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落ちこぼれ(仮)は皇帝になる  作者: 葛籠
第1章:始まりの水晶
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本選

『さぁ、さぁ、さぁ‼︎皆さん待ちに待った本選じゃーい‼︎司会を務めますのは、この私!フィリアでございます‼︎宜しくお願いします‼︎解説は精鋭部隊隊長、皆さんご存知‼︎腹黒男で有名なフェリオ・アバーテ‼︎いっで、痛い痛い痛い、ごめんなざい‼︎』

『宜しく〜。』

フィリアの余計な一言にアバラ折を仕掛ける。仕掛けながらも黒い笑顔での挨拶をし忘れない。解放されたフィリアは涙目になり、むせながらも試合を進行する。

『げほっ、1試合目ば、Aブロック勝ち抜いだ、げほっ、狐族のまとめ役!東風谷東風谷(こちや)選手‼︎あの問題児達のまとめ役だー‼︎』

黒い着物を纏った男が入場する。髪は白銀に輝き、一部の観客席は彼と同じ着物を着ている男達がいる。

『続きましては、Dブロック代表木霊選手‼︎男ながらも可愛らしい姿!お姉様方も守りたくなるような方。それとは裏腹にとても強ーい‼︎私は先週瞬殺されました‼︎』

東風谷とは反対から入場して来た身長が150cm にも満たない小柄で可愛らしい男の子?フィリアの言葉に怒りながらも、相手を見据え、深呼吸をする。互いが指定された位置に立つ。

『それでは本戦第1試合東風谷選手対木霊選手!…始め‼︎』

木霊が葉を操る。"硬化"により鋼の様に硬くなった葉を東風谷に襲いかかる。しかし、東風谷の周りで全て燃えた。木霊は「やっぱり、無理か。」と小さく呟く。東風谷は無表情のままただ木霊を見据える。木霊は葉で東風谷を囲む。すると一斉に葉が破れ、東風谷から少量の血が流れる。

『どいうことでしょう⁈葉が破れたと思えば、出血‼︎』

『んー。木霊は見た目に反して、えげつない攻撃だからなぁ。敵対すると面倒だ。』

『意味がわかりません!解説を求めます‼︎』

『あの葉は破れると目に見えない、小さな猛毒液が出るんだよ。それが肌に付着しただけで、肌が荒れて、血が出るんだよ。まぁ、そこにまたその毒が付着すると血管が破れて出血。あの程度で済んだのは東風谷の実略だけど〜。』

木霊はもう一回同じ事をしようと構えるが、東風谷が目の前から消えた。はっとした時、腹に蹴りが当たり、骨が折れる音がする。蹴り飛ばされ、受け身をとれずに地面に叩きつけられる。

「っうぐ。」

『ここで蹴りが決まったー‼︎』

東風谷は無表情のまま立っている。フィリアの言葉と同時に狐族の若い衆は顔を青くした。「あれ、めっっちゃ痛かった。」「お前が悪い。」などの声が聞こえる。

「っ、ははっ、流石狐族歴代最強といわれる方だ。」

『木霊選手気絶により、勝者東風谷選手‼︎」

フィリアの言葉により、東風谷は木霊が運ばれるのを見届けた後、会場を出る。東風谷とカンナは廊下で会う。

「…久しぶり。お前んは覚えてないだろうけどな、ナイ。」

「‼︎まさか、貴方、クロード?」

最後の言葉に眼を見開き、過去の記憶が目の前を通る。あの頃は黒髪無表情の少年が今は

白髪無表情の青年。いや、待って髪の色が変わっただけと自分に言い聞かせる。東風谷は試合と同様に無表情のままである。

「今の名前は黒疾だ。お前んはカンナだったな。」

「うん、カンナは元々あった名前ね。本っっっ当に昔の貴方は人の話を聞かなかった。」

口調が変わりつつも、過去の黒疾を思い出し、呆れ溜息をつく。そんなカンナに声を掛ける。目を合わせると黒疾の目の奥底に過去の臆病な自分が写っているようで、目を逸らしたくなったが、目を合わせる。

「あれはお前んのせいじゃない。…ニーナは、」

「その話はしたくない。聞きたくもない。まず、貴方に私の何がわかるっていうの⁈…私はあの子達の、3千の命の上で生きながらえている。例えあの子達が私の事を憎んでないと分かっていても、私は自分を許せない。貴方も知っているでしょう。私が直接殺した者もいるって事ぐらい。私の手は、体は、もう血に塗れ過ぎている。後戻りは出来ない、出来るはずがない。ニーナは!あの子達は死んでしまった‼︎私が殺した‼︎それなのに、私は適応者だから、生かされた。そんな惨めで、無力で、約束も守れないっっ‼︎それを分かっているはずなのに、なんで⁈……ごめん、八つ当たりした。」

悲鳴に近い声で黒疾の話を遮る。怒りと悲しみに魔力を放出したことを途中で気づき、目を逸らしながら落ち着かせる。蚊の鳴くような声で謝り背を向けて、東風谷から遠ざかるカンナ。カンナの背中が酷く泣いている様に見えた。声を掛けても、手を伸ばしても、届かない。知っているからこそ、近過ぎたからこそ、何もできない自分の無力さを改めて思い知り、拳を握りしめる。強く握りしめ過ぎて、血が滲み始めた。

「……ナイ、お前んは選ばれた。お前んがいつか心の底から笑える日が来る事を願う。お前んの友として。」

目を伏せ、小さな声で言う。心を落ち着かせ、今の己の居場所に戻る。表情に、顔に出過ぎないように努める。

「おめでとう御座います!東風谷さん‼︎」

「…あんがとさん。」

向かいに来た仲間に祝われる。褐色の肌をした男が側に来る。周りに聞こえぬよう、小声で言うが念のためか"幻覚"と"遮断"を使う。その為か他の仲間に普通に接しているように見えている。

「黒疾、どうした?」

「…いんや、ちょっとな。」

「お前が間を開ける時は大体隠し事、つまりお前が何かを抱え込んでいるときだ。…言いたくないなら、構わないが偶には弱音を吐け。」

「すまん、いつか言うんよ。」

魔法を解除して離れる仲間に感謝の念を抱く。日が出てきた。その眩しさに目を細め、太陽の方を見る。

「…皇帝はどうなるんと思う?」

「東風谷さんも気になるんですね。…俺としては美人で巨乳なら何でもいいです!」

「馬鹿。巨乳だと当てはまるのあの傲慢知己女と小説女だろ。俺はそんなのを護ろうとは思わない。」

問いかけに答える部下とツッコミを入れる部下。日常通りの言い合いから喧嘩に発展し始めた。溜息をつきつつも、護りたいと言う言葉を深く考えずとも脳裏に浮かぶ姿に笑みを浮かべた。

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