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訓練③:光(盛りは戦闘より難しい)


光は、刃物より正直だった。


斬られた傷は服で隠せる。呼吸の乱れはカメラを外せば映らない。

でも光は、そういう逃げ道を全部潰す。


上から当たれば、目の下に影が落ちる。

横から刺せば、頬が痩せて見える。

白が青すぎれば、冷たいを通り越して病人になる。


光は嘘をつかない。

だから一番たちが悪い。


朝のAゲート裏手。仮設照明の下で、ミラの顔がいつもより薄く見えた。聞かなくても分かる顔だった。頬の線が硬い。唇の色が浅い。黒いジャケットの襟元に落ちる蛍光灯の白が、全部を平たく潰している。


この光の下では、誰でも疲れて見える。

でもミラは、「誰でも」に入りたくない人間だ。


撮らなかった。


見れば分かる。分かるから撮らない。

ミラの弱さを見つけて、撮らないこと。


最近、俺の仕事の半分はそれになっていた。撮る技術と、撮らない判断が、同じ重さで手の中にある。


白石が言った。


「今日は光だ」


距離。高さ。

その次は、見え方そのもの。


画面の奥にあるものを、一枚ずつ剥がされていく。


「敵は弱い」


白石が続ける。


「だから、誤魔化しが利かない」


それが一番きつかった。


敵が強ければ、画が荒れても言い訳になる。危険だった。近かった。間に合わなかった。そういう逃げ道がある。

敵が弱いと、全部がそのまま画の責任になる。撮れなかった理由が、全部カメラマンの手に返ってくる。


ミラが黒いグローブを引き上げた。右手首まで。深く。

癖みたいな動作だった。隠すための仕草は、何度も繰り返すと体に染みつく。本人がもう意識していなくても、手だけが覚えている。


「今日は盛るわよ」


いつもの声。

でも今日は、少しだけ機嫌が悪い。


光のせいだと、すぐに分かった。Aゲートの蛍光灯が、ミラの顔を裏切っている。


---


訓練場は、使われなくなった選鉱区画だった。


採掘した鉱石を選別していた場所。広い。壁に古いレール。天井から下がる作業灯。金属台。水洗い用の浅い溝。機械は全部止まっている。止まっているのに、空間だけがまだ働いている顔をしていた。


