#29 可か否か
(=^ェ^=)「にゃーん」
Y「かっわいい~~!ね!」
G「どうでもいい」
E「ウソだね!この意地っ張り」
R「ネコを可愛がるユリア……かわいいわ」
S「ルルカ……君、誰を見てるの?」
L「皆、もうちょっと真剣に……」
会議は踊る!
「今日の議題は“学年会室で猫を飼っても良いか否か”だ」
ライオネルがトンっと会議室の机の上に籠に入れた真っ白な子猫を置いた。
子猫はぬくぬくとした柔らかそうなクッションの上でスヤスヤと丸くなって寝ていた。
くうっ、可愛い!
真っ白でふわふわの毛並みに、手の平サイズのぬいぐるみみたいな小さな身体……。
きゅーんってなる。
チラッと見渡したが、皆の顔が緩んでいる。
ユリアなんか、飛び付かんばかりに、ん~~~っと身悶えしていた。
ゲイルだけは、いつもの何を考えてるのか分からない表情をしている、けど……。
「先日ユリアがこの子猫を拾ってきた。近くに親もおらず、ずぶ濡れで震えていたそうだ。やむなく保護したが、寮ではペットを飼うことを禁止されてる。誰かが家に引き取る事も考えたんだが、エリックからここで飼いたいとの要望があった。エリック」
「はい。え~ボクはここ学年会室で皆で飼いたいと思います。理由として、学年会メンバーというプレッシャーの多い中、落ち込むこともあるでしょう。そういう時にこの子がいれば、きっとそんなささくれた心を癒してくれると思うからです。実際そういう研究もされており、アニマルセラピーとして病院などで活躍しているペットもいます」
「ふむ、エリックの主張は以上かい?」
「ええ」
「はい!」
「ユリア、どうぞ」
「私はエリックに賛成です。この子は見ての通りまだまだ保護が必要な子猫です。生き物を大切にする心を育み、命の大切さを学ぶ……積極的にその姿勢を見せるのは、学年会メンバーとしてのあるべき姿ではないでしょうか?」
ふんす!と立ち上がり主張した。
「──別に俺は猫は特に好きじゃない。癒されるとは思えないが。それに元々野良猫ってのはそんなものだろう。強いものが生き残り、弱いものは淘汰される」
「ゲイル、手をあげてから発言してくれ」
「──バカらしいって言ってるんだ。要するにペット飼いたいけどいいか?って事だろ。時間の無駄だ。ややこしくする必要なんぞ無い。どうせここにはこのメンバーしかいないだろうが」
おお!珍しくゲイルが画期的な意見を言った!
「む……まぁそうなんだが、ふー……あのな、生徒会に通すには、ペット飼いたいから飼います、じゃ通らないんだ。ちゃんとした理由と根拠が無いとな」
「まぁそうだねぇ。僕達が飼いたいから飼うってなったら、そこかしこで勝手に飼いだすかもしれないもんね」
「だったらさっきのエリックとユリアの意見で良いだろう。間違ってる訳じゃない。飼いたければ飼えばいい。俺が言ったことは生徒会でも出るだろう反対意見の一つだ。ちゃんと答えを用意しておけよ」
「──なんだ、君も賛成なんじゃないか」
「別に……どちらでも良いだけだ」
「すごいわ!じゃあ、この子は私たちのペットになるのね?」
ルルカがカタンっと勢いよく立ち上がった。
どうやら触りたいのを我慢していたらしい。
手が淑女にあるまじき動きをしている。
「まぁ、そうだな。皆それでいいか?」
「賛成!」「意義なし」「やったー!」
なんと、本当にここで子猫を飼うことになった!やったぜ、めっちゃ嬉しい~!
「よし!ではこの子猫はここ学年会室で飼うこととする。名前を決めないとな」
「真っ白だからホワイト?」
「フワフワだし、ワタアメは?」
「この子は目が緑だからエメラルドはどうかな?」
「野良猫だったんだからノラでいいだろ」
「いや、だめだろ」
それは違う、安直だ、もっと良い名前をなど、侃々諤々と名付け談義は続いたのだった。
だが、決められず、皆の出した名前を紙に書いてくじ引きとなった。
ユリアが引いた結果──
「この子猫の名前は“ミルク”だ。拍手でもって承認とする」
パチパチパチパチと学年室に割れんばかりの拍手が鳴り響いた……。
こうして一年生の学年会には、学年会の看板猫になるミルクが仲間になったのだった。
ミルクはどうやらメスのようだ。




