゲイルは、黙ってセリウスの言葉を聞いていた。
「────そう……かな……」
いや、まぁーね!分かってた。
そうなるよね?
このベッドってキングサイズだもんな!
ゴツい男二人で寝ても十分余りそうだし。
その答えにたどり着くのが正解……なんだろうけど…………。
問題は、誰と誰が一緒に寝るか、だよな……。
「──それが妥当だろうな」
ライオネルも同意した。
「俺は構わないぜ。よし、エリック、仕方ないから一緒に寝てやる」
と言って、ぐいっと肩を引かれた。
「え!?そ、れは……待って!」
あわててその手をどかせた。
いやいやいや、待ってほしい!
別にね、意識してる訳じゃないけど?でも……ゲイルと一緒に寝るとか……身の危険を感じる。
ゾワッとして、咄嗟にライオネルを見てしまった。
「──勝手に決めるな。皆の意見もあるだろう」
エリックの戸惑いを感じたのか、ライオネルが庇うようにエリックの腕をとり、自分の方に引き寄せた。
「──皆?ふーん……皆、ね……じゃあセリウス、お前は誰と寝たい?」
「え、僕から?──まぁ…………僕は誰でも良いよ。寝相が悪くなければね」
「だ、そうだ。で?お前は誰と寝たいんだ?エリック」
ギロっと脅すような赤い視線で牽制してきた。
──これ、ゲイルと寝たいって言わせようとしてるよな!?いや……怖いから嫌だけども?かといってライオネルと?……これはこれで、なんか……寝られなそうだ……うん。
「──ボクは……セリウスがいい、かな……」
「は?」「え?」「え、僕?」
それぞれが驚いた声をだした。
──あれ?なんだ?
消去法でセリウスがいいかと思ったんだけど……
「──ダメ、かな?」
セリウスは誰でも良いって言ってたよな?問題あるのか?
……まさか、エリックが臭いとか……?
「お前……セリウスにはルルカがいるんだぞ?それを……セリウスまで堕とす気か?」
渋い顔でゲイルが顎に手をやり、そんなことを言った!
「!?」
何それぇ──!?
まるで俺がセリウスを誑かすみたいな言い方じゃないか?
思わず救いを求めるようにライオネルを見た!
「…………エリックは、天然だから……」
こちらも何とも苦い顔で、そんな事を言ったぁ!!
「────な、そ……ちがっ……!」
何でだよ!?俺は悪くない!何もやってないもん!
思わず救いを求めるようにセリウスを見た。
「──はは」
困ったな、と言うように肩をすくめ、こちらも苦笑いしたのだった……。
嫌な予感……。