長く使われた場所は、止まってもすぐには死なない。

壁の染みも、床の擦れ跡も、全部が誰かの時間の残骸だった。


光源が多かった。


天井の作業灯。

壁際の補助灯。

非常灯の赤。

外から差し込む白。


どれも弱いくせに、方向だけははっきりしている。


つまり最悪だった。


弱い光は誤魔化しが利かない。足りないくせに、影だけは律儀に作る。強い光なら影ごと潰せる。弱い光は中途半端に残る。中途半端な影が、一番人を疲れて見せる。


写真を撮ったことがある人間なら分かる。

曇りの日の蛍光灯の下で、自分の顔を見たくない理由。あれだ。


ミラが金属台の前に立った。黒いジャケット。結んだ髪。剣はまだ抜いていない。

ただ立っているだけなのに、作業灯の真下に入った瞬間、顔が変わった。


目の下に影が落ちる。鼻筋は立つ。

でも頬が薄い。唇の色が沈む。


強い女じゃない。

三日寝ていない女の顔になる。


戦う前の顔じゃない。全部が終わったあとの顔だった。


ミラが眉を寄せた。


「最悪」


同感だった。


白石が俺を見る。


「直せ」


簡単に言うな、と思った。

でも白石はいつも簡単に言う。簡単に言って、あとは全部こっちに預ける。その預け方が信頼なのか放棄なのか、まだ分からない。


---


俺はカメラを構えたまま、天井の作業灯を見た。


上からの白。硬い。狭い。

顔の一番高い場所にだけ当たって、その下を全部殺している。額は光る。でも目の下が沈む。顎の下が落ちる。髪は、ただの黒い塊になる。


ミラが言う。


「上から刺すな。頬が死ぬ」


刺す。

光をそう呼ぶのか、と一瞬思った。


でも正しかった。これは照らしているんじゃない。刺している。上から針みたいに落ちてきて、顔の余白を全部殺している。


「顎の下、黒落としすぎ。顔が薄く見える」


「髪は塊にしない。線だけ拾う」


「目に一点。二点はいらない」


「白が冷たいのと死んで見えるのは違う」


次々に飛んでくる。注文じゃない。採点でもない。もっと細かい。光の解剖だった。


この人は、顔を見せたいんじゃない。

どう見えるかを支配したいのだ。


戦闘と同じだった。勝ちたいだけじゃない。どう勝つかを選んでいる。

だから光にも同じだけうるさい。光の一つ一つが、ミラにとっては刃の角度と同じ精度で管理すべきものだった。


まず、動かした。


作業灯を一つ切る。

壁際の補助灯を上げる。

角度を変える。

少し右。戻す。左。


ミラの顔が変わる。変わるたびに、少しずつ良くなって、少しずつ駄目になる。


右から当てると、頬の線は出る。

でも目が冷たくなりすぎる。


左に回すと、髪の輪郭は綺麗に立つ。

でも顎の下が落ちる。


前に出すと疲れは消える。

でも顔が平たくなる。


全部が、少しずつ正解で、少しずつ不正解だった。


白石が腕を組んだまま言う。


「近い」


光が、だ。


「近いと硬い。硬いと安い」


安い。


この人たちは、綺麗かどうかだけじゃなく、値段で光を見る。スポンサー。切り抜き。サムネイル。全部が画面の後ろにいるからだ。安い光は、そのまま安い画になる。安い画は、安い値段しかつかない。


光の質が、そのまま契約の桁に繋がっていた。


ミラが補助灯の前に手を伸ばした。白い光が指の隙間をそのまま抜けて、壁に硬い影を刺す。


「硬いでしょ」


それだけ言う。


硬い。

柔らかくすればいい。


でも、機材がない。現場の補助灯。予備のバッテリー。簡易スタンド。撮影スタジオみたいな道具はここにはない。


持っていないなら、作るしかない。


その考えに辿り着いた瞬間、体の奥で何かが動いた。昨日の吹き抜けが頭をよぎる。風で傾きを直した。一昨日は飛沫を流した。その前はレンズの前に薄い空気を張った。


全部、同じ手だ。


追い出された理由が、また仕事に変わろうとしている。


《微風》。

地味魔法。

戦闘に寄与しない。

雑用向き。


元のパーティでは、そう呼ばれていた。そう呼んだ人間たちの声を、まだ覚えている。覚えているのに、その記憶が怒りじゃなく材料に変わり始めていた。


恨みで使うんじゃない。

必要だから使う。


必要が、恨みより先に来るようになっていた。


俺は補助灯の前に立った。


ミラが聞く。


「何するの」


「柔らかくします」


言ってから、自分でも少しおかしかった。光を柔らかくする。言葉にすると、まともに聞こえる。でもやることは、追い出された魔法で空気を撫でるだけだ。


白石が何も言わなかった。

止めないということは、やれということだ。


この人の沈黙には二種類ある。「駄目だ」の前の沈黙と、「やれ」の代わりの沈黙。今のは後者だった。


---


まず、薄い膜を作った。


防滴用にレンズの前で使っていた薄膜。透明で、ほとんど見えない。でも完全な透明じゃない。表面にほんの少しだけ空気が引っかかる。


それを灯体の前に広げた。


その膜の表面を、《微風》で撫でる。撫でるというより、震わせる。ごく薄く。一定に。膜の前にある湿気と埃が、均等にその面へ貼りつく。目に見えないくらい薄い層が一枚できる。


