#28 子猫ねこねこ
ネコー!!
犬派とか猫派とかナンセンスだな。命は尊く、どちらも同じだ(ライオネル)
「うーん……」
こっそり飼うのは悪手だよな。バレたら終わりだし。そうだ……学年会で飼うのはどうだろう?
「…………ライオネルに聞いてみるか……」
「え?」
「これからライオネルに会うんだ。ちょうど良い、ユリアちゃんも一緒に行こう」
「この子も連れていくの?」
「うん、寮がダメなら学年会の会室で飼うのはどうかと思って。あそこは十分広いし、ネコ砂とか置けば飼えるんじゃないかな」
「──え?大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ。ネコ一匹飼うくらい、平気だよ、きっと。行こう」
そう言ってエリックは籠を持ち、ライオネルが居るであろう学年会室へと向かった。
「うん……そうだね……」
ユリアはエリックからもらった紙袋を大事そうに抱え、エリックの背中を見つめた。
「──…………こんなルート、あったんだ……」
ユリアがポソリと独り言を言ったのは、エリックには聞こえなかった……
*****
「却下だ」
ライオネルが冷たく言い放った。
「──何故!?こんなにかわいのに!」
「エリック……生き物をそんな簡単に飼うとか言わないでくれ」
はーっとため息をはかれた。
「簡単に言ってる訳じゃない。この子はボクらが保護しなければ明日をもしれない命なんだ」
「──それはそうかもしれないが……例え仮に飼ったとしよう。私たちは3年後にはここを出るんだ。ネコはその時どうする?」
「それは……誰かの家で引き取って……」
「では始めからそうすればいい」
「──違う。ここで飼うことに意義があるんだ」
よく分からないが、皆でここで飼うことに意義がある気がする。なんでだろう…… ?
「意義…………どんな?」
「──癒しになる」
……そうだよ。皆ここ最近疲れてる。特にライオネルに必要じゃないか?
「癒し?」
「そう!アニマルセラピーって知ってる?ペットを飼う事でストレスが減るんだ。血圧が下降し、精神的にも安定するんだよ。触ってみてよ、ほら」
真っ白なふわふわを籠から出し、ライオネルの膝に乗せた。
子猫はプルプル震えながら、円らな瞳でライオネルの方を見て「にゃーん」と鳴いた。
「うっ!」
思わず、といった体でライオネルが硬直した。
ふっ……今ズキューンって音がした気がするぜ?ライオネルの旦那……。
その子猫はふたたび「にゃーん」と鳴いて、今度はライオネルの手にすりより、ペロッと舐めた。
「──くっ…………」
ライオネルが何かに耐えるように胸を押さえている。
「──ほら、触ってみてよ。ふわふわだよ」
ライオネルの手をとり、子猫を撫でさせた。
子猫はゴロゴロゴロと気持ち良さそうに喉を鳴らし、ぐーっと伸びをしたと思ったら、くるんっと膝の上で丸くなり、そのままライオネルの手にしっぽを絡ませ寝てしまった。
「「「──可愛いい!」」」
あ、今ライオネルの声も重なった。
「ごほん!まぁ、いずれにしろ私一人で決められる事じゃない。皆に聞いて、セリウスが戻ってからになる……それまでどうする気だ?」
「……ボクが匿う」
「私も」
ユリアと俺が共犯者になった。
「いや、ダメだろう。…………仕方ないな……」
スッとライオネルが右手を出した。
「金の光を纏いし精霊よ、我に力を与えたまえ“ロカソラチウム”」
キラキラっと空間が光り、光が固まって一つの箱のような形の物を作り上げた。
「────すごい……」
魔法だ!今ライオネルが魔法を使った!
すげぇーーーー!!
その箱が今度は小屋のような形になり、机の上にスーっと降りてきた。そのままゆっくり光が消え、目の前には心地よさそうな屋根のついたネコ用の小屋が現れた。
「ライオネル……最高だよ……」
思わず呟いた。
ライオネルが諦めたようなため息をついた……。
それから子猫の事はいったん保留となり、ライオネルの仕事をユリアと共に手伝ったのだった。
「猫ちゃ~ん!かわいいでちゅねぇ~」ってなってるゲイルが見てみたいな!(ユリア)




