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#5イケメ~ン

楽勝~!顔が良くて金持ちでって、もうあっさり攻略でしょ?(悟)


『ふふ、ハイスペックの攻略対象に憑依させてあげたわよ?悟くん、どんなプレイを見せてくれるのかしら?』(謎の声)


『ボクはエリック・レッドクローバー。レッドクローバー伯爵家の次男だ。今年からファンシー王国の王都にあるセレブリティ学園に入学する15歳。ボクは赤い髪の碧眼で、母親に似た容姿端麗のイケメンさ!人からは無口でクールって言われがちだけど、ほんとはシャイなだけなんだ……。好きな動物はネコ!かわいいよな』


鏡を見ていたら変なテロップがながれた。


──ふぷ!なんなん?この人物紹介!自分でイケメンって!シャイって!イケメンってよりイタメンかよ!


ひとしきり一人で大笑いした。


はぁ~~~、よし、状況を整理するか。


頭のいい俺は、色々即座に理解した。

ここは、綺羅のやってた『セレブリティ学園~ユリアの選択~』のゲームの中なのだ!


あの謎の声、あれは製作者だったのか?

夢かと思っていたけど夢ではなかったようだ。

あの時俺は謎の声に俺が“ユリア”になって、ゲームを攻略しろという意味で言われてると思った。

違った。

俺はユリアの攻略対象、エリック・レッドクローバーという人物に憑依させられたんだ。


このエリックはゲームの中の4人の攻略対象の内の一人だ、という設定が頭に流れこんできたのだ。


「なるほどねぇ~~」

つまりは、このエリックこと俺は、ユリアちゃんと婚約すればいいって事だ。そしたらゲームクリアで現実世界に戻れるって話なんだよな?


改めて鏡の中の自分を見つめた。

正確には中身が俺、鈴木悟のエリックの姿だ。


……ふーん、さすが攻略対象じゃん。かわいい感じの美形だし、問題ないんじゃないの?ただユリアちゃんに甘い言葉を言っときゃ勝手に向こうから寄ってくるんだよな?で、婚約して終わりってな。


乙女ゲーとかやったことないし、綺羅からはペラペラの薄い設定しか聞いてないけど、さっきから頭のなかに設定が流れ込んでくる。

主にエリックに関してと、このゲームの大まかなことだけだが。


まぁ、イベントこなせばいいだけだろ?たかがゲームのキャラだ!楽勝楽勝!


ふふーんと口笛を吹きながらメイドさんが持ってきた制服を着た。


鏡の前でくるりと回った。

「いいんじゃない?」


スタイルがいいので何でもよく似合う。

身体に馴染むためにも色々なポーズを鏡の前でキメてみた。


「……女ってカッコいいポーズに弱いよな?こう、壁ドンとか、バックハグとか?」


そうだ。ユリアちゃんに壁ドン、キメ顔すれば一発じゃないか?

ハグはさすがに女の子に免疫の無い俺としてはハードルが高い。画面越しなら何とでもなるけど、この体の感覚はリアルとしか思えないもんな。


そうだよ、こんなイケメンに壁ドンされちゃったら、ユリアもうドキドキが止まらない!ってなるよな?

「ふはははは!やっぱ、楽勝~!」



独り悦に入っていたらドアがノックされた。


「エリック様、そろそろ朝食を食べていただかないと、食べ損ねてしまわれますよ!」

という、さっきのメイド長らしき人の声が聞こえた。


「あ、はい。今いきます」

思わず丁寧に応えてしまった。


別にJ:COMでやってた“アル◯スの少女ハイジ”に出てた、ロッテンマ◯ヤさんそっくり!なんて微塵も思ってないよ?

怖いとか思ってないよ?俺は別に小心者とかじゃないから。

だって知らない人だし?相手は大人だし?

普通丁寧に話すよな。うん。


深呼吸をして、ふん!と気合いをいれた。

「ま、早々にエンディングといきますか。行くぜ、相棒!」

鏡の中のエリックに向かってウィンクした。


コンコンコンコンコン!

と、再びドアがノックされた。それは先程より強い響きを伴っていた。


「エリック様……」

ロッ◯ンマイヤさんの声が扉の向こうから滲み出てくるように聞こえた。


「はい!今すぐに!」

慌ててドアへと向かった。

悟ルン……あんまり調子のってると痛い目みるよ……。

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