即席の曇りガラス。

光を刺さらせず、面に変えるための一枚。


補助灯を点けた。


白が変わった。


強いままなのに、硬くない。輪郭が消えたんじゃない。角が丸くなった。針だった光が、掌に変わった。


ミラの頬に落ちていた嫌な影が浅くなる。顎の下の黒が抜ける。髪は塊にならず、外側だけが細く光る。


ミラが黙った。


その沈黙で分かった。

さっきまで次々に飛んできた「違う」が止まった。


止まったということは、止める理由がなくなったということだ。


俺は少しだけ灯体を上げた。目に一点だけ小さな光を入れる。二点じゃない。片目の上に、細い白。剣を抜けば、その白が刃の軌跡へ繋がる位置だった。


ミラが言う。


「……それ」


短い。

鉄板の上で初めて画が合ったときと同じ種類の声だった。正しい場所に正しいものが置かれたとき、ミラは長く喋らない。短くなる。短いほど、合っている。


白石が言う。


「名前、つけとけ」


名前。

技術に名前を付ける。そうしないと再現できない。偶然のままでは、次に同じものが出ない。


「……面光」


白石が鼻で笑った。


「そのままだな」


「意味は合ってます」


「合ってる」


それで終わった。

却下されない名前は、この現場では採用と同じだった。


面光。

刺す光を、面に変える。


名前にすると、やったことが急に手の中に残る。名前がないうちは、いつでも消えてしまいそうだった。名前がつくと、もう消えない。


---


次は、戦闘と合わせた。


敵は弱い。選鉱区画に棲みついた小型の殻虫。硬くない。速くない。でも水洗い溝の縁を這うから、飛沫だけは汚い。


ミラが剣を抜いた。白い冷気が空間を一筋走る。そこへ、面光が当たった。


綺麗だった。


綺麗、という言葉が先に来ることが悔しかった。戦況だ。敵がいる。足場も滑る。飛沫も飛ぶ。でもその全部の手前に、まず綺麗だった。


刃の白が変わっている。刺す白じゃなく、広がる白になっている。面光が刃の反射を拾って、空間ごと柔らかく膨らませている。


ミラの頬の線が出る。目の冷たさは残る。

でも疲れの影は沈んで見えない。

髪の外側にだけ輪郭が立つ。

黒いジャケットが、黒のまま死なない。


ミラが一体目を斬った。殻が割れて、黒い液が飛ぶ。さっきまでの光なら、そこで全部が汚くなっていた。でも面光の下だと、飛沫の筋が見える。ただの汚れじゃない。飛んだ方向が分かる。刃がどちらから入ったか、読める。


ミラが言った。


「飛沫は赤ければいいんじゃないの。どっちへ飛んだか分からないと、ただ汚いだけ」


分かってきた。


ミラが欲しいのは、色じゃない。

意味が見える画だ。


何が起きたか分かる画。何が起きたか分からない派手さは、ミラにとってはノイズだった。


二体目。溝の縁。足元が濡れている。ミラが踏み込み、剣を返し、殻を払う。


黒い液がレンズの方向へ飛んだ。


《微風》を前へ走らせた。レンズ前の空気を一枚だけ起こす。飛沫の芯だけを外へ流す。全部は避けない。端の細かい粒だけを残す。


残った飛沫が、面光の中で薄く光った。

汚れが、画になる瞬間だった。


ミラがその瞬間だけ、こっちを見た。目だけ。一拍にも満たない時間。


——今のは残せる。


そういう目だった。言葉じゃない。目で通じる。通じてしまう。それが嬉しいのか怖いのか、まだ分からなかった。


三体目。壁際。作業灯の死角へ逃げ込んだ。普通ならそこで画が死ぬ。光が届かない。影だけが残る。


俺は面光を少しだけ左へ振った。薄膜の角度をずらす。同時に《微風》で周囲の湿気を持ち上げた。空気中に水の粒子が均等に散らばる。その粒子が、灯体から届くわずかな光を拾って、空間全体をうっすらと明るくする。


