#65 真相?
立場が違えば見える景色も違うよね。
片方の意見ばかりでの判断は危険だね。
1時間後にアイスクリーム屋前に、約束通り集合した。
のだが……
「……どうしたんだ、ゲイル……その二人……?」
ライオネルが面食らったかのようにゲイルとエリックの後ろの二人組を凝視した。
そう、二人の後ろには、死んだ魚のような目をしたニックとケビンが居たのだ!
「ああ、ちょっとな、とにかく馬車に乗ろう」
そう言って待機させていた馬車に向かった。
こんな繁華街でこのメンバーは目立ちすぎる。早々にその場を去り、馬車に乗ったのだった。
「……で、だ。この二人がこの街を案内してくれるそうなんで、連れてきた」
馬車はゆったりとした6人乗りだ。なので、二人は何処にいるかというと──
そう、床しかないよね?
二人は皆の足元の床に、ちょーんと正座して座っていた。
何故に正座?誰も強要した訳ではないんだけどな……。
「そう言えば、そんな事を私たちにも言ってたよね。あれ?じゃあ……まさか、ゲイルも声かけられたの!?」
ユリアが目を真ん丸にしてどひゃーって顔できいた。
「俺じゃない。エリックにだ」
ゲイルが無表情で言った。
「──なんだ、びっくりしたよ。何?君たちそっちも手を出してるのかい?振られたショックで新たな扉開いちゃったか」
セリウスがポンっと手を叩き、納得したようだった。
「──普通に道を聞こうとしたんじゃないの?」
それか、宗教勧誘とか。
“あなたは神を信じますか?”みたいな。
男にナンパとか無いだろうと言ったんだけど……。何故かゲイルはそう断定してここに連れてきた。
「まぁ、ゲイルがいるのに声をかけるその勇気は、ある意味称賛するけど。ちょっと君らを見直した」
うんうん、とセリウスが頷いた。
「冗談はさておき、本当に案内させるのか?」
ライオネルが聞いた。
「ああ、俺も最近のリースは詳しくは無いからな。コイツらの方が確かに詳しいはずだろ?」
「ねぇ、その二人って何なの?私とルルカ……エリックもかな、置いてけぼりなんですけど?」
ユリアが小首を傾げ、聞いた。
「──おい、自己紹介」
ゲイルがトンっと二人の足を軽く蹴った。
「はい!おれはここリースの市長の息子でニック・パーソンです!よろしくお願いします!」
バッと姿勢を正し、深く頭を下げた。土下座みたいだ。
「ぼくはコスミグループの息子でケビン・コスミと言います!ニックとは腐れ縁です!ニックに誘われナンパしてました!ごめんなさい」
右に同じく深い礼をした。
「腐れ言うなよ!お前だっていつもノリノリだろう!何おれのせいにしてんの!?」
「──ぼくは別にそう積極的でもないんだよ?いつも誘われるがままついてってるだけで」
「おまっ──!」
「はいはい、ちょっとお二人さん落ち着いて。ナンパ君なのはニックで、連れがケビンなんだね?」
セリウスが確かめるように聞いた。
「違う!」「そうです!」
二人同時に返事をした。
「うん、なるほど、じゃあ、どっちかな?僕さ、相談された事があるんだよね。君たちに玩ばれたって……」
セリウスが少し細めた目で二人を見やった。
「え?ああ、それ!おれ等も聞いたことあります。なんかおれ等が悪いみたいになってるんですけど、向こうも楽しんでたんだし、何で責められんのか……」
ニックが不本意だという風に言った。
「その女がおかしいんですよ!玩ばれたって言いふらして、ぼくらの悪い噂流して……恋愛なんて50/50じゃないですか!?」
ケビンもうんうんと頷きながらそう言った。
「…………なるほどね……」
「そういう考えか……」
「言わんとすることは分からなくはないが……」
男性陣が二人に同調するかのような事を言った。
「あら、でもそれは違うと思うわ」
「そうよね……全く同じ立場ではないもの」
ユリアとルルカはそれに反発するかのように反論した。
「ソウダヨネ」
俺はもちろん……分かるわけねぇーだろ!
──何が!?何言ってんの!?
え?この人たち違う言語で話してる?
どうせ俺は恋愛のレの字も知りませんけど?何か問題でも?
全然気持ちとか知らん!
「──まぁ、いいや。僕も一方的な話しか耳にしてないからね。今はなんとも……で?何処を案内してくれるの?」
「え?あ……ああ、あの、ホエールウォッチング出来る穴場があって……」
ニックが色々穴場を知っているようで、どうやら二人に本格的に観光案内させるようだった。
どうも皆、何か企んでるようなのだが、俺には恋愛関係の機微は全くわからない。ので、黙って見学することにした。
面白いところに連れてって欲しいなー




