065 オムライスの感想と次のコメ料理
「どうです?」
「……美味しい」
「ケチャップをかけたら味が濃くなるかと思いましたけど、卵がまろやかなので気になりませんわ」
「うん、むしろケチャップがないと味がぼやけるわね」
「まあ、その辺は人の好みによりますね。濃い味が嫌いな人は、ケチャップなしの方が好みだと思いますよ」
この国はソース類が発達しているから、濃い味が好きな人が結構いるんだよなぁ。
屋台なんかで売っている串焼きだとか、ヌードルだとかもソースがダバダバだったりするし。
「はい、残りも出来上がりましたので、こちらも分けて食べてください」
師匠とソフィアさんの前に、もう一つのオムライスを差し出し、僕は僕で別の皿に盛ったオムライスを食べる。
うん、前の世界で食べたモノとは違うけれど、これはこれで美味しいな。
稀人……異世界転生者が前の世界を参考にケチャップなどのレシピを残してくれているが、やはり原料が違うので味が微妙に違うんだよな。
「これが鳥の餌かぁ」
「お姉さま、失礼ですよ。他の国では主食になっているものなのですから」
「でも、この国では人間用に作ってるわけじゃないでしょ」
「それはそうですが」
「まあまあ、どちらも間違ってないですよ。市場で聞いたら農家の人は自分でも食べていると言っていましたし、この国の常識としては鳥の餌で間違いないですから」
市場で販売している人に聞いたところ、お米を作っている農家の人は外国の生まれで、お米が主食の国から来たのだとか。
この国ではお米の栽培が上手くいっていないということで、栽培の指導に着た結果、居着いてしまったのだとか。
「そうなんですの」
「ええ、やっぱり味は悪いので味付けしながら食べているそうですよ」
聞いてみるとチャーハンや炊き込みご飯にして食べているとか。まあ、味が悪いといっても普通に食べられる範疇なので問題はない。
ちなみに高級レストランなどでは外国から取り寄せたお米を使っているらしいが、輸送の問題で品質が一定じゃないし、かなり高値になるらしい。
「ねえ、カズ。他の料理も作れるの?」
「まあ、難しくないものなら作れますよ」
別に料理が得意というわけでもないし、この世界ではレシピもまとまっていないので、本当に簡単に作れるものだけだ。
白米の炊き方は覚えているので、それを使ったチャーハンや簡易リゾット、ドリアなんかは作れるな。
ただパエリアだったり本格的なピラフだったりの生米から作る料理はレシピを覚えてない。
「なら、しばらくはお米を使った料理を中心にしてくれる?」
「お姉さま、気に入ったのですか?」
「そうじゃないわよ。ソフィアが言ったんでしょ? お米が美味しいのなら貧民対策になるって」
そういえば、ソフィアさんはそんなことも言っていたな。
「まあ、そうですね。お米はパンと違って水があれば、それなりに食べられるものになるので貧民向けかもしれません」
パンは作成するのに少なくともイースト菌やら塩が必要なってくるけど、お米は水さえあれば炊いて食べることが可能だ。
もちろん美味しく食べるためには調味料が必要になってくるけれど、それはパンも一緒だしなぁ。
「だったら、あとはどのくらいの労力が必要かを把握しないとね」
「そういえば、貧民への炊き出しなどは何を出しているんですか?」
「今はパンとスープパスタがメインのはずですわ。ですけれど、どちらも作るのが大変で数が出せないと聞いていますわ」
「なるほど」
「パンはこねるための人でもそうだけど、窯も必要だしね。スープパスタは重くて運ぶのが大変だから現地で作るのだけど、食器を持っていくのが大変みたい」
ふむふむ。ということは、簡単に作れて、なおかつ食器が必要のないものだとありがたいってことか。
「そうですね。では、明日のお昼に炊き出しに使えそうな、お米の料理を出してみますよ」
「本当?」
「ええ、炊き出しではないですが、前の世界では持ち歩きに適した料理があったので」
持ち歩くのが簡単といえば、おにぎりだよな。それと、ウインナーと玉子焼き、あとは漬物くらいかな?
とはいえ、それだけだと寂しいから豚汁でも作っておくか。
おにぎりは白米のものと炊き込みご飯のものと両方作って反応を見るとして、問題は具だな。
「というわけで、明日の料理に使う材料を買ってきます。今なら、まだ店が開いていると思うので」
とりあえずは目の前の肉屋でウインナーを買うとして、卵は買い置きがまだあるから、乾物屋で鮭の干物と漬物を買っておくかな。
「一人で大丈夫?」
「ええ、重い物は買いませんし、この街にも慣れてきましたから」