灯体そのものを動かしたんじゃない。

空間が光ったのだ。


即席の回り込み。スタジオなら反射板を置く。ダンジョンでは、湿気と風で作る。道具がないなら、空気を道具にする。


ミラが壁際へ入った。顔が死なない。頬の線も、剣の白も落ちない。


殻虫が割れる。

白。黒。黒の向こうに、ミラの横顔。


全部が同じ画の中で喧嘩していない。それぞれの居場所がある。居場所があるから、目がどこを見ればいいか分かる。


コメント欄があったら、たぶん今頃壊れている。そんなことを思った。


外にはまだ出していない。

画面の向こうの誰にも、まだ見せていない。


見せていないのに、頭の中でコメントが流れる。

この画を見せたら、どうなるか。


それを想像してしまう体になっていた。


---


白石が初めて、補助灯の前へ歩いた。


薄膜の前に指を出す。光がそこを柔らかく抜ける。指の輪郭が立つ。でも刺さらない。白石はしばらくそこに指を置いたまま、何も言わなかった。光の質を、指で確かめていた。


「これ、配信で持つか」


技術の話だった。美しいかどうかじゃない。現場で回し続けられるかどうか。


「灯体一つなら持ちます。風で膜の形が崩れるので、追加するなら片方だけ補助に回したほうがいいです」


「電池は」


「食います」


白石が、左右で喧嘩するなと呟いてから、頷いた。


「使えるな」


またその言葉だった。褒めない。でも使える。この現場では、使えるが最も実用的な肯定で、使えないが最も静かな死刑宣告だった。


ミラが少しだけ首を傾けた。面光の中で。その動きだけで、目の上の一点が細く揺れた。


「……もう少し白を上げて」


言われた通り、灯体を少し上げる。

でも上げると硬くなる。


硬くなる手前を、《微風》で散らす。散らしすぎると顔が眠くなる。眠くなる手前で止める。硬いと柔らかいの間。その一点を、指先の風量だけで探る。


ミラの顔が変わった。


強い。

疲れていないわけじゃない。

でもその疲れが、削れた顔ではなく、戦ってきた顔に変わっている。


弱さが消えたんじゃない。

弱さの見え方が変わった。

弱さの上に、意志が乗った。


ミラが、ほんの少しだけ表情を緩めた。口角じゃない。目の奥の緊張が、ほんのわずかにほどける。ファインダー越しでなければ気づかない程度。でも俺はファインダー越しにしかこの人を見ていない。だから気づいた。


