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#6勝ち組

人物背景がやたら凝ってるってあるよね。


エリック君もただのイケメンでは無い感じ。設定ではね。あくまでも設定だから。

中身の人、悟ルンだし……

「エリック、その制服よく似合ってる。僕も昔を思い出すよ」

「ありがとうございます。兄さんもセレブリティ出身ですもんね。ボクも入学するのが楽しみです」


今話しているこの人は、エリックの兄イーサン・レッドクローバーだ。


ロッテンマイヤさん(なんと本名もロッテンマイヤだった!)について食堂に入った途端、レッドクローバー家の情報や、その他の関連設定情報が一気に頭に流れ込んだ。


エリック(俺)は人物紹介の通り次男だが、かなり優秀だ。セレブリティ学園の入試でも、ライオネル(第二王子)と並び、主席合格だった。すげぇぞ、エリック!


対して兄イーサンはそこそこ出来るが突出した才能はなく、ごく平凡な人という設定だ。

見た目も赤茶の髪に(はしばみ)色の瞳という地味な感じだ。


何故そんな差があるかというと、イーサンとエリックは異母兄弟だからだ。


イーサンの母親は幼い頃に病で亡くなった。

レッドクローバー伯爵は母を亡くしたイーサンが可哀想という事で、新しく迎えた母がエリックの母親サンドラだった。

だがサンドラは、エリックが5歳イーサンが11歳の時「私は自由でいたいの~」と言って子供達を残し、他国の男とトンズラしてしまったのだ。

レッドクローバー伯爵は傷心し、もう結婚は嫌だ!となり、今はメイド長のロッテンマイヤさんと執事のセバスチャン(ぶはは!笑!)が家の事を取り仕切っている、という事だった。


──とんでもない母親だぜ。サンドラがトンズラ……ぷぷ!設定だからいいけど、現実だったら世を拗ねるところだよな


そんな訳で残されたエリックは自分がお荷物にならないように必死で勉学に励んだようだ。

シャイな性格も母親が男を作って逃げたという負い目からで、幼い時は自分が伯爵家から捨てられやしないかとびくびくして過ごしていたらしい。


──頑張りやさんなんだなエリック。ばか笑いして悪かったぜ!でも、こんな複雑な設定とか乙女ゲーにいらなくない?文句言っても仕方ないけど……



「エリック、セレブリティ学園は貴族社会の縮図のようなものだ。幸いにもライオネル様と同学年、色々学ばせてもらいなさい」

父にそう言われ、背筋をピンと伸ばした。

父はイーサンとよく似た赤茶の髪に、エリックに似た青い目をしていた。


「はい、お父様。レッドクローバーの名に恥じないよう、努めさせていただきます」


──エリック、凄いな!今、口が勝手に動いたぞ。俺だったら「へいへい、分かってるよ!うっせぇな……」と、ぶつくさ小声で聞こえないように言うだけで終わってた。


「うむ、良い縁にも恵まれるだろう。期待しておるぞ」

「はい」


そう、父の言う通り、セレブリティ学園は貴族社会の縮図で、そこでの出会いや経験が今後の繋がりを決めていく。

で、この学園生活で婚約者を決める。公爵家や王族なんかは卒業パーティーで婚約発表されるらしい。


──まぁ、エリックはこの見た目でさらに優秀ときてる。はーい、リア充決定~~!待ってろユリア!


あーごはんが旨い!

さすが伯爵家だね。朝から豪勢な食事だこと。


勝ち組を約束されたような設定の俺は、余裕をかましながら、ふふーんと上機嫌でずらりと並べられたホテル並みの朝食を平らげたのだった。


いよいよ学園。

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