「……それ、残しなさい」


残す。

つまり使える。


今日の訓練の中で、配信へ持っていく価値がある。


俺は頷いた。返事の代わりに、面光の角度を固定した。言葉で返すより、手で返すほうが正確だった。


---


終わる頃には、選鉱区画の金属台の上がメモだらけになっていた。


面光。灯体一つ。薄膜一枚。白は五パーセントまで上げる。目には一点だけ入れる。顎の下は殺しすぎない。飛沫は芯だけ外して、端を残す。


昨日まで、書いていたのは距離と秒数だった。

今日はそこに、光の条件が加わった。


距離。高さ。光。

一つずつ、手の中のものに名前がついていく。


名前がつくたびに、偶然が減る。

偶然が減るたびに、自分のものになる。


ミラが剣を納めた。白い冷気が消える。その瞬間、面光だけが残って、さっきまで完璧だった顔がほんの少しだけ現実に戻った。


光を消せば、全部が元に戻る。

戻るけど、作り方を知っている。

知っているから、また作れる。


光は嘘をつかない。

でも、どう当てるかで、現実のどこを見せるかは選べる。


現実を変えるんじゃない。

現実の切り取り方を変える。


それが今日の訓練だった。


白石が機材班へ顎をしゃくった。


「その光、テスト映像残せ」


若いスタッフが慌てて頷く。今日の数分が、すぐに「使えるかどうか」の棚へ送られていく。


ミラが歩き出した。出口へ向かう黒い背中。右手のグローブ。訓練の終わりにだけ、肩がほんの少し落ちる。今日も一センチ未満だった。


それを撮りたいと思った。

今日も撮らなかった。


その一センチは、まだ誰にも渡していい光じゃなかった。


---


通路を戻る。選鉱区画から搬入口を抜けて、Aゲートの裏手へ出る。地下の乾いた空気が地上の湿気に変わる境目を踏むとき、いつも少しだけ体が重くなる。地下のほうが体に馴染み始めている。馴染みたくないのに、馴染んでいる。


Aゲート手前の機材モニターに、今日のテスト映像が仮で回されていた。


ミラの横顔。剣の白。飛沫の筋。暗い背景。全部が同じ画の中で立っている。喧嘩していない。


機材班の若いスタッフが、足を止めていた。


「……これ、広告っぽい」


別のスタッフが言う。


「いや、広告っていうか、もう売り物だろ」


売り物。


胸の奥が、静かに冷えた。


そのとき、足音が来た。ヒールの音。コンクリートの床に響く、迷いのない歩幅。


玲奈だった。


スーツ。完璧な髪。完璧な笑顔。

でも目だけが先にモニターを見ていた。俺たちじゃなく画を見ている。この人はいつもそうだ。人より先に数字を見る。今日はその手前にある映像の値段を見ている。


「今の、誰が作ったんですか」


聞き方がもう営業だった。褒めているんじゃない。確認している。再現できる人間が誰かを。再現できるなら商品になる。商品になるなら契約になる。その回路が、声の中に全部入っていた。


白石が言う。


「カメラ」


玲奈の目が、俺に来た。値踏みじゃない。もっと具体的だ。見積もりだ。この人の中ではもう、俺に金額が貼られ始めている。


ミラが面倒そうに言った。


「私だけじゃ無理だったわよ」


静かな一言だった。

でもその一言で、玲奈の笑顔が変わった。営業の形をしたまま、計算が一段深くなる顔。


「……そうですか」


その「そうですか」に、全部が入っていた。ミラ単体じゃない。専属カメラマン込み。光まで含めて、一つの商品になる。そこまで計算した三文字だった。


白石が鼻で笑う。


「始まったな」


玲奈がそのまま続けた。


「スポンサー、通せますね。これなら」


俺の背中が冷えた。

通せる。誰に。何を。どこまで。


「MIRAさんが映える、じゃ弱いんです。このチームだから映る。そこまで行ける」


チーム。急にそう呼ぶのか。

でも分かる。画面の向こうではもうそう見え始めている。ミラ一人じゃない。戦う人と、見せる人。その組み合わせ自体に値段がつく。


玲奈が最後にはっきり言った。


「専属カメラマン込みで契約したい、と言ってくるところが出ますよ」


出る。

来る。

寄ってくる。


視聴者だけじゃない。スポンサーも。金も。条件も。甘い顔をして、全部が一歩ずつこっちへ来る。こっちが光を作っている間に、向こうはもう値札を用意している。


ミラが振り返らずに言った。


「でしょうね」


驚いていない。最初から、そこまで見えていた声だった。ミラは画の中の自分がどう見えるかだけじゃなく、その画がどこへ流れて、どう売られるかまで見ている。見た上で、立っている。


俺はモニターの中の光を見た。頬の線。剣の白。目の一点。全部が俺の手を通っている。


追い出された理由が、また一つ仕事に変わった。


地味魔法は今日、光を作った。戦闘には使えないと言われたものが、戦闘より難しいことをやっている。


でも、仕事に変わるたびに、別のものも近づいてくる。


光は、刃物より正直だった。

そして正直なものほど、金の匂いを呼ぶ。


その匂いが、もう届いている。


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